レーサーとして活躍するも心臓を患い引退を余儀なくされたキャロル・シェルビー。 今はスポーツカーの製造会社を立ち上げ、気鋭のカー・デザイナーとして活躍していた。その頃、アメリカ最大の自動車メーカー、フォード・モーター社では、ル・マン24時間耐久レースで絶対王者に君臨していたイタリアのフェラーリ社との買収交渉が進められていたところが契約成立を目前にして創業者のエンツォ・フェラーリが態度を急変させ、交渉は決裂。 小バカにされた会長のヘンリー・フォード2世は激怒し、レースでの打倒フェラーリを誓うのだった、、。

 

 

 

 

 

 

こちらは2019年制作の アメリカ映画 アメリカ です。(153分)

 

第92回アカデミー賞で作品、音響編集、録音、編集の4部門にノミネートされた本作

 

はル・マンレースに出場する事を決めた、フォード社の実話を基にしたドラマです。

 

 

 

 

  1963年、米フォード・モーターズは、イタリアのスポーツカー会社フェラー

 

リを買収しようと交渉しますがコケにされ、怒ったフォード2世は自前でル・マン24

 

時間レースへ出場すると決めます。 副社長のリー・アイアコッカは、ル・マンに出場

 

経験のあるキャロル・シェルビーを筆頭に、偏屈だが腕のいいケン・マイルズという

 

レーサーを雇い入れ編成チームを作り「打倒フェラーリ」に向けて走りだす事になる

 

というお話です。

 

 

 

 

タイトルになっている「フォードvsフェラーリ」に連想されるような、アメリカ車v

 

sイタリア車という内容よりは、フォード社の経営陣vsレーシングチームの職人魂と

 

いった部分が大きくクローズアップされたドラマになっていて、レースの為に召集さ

 

れた職人チームと企業の経営陣達との内部バトルが中心に描かれています。 グー

 

 

 

 

このレースの責任者として雇われるのが、マット・デイモン演じる キャロル・シェル

 

ビー中間管理職のような微妙な立ち位置ながら、チームの為に奮闘します。彼にリク

 

ルートされるドライバーが、クリスチャン・ベール演じる ケン・マイルズ。 無骨で車

 

の事には妥協を許さない彼をフォード社は煙たがり排除しようとしますが、シェルビ

 

ーは断固として譲ろうとしません。それはこのレースにマイルズが必要不可欠だと分

 

かているからの事でした。 

 

 

 

 

フォード社としてはレースに勝つことを目的としていますが、それは最終的にイメー

 

ジを上げ、車を売る為に他なりません。 しかし、マイルズ達は何処よりも早い車を作

 

って、レースに勝つ事を目標としていました。 自身もドライバーだったシェルビーに

 

は、フォード社とマイルズ両者の立場が分かるだけに、彼はサーキットの現場クルー

 

とフォード社の重役との間で、非常に難しい立場に立たされることになります。 

 

 

 

 

誰よりも現場を知り、彼等を信頼しているシェルビーが、会社と現場の板挟みの中で

 

葛藤する姿に、誰しも何かしらの共感をしてしまう部分があるのではないでしょうか

 

はてなマーク 同時にマイルズとシェルビーの男同士の葛藤とぶつかり合い、そして不思議な友情

 

も描かれ、バディムービーとしても楽しめます。 そしてマイルズの妻との関係や、息

 

子との親子の信頼と継承、絆の場面には胸が熱くなります。

 

 

 

 

このような人間ドラマに加え、ル・マンは勿論、デイトナ等の迫力あるレースシーン

 

もかなりの迫力で見物です。 多くの場面に古い車が登場してレースしているもので

 

すから、当然CGだと思ったのですが、ブルーレイの特典映像を見て驚きました。 か

 

なりの場面を実写で撮影しており、客席等の背景にCGを使うという熱の入れよう。 

 

実際に車を走らせての撮影の凄さには、ただただ圧倒されてしまいます。これをCG

 

だと思って鑑賞してしまうのは昨今のCG上等映画の弊害を感じてしまいますね。

 

そして単純に美しい車の数々に見惚れてしまうのでした。 

 

 

 

 

このような骨太の人間ドラマでありますが、所々にユーモアが盛り込まれている為、

 

私のようにあまり車やモータースポーツに興味がない方でもすんなりと観る事が出来

 

るような作りになっているのがまた凄い所でもあります。

 

 

 

 

個人的にお気に入りなのが車中でのマイルズと奥さんのケンカ場面と、マイルズの起

 

用をフォードの社長に納得させる為に、シェルビーがマシンにフォード社長を乗せて

 

ドライブする場面。 車を止めた後のフォード社長のリアクションが素敵でした。

 

 

 

 

そうそう素敵と言えば、ある事情で2位になったマイルズに、人知れず敬意を表した

 

フェラーリの社長も男前でありました。グッそんな記憶に残る場面が多々ある作品で

 

す。本作を観てつくづくマット・デイモンとクリスチャン・ベールという二人の俳優

 

の凄さを改めて感じた私でありました。  キラキラ

 

 

 


カーレースの迫力と人間ドラマ、それに伴うマシン開発の面白さや、町工場が大企業

 

に対抗するようなドラマを連想させる展開もあったりと、映画の魅力が凝縮されたよ

 

うな作品ですので、「車映画」、「男性向けの映画」、と敬遠せずに女性にもご覧に

 

なって頂けたらと思います。

 

 

 

 

「ジェームズ・ボンドはフォードには乗りません」 のセリフが尾を引く作品です

 

そうそう、ストップウォッチを無断で借りてはいけませんぞ! 時計

 

という訳で、機会がありましたら一度ご覧になってみて下さいませ、です。  目

 

では、また次回ですよ~!  パー

 

 

 

 

 

 

 

映画のメイキング映像です。 興味があればご覧下さい。 爆弾