未知の病原体が世界を震撼させる中、ポールは必死で自分の家族を守ろうとしていた。そこへある家族が避難場所の提供を求めてきたので、ポールはやむなくその願いを聞き入れることにした。当初、2つの家族の関係は良好なものだったが、いつ終わるとも知れない恐怖に耐え続けるうちに、いつの間にか家の中で相互不信と狂気が渦巻くようになっていった、、。

 

 

 

 

 

 

こちらは2017年制作の アメリカ映画 アメリカ です。 (91分)

 

宣伝では ホラー映画 と紹介されておりますが、どちらかというと 心理サスペンス映

 

の比重が大きい作品であります。勿論 ホラー的な要素も多分に含まれております。

 

 

 

 

  

 

ナゾの人  映画は、何かの病にかかった老人のショットで始まります。 その人物は主人公で

 

あるポールの義理の父でした。 マスクを装着し、父を外に運び出すポールと 息子のト

 

ラヴィス。 おもむろに父の顔に枕を被せ、銃で射殺するポール。 そしてその遺体を

 

焼くのでした。  メラメラ

 

 

 

 

 

 

本作は、説明的なセリフを省いた演出になっていて、観ているこちらがパズルを個々

 

埋めていくような作りになっています。  どうやらこの世界では 謎のウイルスが発

 

生し、パンデミック状態。  人里離れた森の一軒家に暮らす ポールと妻 サラ、息子で

 

17歳のトラヴィス、と愛犬スタンリー。 ウィルスは人から人へ感染するようで、

 

 

 

 

 

 

他人が近づき、侵入しないよう厳重に施錠し、夜は明かりが漏れないように薄明り

 

で、全てポールの管理の下に暮らしていました。 家  ある夜、一人の男が家に侵入

 

します。 「空き家だと思った。」 という男を外の木に縛り、感染者か確認するポー

 

ル。 感染の症状が見られない為、男の話を聞くと 「廃墟に居たが、水が残り少な

 

くなった為、妻と幼い息子を置いて探索に出た」 と言います。タラー 

 

 

 

 

 

 

ポールは家族と相談し、いざとなった時に仲間が多い方が良いと、その男 キムと家族

 

を受け入れる事にします。 6人で生活するようになり、互いに和んで行きます。 

 

生活に馴染み、森で作業をしていた時、スタンリーが森の奥を見て吠え始めます。し

 

かし、そこには何も見えません。 危険を回避する為、家へと戻りますが、スタンリー

 

は吠えながら森へと消えて行きます。 チワワ黒  その日の夜、寝付けないトラヴィスは

 

別の場所で寝ていた子供 アンドリューを見つけ、キム夫婦の部屋へと連れて行きます 

 

 

 

 

 

 

しかし家の中に誰かが居る気配を感じたトラヴィスはポールに報告します。マスクを

 

付け、銃を持ったポールとキムはそこで血を流して死にかけているスタンリーを見つ

 

けるのでした。 そして、いつも閉めていたドアが開いていた事に気付きます。この

 

一連の出来事によって誰がドアを開けたのか?そして感染した者がいるのではない

 

か?という 疑心暗鬼 が6人の心に起こり、それが徐々に増幅していくのでした、、。 

 

 

 

 

 

 

多少、見た目の こけおどし的な ヴィジュアルも登場しますが、製作総指揮も兼任して

 

ジョエル・エドガートン の作品「ギフト」に近い静かな演出で進行して行きます

 

好みは別れるでしょうが、私は嫌いじゃありません。 裏読みする必要の無い作品が

 

い中、本作は裏読みして、パズル状のイメージを繋げるとより楽しめる作品になっ

 

ております。

 

 

 

 

 

 

前半に出て来る絵画はペストの惨劇を描いたもので、ポールが劇中 キムに以前の職業

 

を聞かれた際に、歴史の教師をしていて 「ローマ帝国なら俺に任せろ」 と冗談めいて

 

語る場面があります。 ローマ帝国時代 ペストが度々流行し、大量の死者を出していま

 

すし、ポールは家族に対して独裁的でもあります。 筋肉  後半で赤いドアが開いて

 

いた事により疑心暗鬼の陥る訳ですが、別の所で寝ていたアンドリューが疑われます

 

 

 

 

 

 

しかし彼には鍵の所まで手が届かない、、。何故そこに寝ていたのか尋ねても 「覚え

 

ていない」 というアンドリュー とっさにポールが 「夢遊病か?」 と口にするのは唐

 

突です。 これには理由があるのでは? 映画の中に答えはあります。トラヴィスは度々

 

悪夢で目を覚まし、「よく眠れない」 と口にしています。 ポールと母親はトラヴィス

 

に夢遊病の癖がある事を認識していたからでしょう。

 

 

 

 

 

 

アンドリューの感染が疑われ、家から出て行こうとするキム家族の行動によってパニ

 

ク状態になる訳ですが、最後までアンドリューは母親に抱かれた状態で顔は画面に

 

映されません。 本当に感染しているのか不明のまま、不明だからこそ恐怖とパニック

 

増幅していく様は、サスペンス的にリアリティを感じます。 人を疑う事でしか守

 

られない緊張した生活にも最後の時が 静かに やって来ます、、。

 

 

 

 

 

 

正直私自身、全部つじつまを合わせられてはいませんが、現実的な恐怖と、それ以上

 

に恐ろしいのは人間の 不安感 危疑 といった心の中の恐怖を描いた映画です。

 

その辺りの心理を描いた作品が好きな方には楽しめる作品ですが、ビックリ系の作品

 

を観たい方には、少々物足りなさを感じてしまうかも知れません。 

 

 

 

 

 

 

ただ低予算ながら、それなりに見応えはある映画だと思いますので、興味がありまし

 

たら一度ご覧になってみて下さいませ、です。  目

 

では、また次回ですよ~! パー