広島と長崎への原爆投下やソ連の参戦など、日本の敗戦が決定的となった昭和二十年八月、特別御前会議でポツダム宣言の受諾が正式に決定した。だが終戦に反対する陸軍将校たちはクーデターを計画、一方、終戦処理を進める政府は天皇陛下による玉音放送を閣議決定する。終戦反対派は各部隊ごとにバラバラに行動を開始、やがて終戦を受け入れようとする師団長を射殺したり、玉音放送を中止すべく録音物を奪取しようとするなど、その行動が徐々にエスカレートしていく、、。

 

 

 

 

 

 

こちらは1967年制作の 東宝映画 日本 です。 (157分)

 

東宝創立35周年記念作品 として製作された 半藤一利 原作によるノンフィクション

 

基に、岡本 喜八監督の本作は、かなりのオールスター総出演作品となっています。 

 

ただし、かなり渋めの方々が多く、ある世代でないとこの 豪華さ は伝わりにくいかも

 

れません。  キラキラ

 

 

 

 

 

 

ナゾの人  タイトルと内容、上映時間からしてかなり重たい映画を覚悟して、半分歴史の勉

 

のつもりで鑑賞し始めた。  オープニングはポツダム宣言 (アメリカ、イギリ

 

ス、中国の共同宣言) 言ってみれば 「日本への降伏要求の最終宣言」 が日本に勧告

 

され、政府内での討議が行われます。 しかし状況をよく理解していない政府は静観す

 

る事に。 

 

 

 

 

 

 

しかしその後、広島、長崎に原爆が落とされる事になり、天皇の意向もあり政府は

 

ダム宣言を受理し 終戦へと向かう方向で進む事になりますが、陸軍の一部は本土決

 

へと最後の望みを託す事を希望します。  爆弾

 

 

 

 

 

 

政府として国民に、どう 「終戦」 つまりは 「敗戦」 を告げるかを模索する中、天皇

 

自らがマイクの前に立ち、国民に伝えるという いわゆる 「玉音放送」 をする事を天

 

皇自らが希望しラジオで放送する事に。 しかし生放送にするか、録音して放送するか

 

という事も問題に。 カラオケ

 

 

 

 

 

 

結局は録音という事になりますが、一刻も早い終戦の為に、その原稿の作成、録音の

 

準備等が せわしなく、そして粛々と進んで行きます。 遂に天皇がマイクの前に立つ

 

瞬間が訪れ音声をレコードに直接録音していきます。 予備として2枚に収められたレ

 

ード。 

 

 

 

 

 

 

全国民が聞けるようにと、翌日の昼12時に放送が決定。 雷 しかし、政府の意向

 

背き、陸軍 海軍 の中で戦争を続けようとする一部の動きがある事を心配し、放送ギ

 

ギリまで レコードを隠す事に。 天皇の放送がされては敗戦が決定的になってしま

 

為、戦争を続行しようとする軍の一部がそれを阻止しようと奔走。 放送前までに

 

何とかレコードを手に入れ、破棄しようと画策するのですが、、。  

 

 

 

 

 

 

といった、昭和天皇や鈴木貫太郎内閣の閣僚たちが御前会議において日本の降伏を決

 

定した1945年8月14日の正午から、国民に対してラジオの玉音放送を通じて、

 

ポツダム宣言の受諾を知らせる8月15日正午までの24時間を描いている、正に 

 

「日本のいちばん長い日」 をドキュメントタッチで描いた作品です。  カチンコ

 

 

 

 

 

 

本編が始まってタイトルが出るまで20分という時間がかかります。 しかし、この年

 

齢になって観たからでしょうか? 最初から最後まで飽きる事無くみる事が出来ました 

 

それはこの事実に興味があるからというだけでなく、本作が時間的にも密で、その上

 

サスペンス作品のように上手く描かれている為です。 

 

 

 

 

 

 

脚本の橋本忍、監督の岡本喜八 の見事な手腕は勿論大きいのですが、出演陣の演技、

 

最も大きいのがその 「面構え」 です。端役、エキストラに至るまで、その時代の顔を

 

しているのであります。無骨でドスンとしたその顔、顔。軍服や衣装を着させられて

 

いる感がない。こういった所は時代ものには重要だったりします。

 

 

 

 

 

 

最もエモーショナルなシーンは、玉音放送が録られた後でも、特攻隊が町の

 

人に見守られながら最後になるであろう酒を飲み、大福やおはぎを食べ、日本の為と

 

鉢巻を絞めて、戦闘機で出撃していく場面です。 あせる  

 

 

 

 

 

 

これ以上国民の死者と、苦しい思いをさせたくないとする政府の決断と、これまでの

 

牲者や仲間の 御霊 が犬死にならない為にも、少しの希望がある限り戦争を続けよう

 

する軍の一部の気持ちも分からないではない苦しさがあります。 敗戦するとは、

 

日本国が消える事。

 

 

 

 

 

 

日本国民が消える事だと思っていた当時の軍人ならそのような行動も理解出来ます。

 

現在のような日本が未来に存在するなどと考えられなかった事でしょうね。 日本

 

三船敏郎、笠智衆、宮口 精二、志村 喬、山村 聰、加藤 武、高橋 悦史、伊藤 雄之

 

助、天本 英世、藤田 進 平田 昭彦、小林 桂樹、加東大介、中丸忠雄、といった面々

 

(これでも一部) その中でも 黒沢 年雄 が中心となって叫び、走り回っていたのが意

 

でした。 そして当時「若大将シリーズ」 で人気があったのでしょう 加山雄三 が

 

ポスター等で扱いが大きいのが気になる私でありました。 真顔 

 

 

 

 

 

 

 昭和天皇は姿は見せますが、顔が映らないような演出になっていて、逆に効果的に働

 

いております。オールスターでありながら、「史上最大の作戦」 や 「大脱走」 のよ

 

うな爽快な作品になれない敗戦国の私達。 かと言って、勝っていても、、と複雑な

 

思いになるのが戦争というものですね。  映画の最後、監督がどうしても入れたかっ

 

たという数字が出て来ます。

 

 

 

 

 

 

それは  

 

「太平洋戦争に兵士として参加した日本人1000万人(日本人男子の4分の1)」

 

「 戦死者200万人 」「一般国民の死者100万人 」「計300万人(5世帯に1

 

人の割合で肉親を失う)」「 家を焼かれ財産を失った者 1500万人 」それに被り

 

当時の戦時中の映像や写真が映されます。 これは劇中でも度々当時の映像が挿入さ

 

れていて、よりリアルに感じる事が出来るようになっています。 

 

 

 

 

 

 

十分重い内容ではありますが、様々な出来事がどうやって進んで行ったのかが非常に

 

分かりやすく、それでいて映画としてもサスペンスフルに展開されていて、しっかり

 

とエンターテインメント作品としても観る事が出来る良質の作品となっております。 

 

こちらをご覧になって、それぞれで戦争というものを考えるいい機会の映画だと思い

 

ますので、一度鑑賞してみてはいかがでしょうか はてなマーク です。 目

 

では、また次回ですよ~! パー