財界の大物たちが誘拐される事件が相次ぐ中、東日電気の社長である南条が誘拐された。東日電気会長の小日向は、殺し屋である鳴海昌平に五千万円で南条の救出を依頼。鳴海は南条が監禁されている精神病院に潜入し、激しい銃撃戦の末に南条を助け出したが、、
こちらは1978年制作の 日本映画 です。 (89分)
松田優作 演じる 鳴海昌平 を主人公とした、遊戯シリーズの第一作目になります。
監督は 村川 透で、このシリーズ以外にも 松田優作の代表作で、私も大好き 「蘇る金
狼」 「野獣死すべし」 も監督する事になる名コンビの誕生記念作品でもあります。
普段は麻雀に通ったりとだらしない生活を送る鳴海昌平。 しかし、その裏の顔は
腕利きの殺し屋 そんな鳴海に仕事の依頼が舞い込みます。
依頼主は財界の大物 東日電気の 小日向会長からで、手段は選ばず、誘拐された東
日電気の社長の南条を助け出して欲しいというものでした。 誘拐を企んだ黒幕は国防
省の防空警戒システム受注を争う競業会社の五大コンツェルンの足立精四郎という男
5千万で請け負った鳴海は 足立の懐刀で、誘拐事件の実行犯グループを率いて
いる居郷の足取りを探る為に、居郷のマンションへ侵入します。
そこに居た情婦の杏子に聞き出しますが、その間に居郷から取引の電話が掛かります
が、取引は失敗。 仕方なく鳴海は杏子を自分のアジトへ連れ帰る。 鳴海は南条が
監禁されている先に乗り込み救出しますが、次の瞬間、別のグループに襲撃され南条
は殺され、鳴海自身も傷を負ってしまいます。 まだアジトに留まっていた杏子に手当
を受ける鳴海。
鳴海は小日向会長に金を返しに出向きますが、小日向はその金で、新たな依頼をしま
す。 それは黒幕である足立の暗殺でした。 鳴海は新たにその仕事を受けますが、この
一連の出来事の裏には、警察も巻き込んだ大きな策略が潜んでいたのでありました。
映画のお話自体は 劇画漫画 の世界で、これこそ日本のハードボイルドの醍醐味です。
とにかく本作は 松田優作あっての作品である事は間違いありません。
彼の仕草一つ、セリフ 一つ、アクション 一つが魅力的なのでございます。 異彩のオ
ーラ出まくり映画です。
ハードボイルド物というと、「蘇る金狼」 のような寡黙な男を連想しますが、本作で
は意外とコミカルな人間的な一面も描かれていて、松田優作という俳優の美味しい所
が凝縮されている作品でもあります。 本作の前年に 「人間の証明」、本作の翌年に
「蘇る金狼」 とTVの 「探偵物語」 であります。 ハードボイルドとコメディ そのエ
ッセンスが本作でチラホラと見え隠れしています。ある時期のTHE松田優作映画の
決定版です。
地味にちょい役で内田裕也、柴田恭兵、石橋蓮司、阿藤海 等というお顔も見れます
本作の見所は、松田優作のアクションは勿論ですが、後半の名場面。 女性を車で連れ
去られた鳴海が走りながら延々と車を追いかける場面です。
「太陽のほえろ」 以上に走りまくります。 車と同等に走る鳴海。 普通に見たら笑っ
てしまうような場面ですが、松田優作の走りを見るとちょっと納得してしまう私でし
た。それとエンディングのストリップ小屋でのやりとり。 ストリッパーを誘うも( こ
の場面でのBGMが 「人間の証明」 のテーマで、大野雄二が音楽担当していました。
洒落てますね。 )
「 私は 草刈正雄 みたいなのが好きなの!」 と あしらわれてしまうコミカルな場面。
時代も感じるハードボイルド映画らしからぬ良いエンディングとなっています。
当然設定から、もろもろおかしな所は多々ありますが、そんな事はどうでもいいので
ありまして、松田優作 という生き物を観るのみの映画でございます。
女性はちょっと敬遠してしまいそうな映画ですが(劇中の女性の扱いも確かに、、)
男が憧れる男というのはどんな人間か を一度ご覧になってみてはいかがでしょう
か、です。
では、また次回ですよ~!