コペンハーゲン地下鉄の一大プロジェクトのPRコーディネーターであるリーは、トンネル工事の圧気作業の取材に訪れていた。リーは、ベテラン作業員のイーヴォと、国に妻子を残して出稼ぎに来ているバランに案内され、地下20メートルもの深さにある気圧作業室へと入る。作業室は数人でいっぱいになるほど狭い空間だった。リーが取材を進める中、トンネル内で火災事故が発生。彼女たちは作業室に閉じ込められてしまう、、。
こちらは2018年制作の デンマーク映画 です。 (88分)
いわゆる 「 閉じ込められ脱出サスペンス 」 もの作品でございます。 こう聞くとつ
い安っぽいB級作品をイメージしますが、( 邦題含め、私自身そのつもりでレンタル
したのでした )前半部分は NHK のような、ドキュメンタリー番組を見ているような
社会派の質感です。
今回閉じ込められる場所はかなり特殊な状況下となっておりまして、地下鉄を作
る掘削現場です。 その最も最前線場所、掘削機の先端部 ( これが原題になっ
ている カッターヘッド という、パーツの名称です ) その地下20mの工事現場へ、
プロジェクトPRコーディネーターの リーという女性が現場の取材に訪れる所から始
まります。
もう少しの距離で貫通という現場で働く労働者にインタビューしたり写真を撮るリー
特権を利用して先端部へ取材に入る事を許されますが、突然の火災が発生
そこで作業していたイーヴォと、助手のバランは作業員が入る狭い気圧調整室に、リ
ーはそれに隣接する、これまた狭い医務室へ一人押し込まれます。 外の状況が不明
なまま、不安の中 過ごしていたリーでしたが、隣のイーヴォとバランの居る部屋へな
んとか移動する事に成功
3人で状況が落ち着くのを、ただただ待つ3人。 イーヴォは妻と子供をクロアチアに
残し出稼ぎの身、バランも複雑な身の上で難民で不法労働の身でした。 しばらくして
助けが来ますが、再度大きな爆発が外で起ってしまい、 救助隊も壊滅状態となっ
てしまいます。 互いにも疑心暗鬼になり、酸素も薄くなる中、抜け出せるのは掘削
機のある闇と泥の空間のみ、生存する為にはそこへ足を踏み込まなくてはならなかっ
たのでした、、。
一応の主人公はリーという女性になりますが、かなり彼女の行動によって混乱をきた
す事になり、ラスト付近まで観ているこちらはイラつく事必至です。 様々な境遇の
3人の人物を配置する事で、デンマークという国の状況、しいてはヨーロッパ諸国の
多民族化も象徴しています。 状況的に助け合うどころか、ギスギスする3人。 ラス
ト近くでやっと人間的な助け合う心が生まれますが、その先のラストはなかなかの気
まずさが残るエンディングとなっております。
低予算の為か、かなり実物を使ってのロケーションがリアリティを生んでいて、作業
現場の小物や、シェルターが非常に生々しく、作業に入る為に減圧したり、耳抜きを
したりというディティールが本編以上に面白く感じた私でありました。
B級サバイバル映画を期待して観ると、意外と社会派なリアルなものに感じてしまう
かもしれませんが、特殊で危険な現場で、危機的状況を 疑似体験出来る映画でもあり
ます。
作品に入り込み過ぎると、呼吸困難に陥りそうになる危険と、ラストの人間という 生
き物 の 「生」 に対する欲望のいやらしさを感じる、なんとも嫌~な終わり方、、。
そんな作品自体が 埋もれがち な映画ですが、興味が湧きましたらご覧になってみて下
さいませ、です。
では、また次回ですよ~!