ラブレス (映画)
一流企業で働くボリスと美容サロンを経営するジェーニャは離婚協議中の夫婦。言い争いが絶えず、目下の問題はどちらが12歳の息子アレクセイを引き取るかということ。2人ともすでに恋人がいて、新しい生活をスタートさせる上でアレクセイはお荷物でしかなかった。そんな中、学校からの連絡でようやくアレクセイが行方不明になっていることに気がつくボリスとジェーニャだったが、、。
こちらは2017年制作の ロシア
フランス
ドイツ
ベルギー
による
合作映画 です。(127分)
第70回 カンヌ国際映画祭コンペティション部門で、審査員賞を獲得した本作。 ![]()
カンヌ 好みな作品で、なかなか重たい内容でした。 以前こちらでもご紹介した 「裁
かれるは善人のみ」 、「父、帰る」 の アンドレイ・ズビャギンツェフ 監督作です。
前作同様、雪の積もるモスクワの自然の風景が映されます。 美しさと驚異の世
界を感じさせるオープニングです。
12歳の息子 アレクセイ を持つ両親は離
婚を決意し、アパートを売りに出しています。 内見者が訪れるような中で宿題をする
アレクセイ ![]()
夜。 たまに帰って来た父親は、アレクセイの聞こえる所で妻と離婚協議の話を始めま
す。 話の中心はアレクセイの親権をどうするか?です。但しこの夫婦は、どちらも
自分のエゴを優先させ、アレクセイを引き取るではなく、相手に押しつけようと言い
合っているのでした。
そんな両親の罵り合う声を聞き、自分の部屋で涙するアレクセイ
( 酷い話です )
母親と暮らしているアレクセイはある朝、朝食を摂らず学校へ出かけて行きます。
母親はネグレクト気味で、主人と結婚し、アレクセイを産んだ事を後悔していまし
た。 夜になると愛人の男と食事に出かけお泊りしてお楽しみです。 父親は一流企
業で働いていましたが、こちらも女性を作り、妊娠させていました。 離婚成立した
ら結婚するだけの状態です。 ![]()
そんな父親に妻から電話がかかって来ます。 アレクセイの学校から、2日間学校に
来ていないと連絡があったというものでした。 妻は自分の時間を楽しんでいてアレ
クセイの生活など把握していなかった為の出来事。 父親にとっては寝耳に水状態で
ありました。 ![]()
警察に届けるも、そんな暇はないと専門のボランティア団体を紹介される始末。
組織化されたボランティア団体に指示されるままにアレクセイの捜索をする事になる
二人でしたが、、。
といったお話でありまして、大人のエゴによって犠牲になる子供のお話で、そもそも
気分の良いものではありません。 映像は悲しい程美しく、それゆえに物語の空虚感
や、憤りを際立たせています。 中盤からはアレクセイを探すミステリー的な展開に
なりますが,ボランティアの陰に隠れて自発的な行動がほぼ見られなくなり、行動はし
ているものの本気で子供を探しているのか疑問すら感じてしまいます。
アレクセイの失踪という事件を軸に、母親と父親、それ以外の個々の生活、その親と
の関係等が絡み合って、人間の持つ嫌な本性を見せつけられる事になります。
とにかく大人は自分の立場を正当化する為に嘘をつく生き物だという事を改めて認識
してしまう私でありました。 ![]()
アレクセイが消えた事で、急に母性が目覚めるエゴな母親もどうかと思ってしまいま
す。時間が流れ、家の内装をリフォームしている場面で、アレクセイが居た部屋の壁
紙が剥がされます。 カメラは静かに部屋の窓に近づき、外で遊ぶ子供達を映す映像が
印象的です。
エンディング テレビから流れる戦争のニュースを横目に、元夫は新しく生まれた子供
を邪魔そうに子供用のケージに入れ立ち去り。 元妻は、愛人の豪邸でテレビから流
れる、悲惨な女性の訴えから逃げるようにルームランナーでランニングを始める。
生活環境は変わっても、本質的に何の変化もない二人、、。
ロシアという国の情勢をも反映させた内容ですが、鑑賞後なんともいえない気分にな
る映画でありました。映画自体は大変クオリティーは高く、人間ドラマとしても非常
に見応えがあるものですが、オープニング映像同様、美しくも冷たい作品です。
あの愛は無く、物質的に整った家よりも、今にも崩れ落ちそうな廃墟の方に自分の居
場所を見つけていたアレクセイ。
あの廃墟こそがアレクセイの心の中を表しているようで、いたたまれない気分になっ
てしまいます。あの木にたなびく 立ち入り禁止のテープ にアレクセイの心が被るショ
ットでした。そんな訳で、心の奥をえぐられるような映画ですが、時にはこのような
作品を観て、今の自分の気持ちと照らし合わせてみてはいかがでしょうか
です
では、また次回ですよ~! ![]()
エンディングに流れる印象的なピアノ曲です。宜しければお聞き下さい。 ![]()












