某国の駐仏大使とその友人一行が、セネシャルの屋敷を訪れる。そして、客人とホストという関係を無視し、彼らは互いに自分の好きなように行動し始める。そこには、他人との接点を持たない、奇形ともいえる人間関係があった、、。
こちらは1972年制作の フランス映画 です (102分)
シュールレアリスム映画の代表作として、現在でも有名な 「アンダルシアの犬」 を
ダリ と共同監督した ルイス・ブニュエル の作品で、この年の アカデミー外国語映画
賞を受賞した作品でもあります。 半分はポスターアートに惹かれてお取り寄せした
という不純な私。
物語はタイトル通り 6人のブルジョアジーが、同じような状況に置かれ、それを
様々な出来事を挟みながら 反復 していくという不思議な構造のお話です。
自宅の夕食会に友人たちを招いておきながら、すっかり約束を忘れていた主人、いざ
客たちが集まっても何の用意もできていなかった、という冒頭から始まり。 レスト
ランへ移動し食事しようとしたら、レストランの主人が亡くなっていて店の隅に遺体
が、、
こんな状況では食事出来ないと店を後にする羽目に。 このような食事しようとする
と邪魔が入り、結局食事する事が叶わないという状況は、他にも情事の場面でも数ヵ
所登場し、そちらも良い所で邪魔が入り目的を果たせず終わります。
映画の中では物事が何一つ完結しません。
それらが叶う場面もありますが、それは夢であり、目を覚ます事で終わってしまいま
す。 ある人物が夢から覚めた瞬間、次の人物の夢の始まりだったりもして、食事と
夢の反復が繰り返しながら進んで行くのですが、果してお話が進んでいるのかも観て
いるこちらには、もはや謎でありました
同じような日常を繰り返すブルジョアジー達の反面、映画では 司教が庭師になった
り、兵隊が屋敷に訪れたり、大使はテロリストの女と戯れたり、実業家は麻薬の密売
人になったりと身分の壁が崩壊し、社会層が無秩序化しているさまも描いています。
儀式的で退屈な束縛や階級生活の ブルジョアジー を、シニカルなコメディ映画のよう
な視点で描いた作品です。
ブルジョアジーの6人が、何もない道を進んで行く場面が劇中に3回程あり (Gメン
75感)、ラストもその場面で幕を閉じますが、そのショットの意味を様々に思考す
ると、観る人によって色々と捉えられて面白いのではないでしょうか?
様々な意味で 完結していない映画 でありますが、人間の生活は、「反復と記憶」であ
る と、監督が言っているように、この映画はそれをシニカルに表現した作品となって
おります。
インテリ向きの小難しい映画のような、ブルジョアジーを馬鹿にしたコメディ映画の
ような、観づらいのか、観やすいのか 判断に迷う作品ではありますが、もし興味が湧
きましたら、ご覧になってみて下さいませ、です。
では、また次回ですよ~!