ドイツのごく普通の高校。教師のライナー・ベンガーは、独裁制についての特別授業を受け持つことに。しかし授業の内容に制約はなく、手探り状態のベンガーは、生徒たちに全体主義を体験させることを思いつく。そして、自らが指導者となり、単純明快な規律とスローガンを掲げ、集団の結束を説いていく。やがて、その集団は“ウェイヴ”と命名され、束縛が嫌いなはずの生徒たちが、いつの間にか自発的に団結を強めていくようになるのだった、、、
 

 

 

 

 

 

こちらは2008年制作の ドイツ映画 ドイツ です (108分)

 

1969年 アメリカの高校で実際に起きた出来事を基に、舞台を現在のドイツに置

 

き換えて脚色したものが本作となります。 (実録好きにはワクワクです)  カチンコ

 

 

 

 

 

 

8mm  高校の体躯教師 ベンガーは 「独裁」 をテーマに一週間の実習授業をする事にな

 

ります。 現在において、「独裁制は成立するのか?」 ベンガーは生徒の色々な意見

 

を聞き、実験的な授業を試みます。 彼自身が代表者となり、様々なルールを決めた

 

授業を始めます。

 

生徒は彼をベンガ―様と呼び、意見は起立して言う事に。 運動と協和の為と足踏み

 

をさせ、団体として結束する為の名前を決めさせ 、シンボルも生徒に頼みます。

 

 

 

 

 

 

「ウェイブ」 と名付けられた集団は 白シャツを制服とし、敬礼までするようになりま

 

す。最初は戸惑っていた生徒達でしたが、徐々に夢中になり始め、他のクラスからも

 

希望者が来る程の人気となります。 自発的にホームページを立ち上げ、街中にシン

 

ボルを貼り付けるまでに。 今まで疎外されていたような生徒程夢中になり、「ウェ

 

イブ」は固い結束の集団となって行き、ただの授業だったものが、それ以上の存在と

 

なって暴走し始めるのでした。

 

 

 

 

 

 

独裁という体制を否定する為の授業が、一つのきっかけさえあれば教師以上に盛り上

 

がってしまう生徒達の恐ろしさ。 これがドイツで、という所にも脅威を感じます。 

 

ちょっと変わった授業で、いつもと違ってなんか楽しい。学園祭のようなノリで始ま

 

った団体ごっこ、集団心理と相まって 自分達が名付けた 「ウェイブ」 という集団

 

が、あたかも 「偉大なもの」 のように勘違いし始め、それに帰属し、そこで偉大なこ

 

とを成し遂げたいというおかしな心理へと変化する描写はリアルに感じます。そこに

 

所属している自分は他とは違う人間で、所属していないものを差別し始めます。 ま

 

さに、ファシズムの誕生であります。 ハーケンクロイツ

 

 

 

 

 

 

そして弱い者ほど、「それ」 に帰属する執着心が強くなるというのも興味深い所です 

 

帰属する生徒のみならず、マインドコントロールの中では、支配側 (教師)にもその

 

快感が起こるというのも心理学的に面白く、反面恐ろしくもあります。

 

ただ、昭和教育を受けた私などは、ラジオ体操や運動会の行進、授業中手を上げて起

 

立で答える等、普通にやっていた世代から見ると (最近の小学校がどうか知りません

 

が) 国や文化の違いを感じてしまう所もあります。 軍国主義の名残でしょうか、、、 

 

全体主義の長所もありますが、ちょっとしたきっかけで恐ろしい集団と化してしまう

 

という恐怖。

 

 

 

 

 

 

始まりは民主主義で決めて行ったものが、いつの間にかそれが 独裁 とすり替わってい

 

る事に気付かないというのが皮肉であります。  同じような実話物で 「℮S」​​​​​ と

 

いう映画もありましたが、本作はまた違った集団心理の怖さを味わう事が出来ます。

 

劇中、イケていなかったティムが 「ウェイブ」 というものに存在意義を見い出し、そ

 

れにのめり込んで行く姿に悲しみさえ感じてしまう私でありました。  

 

若者目線で、集団心理の恐怖をリアルに感じる事の出来る作品だと思いますので、

 

興味がありましたらご覧になってみて下さいませです。  目

 

 

では、また次回ですよ~! パー