伊豆大島で漁船の船長をする亀五郎は、1泊2日の予定で近くの島に仕事をしに八蔵、自身の甥・三吉、それに偶然便乗することになった海女の女・五郎助と船出する。しかし沖に出た途端 嵐に巻き込まれてエンジンが止まってしまい、船は東へ東へと流される。数日後、ようやく嵐が収まるが身動きが取れず、亀五郎たちは少ない食料で生き延びながら他の船が通りかかるのを祈るしかないのだった、、、

 

 

 

 

 

 

こちらは1962年制作の 日本映画 日本 です (116分)

 

なんとも堂々として、シンプルなタイトルでございます 以前ご紹介した 「鬼婆」 

 

「絞殺」 の 新藤兼人 監督 脚本作品の モノクロ映画になります  カチンコ

 

 

 

 

 

 

8mm  漁船に乗り合わせた4人が、嵐によって船は破損し流されるままに 積んであっ

 

たわずかな食料で、発見されるか分からないまま 漂流をつづける事になるのでした  

 

海神丸の 船長 (殿山 泰司)、操業の手伝いをする甥の 三吉 (山本 圭)、小遣い稼

 

ぎで乗った 八蔵 (佐藤 慶)、隣島までアワビを売る為に便乗した海女の 五郎助 (乙

 

羽 信子) 。

 

 

 

 

 

 

食料を切り詰め 3週間が過ぎた時、船長のやり方に疑念を抱いた八蔵と五郎助は結託

 

し、残った食料を二等分して、船長とは別に船首下の部屋で行動をとるようになりま

 

す。 思っていたとうり、無計画な二人は早々と食料を食べ尽くしてしまいます おにぎり 

 

 

 

 

 

 

空腹な日々が続いた二人の目に、甲板を歩く三吉の足が見えます 目 八蔵がそれを

 

眺めて 「魚でも牛肉でもあがいに美味いんじゃけえのう、人間だけが美味くねえはず

 

がねえ、、、」 と語り見つけて来た ナタを研ぎ始めるのでありました 鉈 

 

 

 

 

 

 

空腹の極限に至った二人は、遂に行動に移すのでありました  チキン  中盤からはまるで

 

ホラーサスペンス映画を観ているような展開となります。  場面は、ほぼ 海神丸 と

 

いう狭い舟の中、登場人物も4人しか出ておりませんが ( ヒッチコックの「救命艇」

 

を思い出しますね)最初から最後まで緊張感が漂っております。 

 

 

 

 

 

 

製作費も安いであろう作品ですが、嵐の場面など どうやって撮影したのか?という程

 

の迫力がございました。 波  漁師然とした 殿山 泰司 の佇まい、この作品で初めて

 

カッコイイと思った私であります。 そして、きっと悪い方に転ぶであろう期待を裏

 

切らない佐藤慶 のいやらしい演技。 そして「鬼婆」でも垣間見えた乙羽信子の狂気の

 

演技と、山本 圭の若い事 。 

 

 

 

 

 

 

雨で水は確保出来たものの、コメは無くなり、イモを少しずつ味噌と煮て食べる場面

 

等のディテールのリアリティは感心してしまいます。

 

何故か音楽にジャズを使っているミスマッチ感はフランス映画の影響でしょうか?

 

「野火」 同様、極限の空腹によって人間を食べようとする動物と化す人間 歯  しか

 

し、このタイトルの意味する所はその先の物語にありました。 

 

 

 

 

 

 

三吉を殺めてしまった 八蔵と五郎助は、自らの良心の呵責と罪の意識に苛まれる事に

 

なります。 人間が他の動物と違う所、人間が人間たる所とは !?  

 

水平線のみが見える大海、それに対比するかのような小さな船 このミニマムな世界

 

で描かれる、正に 「人間」 のドラマです。

 

今観ても、古びる事のない作品ですので、機会があればご覧になってみて下さい 目

 

では、また次回ですよ~! パー