第2次世界大戦後、実業家として成功をおさめたビリー・ピルグリム。自らの意思と関係なく自分の過去・現在・未来をとびまわるようになった彼は、戦争での捕虜体験、飛行機の墜落事故、ドレスデンでの大空襲など、さまざまな出来事のなかをさまようのだが、、、


 

 

 

 

 

こちらは1972年制作の アメリカ映画 アメリカ です (103分)

 

1969年に出版された カート・ヴォネガット の小説を、「明日に向かって撃て」 

 

「スティング」の ジョージ・ロイ・ヒル が監督した異色の作品でございます。

 

 

 

 

 

 

8mm  主人公 ビリーが、現在、過去、未来 と 自分の意志とは関係なく、時間を行き来

 

する、タイムトラベル物の形をとりながら、原作者自身の体験である 第二次世界大戦

 

でのドレスデン爆撃 が中心に描かれています。 ドンッ そんなシリアスになりがちなテー

 

マの反面、後半では、四次元に住む トラルファマドール星人 なる宇宙人に招かれ、

 

最終的に彼等の動物園のような空間で暮らすことになるという怒涛の展開となる本作

 

 

 

 

 

 

ビリーという人物が、時代に翻弄されながら生きていく姿を、断片的に現在、次の瞬

 

間は過去、次の瞬間は未来と見せる事で、一方通行だと思っている時間の観念を揺さ

 

ぶって来る哲学的な側面も持ち合わせた作品でもあります。 それを理解しやすくさ

 

せる存在として、トラルファマドール星人なる宇宙人を登場させています 彼等は四

 

次元に存在し、私達の目では見えないという存在  目 

 

 

 

 

 

 

トラルファマドール星人は四次元的知覚を持ち、生命の一生を同時に見ることができ

 

ます。 つまり、「人生は瞬間の集合だ」 という事です 生きるという事と、死は同

 

時に存在している 死は生の対極としてではなく、その一部としてあると訴えていま

 

す。

 

ビリーという主人公を通じて、「全てはひとつの次元であり、我々はその切片が同時

 

に存在することを知っているのだから、誰もが永遠に生きており、死は特別悲しいも

 

のではない」と語っています  また、「人が死ぬとき、その人は死んだように見える

 

にすぎない。

 

 

 

 

 

 

過去では、その人はまだ生きているのだから、葬儀の場で泣くのは愚かしいことだ。

 

あらゆる瞬間は、過去、現在、未来を問わず常に存在してきたのだし、常に存在し続

 

けるのである。」 と語ります。  これはビリーがドレスデンで、一瞬にして多くの死

 

者を出した爆撃を目の当たりにした事も大きく関わっているのですが、「死」がただ

 

の終りと考えるには、あまりにも悲しいと作者が考えたからかも知れませんね。 

 

 

 

 

 

 

劇中ではこんなセリフもあります 「永遠に生きるには、人生で良かった時のことだけ

 

見つめれば良い」  SFの形をとりながら、人生というものを肯定的で楽観的に応援

 

している作品でもあります  死を恐れる事はない、永遠に続いているのだ!と、、。 

 

ただ、映画だけで理解しようとするとちょっと難しく感じてしまうかも知れないの

 

が、やや難点でもありますし、解釈によっては、ビリーが PTSD による症状と妄想

 

にもとれてしまうのは事実でございます。 まぁ観た人の解釈にもよりますが。

 

 

 

 

 

 

個人的には、戦時中のビリーの行動が常に受動的な事と、戦争以降 大人になったビリ

 

ーが 急激 に主人公としての魅力が失せてしまったように感じてしまい、奥さんの暴走 

 

と 犬のスポット 犬 に目がいってしまうのでした。「そういうものだ」 です ビックリマーク

 

映画的にも、ジョージ・ロイ・ヒル作品としても、異色な作品でありますので、興味が

 

湧きましたら、ご覧になってみてはいかがでございましょうか はてなマーク です。 目

 

では、また次回ですよ~! パー