俳優として活躍していたクリント・イーストウッドが監督としてデビューを果たした

 

記念すべき第ー作目の作品。   

 

 


 

 

 

      -  PLAY MISTY FOR ME  - 監督 クリント・イーストウッド

 

 出演 クリント・イーストウッド、ジェシカ・ウォルター、ドナ・ミルズ 他

 

こちらは1971年制作の アメリカ映画 アメリカ です(103分)

 

 

 

 

8mm  米カリフォルニアにある海辺の町でラジオDJをしているデイブ(イーストウッド)は、行きつけのバーで、E・ガーナーの名曲「ミスティ」を毎晩リクエストしてくるエベリンと出会う。デイブは出来心からエベリンと一夜を共にするが、その日からエベリンはデイブにつきまとうようになる、、。

 

 

 

 

こちらもかなり昔にTVで鑑賞して以来の作品で、気になってお取り寄せしてみました。 現在では普通に ストーカー という言葉が認知されていますが、本作が公開された当時は、まだそのような言葉すら無かった時代の作品です。 パワフルな男の代表クリント・イーストウッド が一人の女性に付きまとわれて地獄をみるという異色の サイコサスペンス映画 で、イーストウッドの記念すべき 第一回監督作品でもあります。

 

 

 

 

 

KRMLラジオのスターDJ デイブ の番組には、決まった時間に同じ女が「ミスティ」をリクエストしていました。 そんなある日、デイブは行きつけのバーで イブリン という女と出会います。 偶然出会ったと思っていたデイブでしたが、実は彼女の計算だったのです。 彼女こそ毎晩 「ミスティ」をリクエストしていた女でした。 

 

 

 

 

二人は一夜限りという約束で情を交わしますが、なんと翌日にイブリンが自宅に押しかけ、唖然とするデイブに食事を作ろうとします。  「約束が違う」 と責めるデイブでしたが、情に負け その日は受け入れてしまう事に、、。

 

 

 

 

数日後、デイブは町に戻ってきたかつての恋人トビーと再会し、お互いの愛を確認します。 しかしイブリンは執拗にデイブに迫り、何かと彼に迫ります。 さすがにイブリンの行動に嫌気が差したデイブは別れ話を持ちかけますが、彼女の言動は日を追うごとに異常性を増していきます。  ついには深夜、自宅に押し掛けたイブリンは浴室で自ら手首を切って自殺未遂を起こします。  

 

 

 

 

やむを得ず一晩彼女を泊めた翌日、トビーにすべて打ち明けるのでした。 その足で帰宅したデイブが目にしたのは、彼の家政婦が瀕死の重傷を負い、傍らにイブリンが放心状態で座っている姿でした。  警察に通報し、イブリンはサナトリウムに入院する事になります。  その後しばらく平穏な日々が続いていた本番中のある夜、サナトリウムを退院したイブリンから仕事でハワイに行くと告げられます。 

 

 

 

 

翌日、デイブは電話口でイブリンが口ずさんだ エドガー・アラン・ポーの詩のタイトルを思い出します。  そのタイトルは 「アナベル・リー」 という題名でした。 アナベルとはトビーが新たに暮らす事になったルームメイトの名前でした。 昨日のイブリンからの電話はデイブへのメッセージだったのです それに気付いたデイブはトビーの元へと車を走らせるのでしたが、、、 

 

 

 

 

アクション俳優だったイーストウッドがDJのイメージに合っているかはともかく、なかなか面白い仕上がりになっている映画です。 この作品の真の主人公は 精神分裂症 のイブリンで、普通に見えていた彼女が、ふとしたきっかけで 第三者に向かって 「くそったれー!」 と罵声を浴びせる場面の豹変ぶりはもう完全にホラーです。 

 

 

 

 

それを見たデイブの表情が凍り付き、「あ、こいつヤバイかも?」 と気付き始めますが、次の瞬間にはイブリンの表情が元の笑顔に戻り、何事も無かったように喋りはじめる辺りの恐ろしさ。 

 

 

 

 

他にも、口紅で姿見にメッセージを書き残したり、追い返そうとするデイブの玄関先前で裸になったり、彼の車の鍵を抜き、「取ってみなさい~」と小さな子供のようにはしゃぐ姿の狂気性。 じわじわと彼女の普通ではない部分が露呈して、背筋が寒くなってくる感じが良く描けております。 まぁ、元々は自ら撒いた種なのですがね、、、。

 

 

 

 

但し、目線を彼女側に変えてみると、本作はイブリンという淋しい女性の純愛物語でもあるのです。 彼の事が好き過ぎて周りが見えなくなってしまった末の出来事。 純粋ゆえに起こしてしまった一途の叶わぬ悲恋の物語です。 そんな彼女の心境が時々垣間見える為に、ラストは切ない気持ちも芽生える私なのでした、、、。

 

 

 

 

多分、「危険な情事」 や 「ミザリー」 といった作品も少なからず本作に影響されている面もあるのではないでしょうか? 本作が初監督作のイーストウッドですが、流石におかしなバランスの部分もあります。

 

 

 

 

デイブとトビーがデートする場面 BGMに ロバータ・フラック の「愛は面影の中に」 がフルで流れる中、ひつこい程の散歩からの裸と滝でのキス、からの~ラブシーン。 観る時の体調によっては睡魔に襲われる程のイメージビデオ感で、女性ファン向けのサービスショットだったのか、今でも謎の迷場面です。  

 

 

 

 

もう一つは完全にイーストウッドの趣味だろ~!と思われるジャズフェスティバルのこれまた妙に長いゲリラ撮影と、その割に物語にたいして絡まないというシーン。 この趣味と実益を兼ねた緩さが70年代の映画界の良い所でもあり、そこが時代的な醍醐味なのかも知れません、、。 本作では馴染みのバーテンダー役でイーストウッドの盟友でもある ドン・シーゲル監督が出演されていて、大人の遊び心をくすぐってくれます。

 

 

 

 

そして本作の最大の見所はやはりイブリンを演じた ジェシカ・ウォルターで、ゴールデングローブにノミネートされているくらいのサイコで強烈な演技こそがこの映画の魅力です。男性を襲う精神分裂症の女性を描いた先駆け的な作品で、70年代の空気を感じつつも現在に通じるテーマと恐怖が体験出来る作品だと思いますので、機会があればご覧になってみて下さいませ、です。 

 

 

では、また次回ですよ~! パー

 

 

 

 

 

 

 

 

イブリンがリクエストしてくる曲 詞を見ると彼女の悲しみが伝わって来ます 汗 音譜