ドイツ、ハンブルク 生粋のドイツ人のカティヤは学生時代に出会ったトルコ系移民のヌーリと結婚し、かわいい息子にも恵まれ幸せな日々を送っていた そんなある日、ヌーリの事務所前で爆発事件が起こり、最愛の夫と息子を一瞬にして失う 警察はヌーリが移民だったことから外国人同士の抗争を疑うが、カティヤは移民を狙ったネオナチによるテロに違いないと訴える やがてカティヤの主張通り、ネオナチの若いドイツ人夫婦が逮捕され、裁判にかけられるのだったが、、、

 

 

 

 

 

 

こちらは2017年制作の ドイツ映画 ドイツ です(106分)

 

第70回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門、第90回アカデミー賞外国語映

 

画部門にドイツ映画代表として出品された作品で、どちらも作品賞は逃しましたが、

 

カンヌで主演の ダイアン・クルーガー が女優賞を受賞いたしました  ベル

 

 

 

 

8mm  映画のプロット自体は非常にシンプルです 映画は3つのパートに分かれいる構

 

成になっていて、それぞれ「家族」「正義」「海」というタイトルがつけられていま

 

す。ドイツ人女性の カティヤ と トルコ系移民の ヌーリ は結婚し、幼い一人息子 ロ

 

ッコ と幸せな暮らしを過ごしていました  ヌーリには前科がありましたが、息子が産

 

まれてからは真面目に働き、トルコ人街で在住外国人相手にコンサルタント会社を開

 

業し、カティヤは会計を手伝っていました  PC  ある日、カティヤはロッコを夫

 

の会社に預け用事に出かけます その時、偶然会社の前に鍵をかけずに自転車を止め

 

る女性を見かけ  自転車「盗まれちゃうわよ」と声をかけますが「すぐ戻るから」と言って

 

去って行きました。 カティヤはそのまま車に乗り込み出かけて行きます   cypha red  DASH!

 

 

 

 

夕方になり夫の会社へ戻ると多くの人だかりができ規制線が引かれ、複数のパトカー

 

が止まっています 嫌な胸騒ぎを感じたカティヤは現場へ走ります そこで見たのは

 

爆発によって無残に朽ち果てた夫の会社でした ゲッソリ 狂乱するカティヤ  DNAの

 

鑑定により死亡したのは夫のヌーリと息子のロッコである事が判明します 捜査は難

 

航し、抜け殻のように生きる意味を見失うカティヤは自殺未遂まで起こしますが rb mono 

 

そこに犯人逮捕の知らせが舞い込みます 犯人の父親からの通報によるものでした  

 

 

 

 

裁判が始まる事になり、カティヤは遺族として法廷に出廷します 事件の有力な容疑

 

者として逮捕された、エダとアンドレ・メラー夫婦はネオナチでした ハーケンクロイツ 犯行は個

 

人を狙ったものではなく、トルコ人の多い繁華街を狙ったものであったようですが、

 

裁判が始まるとカティヤにとって辛いものばかりでした 息子が爆弾によってどのよ

 

うな状況で死んでいったのかを具体的に聞かされる事になります 容疑者の弁護士か

 

らは、被害者であるはずの夫婦の過去を穿られ、容疑者のアリバイ、爆弾を作った人

 

物が確定できない等、といった容疑者に有利な事柄が並べられていきます  何日もの

 

裁判が過ぎ、判決の下る日が訪れますが、それはカティヤにとって耳を疑うものでし

 

た チーン  抱き合って喜ぶ容疑者夫婦を見つめるカティヤは、遂に ある決断をするの

 

でありました、、、爆弾

 

 

 

 

同じ年に製作さえた 「スリービルボード」 に近いテーマでありますが、この主人公の

 

カティヤは孤独です 実際には周囲に彼女を気遣ってくれる友人や、手を差し伸べて

 

くれる人は居るのですが、それにも気付けないカティヤの損失感がよく描かれていま

 

す それも本作が遺族であるカティヤに寄り添うようにカメラが捉えているからです 

 

特に印象深かった場面は、ついに家で独りぼっちになったカティヤが、亡くなった息

 

子のベッドに入って泣きじゃくる場面です。それまで常に誰かが傍にいて彼女を見守

 

っていた為に、気丈に振る舞っていたカティヤでしたが、そこで今までの感情が爆発

 

するという、妻であり母親である彼女の弱さが表現された場面でした。  

 

 

 

 

反面この作品がよりリアルで残酷なのは、愛する人を失っただけでなく、被害者を司

 

法すら救えないという現実 決して被害者が絶対的な善ではないという無慈悲なこの

 

世界 それによって、より内へ内へと入っていってしまう事になるのですが、、、

 

ラストのカティアのある決断には賛否が分かれる所でしょうが、個人的には理解出来

 

るものではありました その決断の前にスマホの中に残された夫と息子の映像を観る

 

カティヤ 海

 

 

 

 

家族で海へとバカンスに行った時のものです その中でヌーリとロッコは仲良く海の

 

波間で遊んでいます ロッコは「ママもおいで」 とカティヤを誘います  おいで  (スマ

 

ホや、ホームビデオに入っている映像って、幸せなものが多いのが逆に悲しいです

 

ね) そして映画は美しい海の映像で幕を閉じます カーテン 本作は効果的に水が印象深く

 

使われています。 前半では雨のシーンが多く、カティヤが涙を流す場面は印象的です 

 

そしてバスタブに浸かっての自殺未遂 手首からは多量のカティヤの血が、、、侍の

 

タトゥーを入れる時の血、そして女性であるゆえの血 血 本作のバックボーンには

 

移民問題、そして ネオナチ というものもあり血というものがある種の揶揄にもなって

 

いるのではないでしょうか はてなマーク

 

 

 

 

同時にその悲しみの涙、深さが海につながっているのかもしれません  これは遺族と

 

なった側の人間の苦悩と、司法の持つ限界がえがかれています  そして鑑賞した人

 

達に貴方ならどうしますか? と問いかけられます 同時にその根底にある問題と、そ

 

れに対する寛容さを一人の女性に集約させたような映画であります 興味が湧きまし

 

たら (特に女性には) ご覧になってみて下さいませです  目

 

では、また次回ですよ~! パー

 

 

 

 

 

 

 

エンディング曲です 字幕がないのが残念であります(本編にはついてます)  音譜