ある日、世界一の大富豪として知られた石油王ジャン・ポール・ゲティの孫ポールが誘拐される しかしゲティは犯人が要求する身代金1700万ドルの支払いを拒否する ポールの母親ゲイルは離婚してゲティ家から離れた一般家庭の女性 到底自分で払えるわけもなく、ゲティだけが頼みの綱だった そのゲティににべもなく拒絶され、途方に暮れるゲイル 一方、誘拐犯もゲティの予想外の態度に苛立ちを募らせていく そんな中、元CIAのチェイスが交渉役として事件の解決に乗り出すが、、、

 

 

 

 

 

 

こちらは2017年制作の アメリカ映画 アメリカ です(133分)

 

1995年に発表されたノンフィクションを原作としたものですが、映画では 実話を

 

元にフィクションを交えて構成した ものと紹介されております。80歳を越えてもな

 

お、精力的に作品を発表する リドリー・スコット 監督 タコさん その上今回は実録の 誘

 

拐物 とあっては観ない理由は見当たらず、レンタルした次第です DVD 

 

 

 

 

Movie  1973年に起きた ゲティ3世誘拐事件 の顛末を描いている本作ですが、そも

 

そものこの事件を全く知りませんでして、石油ビジネスで成功し、当時 世界一の大富

 

豪 と言われていた ジャン・ポール・ゲティ(こちらも全く存知ない方)の孫 ポール 

 

(当時16歳) が1973年7月10日の午前3時に、ローマのファルネーゼ広場で

 

誘拐された事から始まります。

 

 

 

 

誘拐犯から1700万ドルの身代金を要求する脅迫状が届けられますが メール 実質ポ

 

ールの両親は離婚していて、母親のゲイルに引き取られて一般的な生活を送っていた

 

ポール。その為、ジャン・ポール・ゲティ に頼みますが、「身代金を支払ってしまう

 

と、14人いる他の孫たちにも誘拐の危険が及ぶ」 と主張して身代金の支払いを拒否し

 

ます。現在の風潮として 「テロには屈しない」 の先駆けともいえますが、実際はかな

 

りの ケチで有名だったようで、自宅内に公衆電話を設置して来客にはそれを使わせた

 

り、ホテルのルームサービスが高いと、宿泊中の洗濯物はバスルームで自分で洗った

 

りといったエピソードが劇中で披露されております。 

 

 

 

 

身代金を支払わないと公表しながらも、その裏で元CIAの交渉人チェイスを呼び寄

 

せ、孫の奪還作戦を指示します​​​​​ スーツ  映画の主人公となるのは、ポールの母親のゲ

 

イルです。ここぞとばかりに騒ぐマスコミに追われ、犯人からかかってくる身代金の

 

電話での交渉、なんとかお金を工面しようと奔走する彼女と、それをアシストする チ

 

ェイスの行動を追っていきます これに誘拐されたポールの監禁生活と、金儲けこそ

 

正義と言わんばかりのジャンの生活の 3つの立場の視点が絡み進行します 

 

 

 

 

孫が監禁されている最中でありながらも、趣味の美術品には モナ・リザ 高額なキャッシュ

 

で支払うという恐ろしい場面もあります 実際かなりの美術コレクターだったよう

 

で、現在も個人で収集した美術品がゲティ美術館として、今も一般に公開されている

 

そうであります。そんな 映画「アビエイター」 のように映画向きの素材が満載の人物

 

ですが、こちらも同様に映画の中では孤独な存在です お金が有るあまりに家族はバ

 

ラバラで、この事件もそれによって巻き起こされたものである事は悲劇的です  

 

 

 

 

劇中 幼いポールと散歩しながら人生を語るという ジャンの珍しい人間性を垣間見せる

 

場面があり、ジャンにとってもポールという存在は特別だったはずなのですが、それ

 

でも身代金を支払わないというジャンの決断の真意 本当はどんな気持ちであったの

 

か?が最後まで掴めなかったのが残念でした あせる

 

 

 

 

反対に、いきなり息子が誘拐され渦中の人となってしまったゲイルの戸惑いや、絶望

 

感はとてもよく理解出来るものでしたが、彼女と幼い頃のポールのエピソードがあっ

 

たものの、誘拐当時の二人のエピソードが無かった為か、いま一つ親子の愛情関係 

 

(特にポール目線) の強さが分かりづらく、誘拐される前にゲイルとポールのエピソ

 

ードが一つでもあるか、若しくは回想場面ででも、あれば よりこの親子に感情移入出

 

来たように思いました 当然、母親の気持ちは無条件で理解出来るのですが、16歳

 

のポールとのワンシーンがあればより良かった気がします  aya  とはいえ、誘拐犯と

 

大富豪の間でもがく母親の息子を助けたいだけ、という心情はよく出ていたと思いま

 

す 母親ゲイルのサポート役のチェイスですが、結局の所 何をやっていたのか がよく

 

分かりませんでした。(彼、必要だったのか はてなマーク ) 

 

 

 

 

何か文句が多いように思われてしまいそうですが、あくまでちょっと気になった部分

 

だけを言っただけで、十分楽しめる映画でございます  ケヴィン・スペイシー が撮影

 

終了後に問題を起こし、ジャン・ポール・ゲティ 役を クリストファー・プラマー で

 

撮影し直した事が話題になっていましたが、本作を観る限りでは ジャン役を クリスト

 

ファー・プラマーにした事は逆に成功したように思いました 当初から監督は彼で、

 

と考えていたというインタビューもありまして、クリストファー・プラマーから発せ

 

られる独特のオーラはこの作品には不可欠であります。

 

 

 

 

母親のゲイルを ミシェル・ウィリアムズ、チェイスに マーク・ウォールバーグ とい

 

った方々が演じておられます そしてジャンの秘書を何処かで見た事がある顔だな~ 

 

あ! ケヴィン・クライン か?と思ったら、アップで ティモシー・ハットン であるこ

 

とが判明 ビックリマークつい 「お久しぶりです」 と声が出そうになってしまいました、、、笑い泣き  

 

多分映画オリジナルであろう、ミノタウルスの像や、ラストの逃走劇などは微妙に感

 

じるものの、(新聞が舞う場面では、キューブリックの 「現金に体を張れ」 を思い出

 

しました)  札束

 

 

 

 

80歳を越えての このテンポと映像のセンスは健在で、ちゃんと娯楽作品として仕上

 

げている職人技 筋肉 そしてあの時代にあって、シングルマザーの自立を描いた作品

 

でもあるのでございます  皮肉にも クリストファー・プラマーが妙に印象深く残る作

 

品であります。リドリー・スコット作品をあと何本観れる事か心配しつつ、お時間が

 

ありましたらご覧になってみてはいかがでせうかです  目

 

では、また次回ですよ~! パー

 

 

 

 

 

 

 

劇中で流れております Zombies の Time Of The Season  たまりませぬな~  音譜