教会の墓地が見える家で母親と2人暮らしの13歳の少年コナー 母親は不治の病のために余命わずかで、しつけに厳しい祖母とはソリが合わず、おまけに学校でも孤立して、毎夜悪夢にうなされる日々を送っていた そんなある日、不気味な大木の怪物が現われ、“お前に3つの物語を話す 4つめはお前がお前の真実の物語を話せ”とコナーに告げる こうして怪物は毎夜コナーのもとにやって来ては、不思議な物語を語り始めるのだったが…。

 

 

 

 

 

 

こちらは2016年制作の アメリカ アメリカ スペイン スペイン の合作映画です(109分)

 

以前ご紹介した 「永遠のこどもたち」 や ユアン・マクレガー と ナオミ・キャンベ

 

ル共演のスマトラ沖地震の津波を描いた「インポッシブル」という作品2本の良作を

 

監督したスペイン人の フアン・アントニオ・バヨナ の3本目の作品です (次回作は

 

ジュラシック・ワールドの続編に大出世?です) 本作のトーンは「永遠のこどもた

 

ち」に近いかも知れません  天使

 

 

 

 

Movie  主人公は13歳の コナー という少年です 絵を描いたり空想好きの彼は母親と

 

二人暮らしをしています コナーは悪夢に悩まされていました 家の隣に見える古い墓

 

地の礼拝堂が崩れて地面の穴に呑み込まれ、そこに落ちそうになっている母を助けよ

 

うと、必死で手を握りますが助けられない夢  目覚めると、時刻はいつも真夜中の12

 

時7分でした 母親のエリザベスは病気がちで寝込む日が多くなっていました 学校で

 

コナーは度々いじめっ子の標的にされていましたが、誰にも打ち明けずにいました 

 

ある日、祖父の残した古い映写機で母親と 「キングコング」 を観ます  ゴリ子  母親は

 

「皆は未知のモノを嫌うのよ、怖いから」と言います  コナーは最後コングがエンパイ

 

アステートビルから落ちるシーンを見て複雑な思いを抱くのでした 摩天楼  

 

 

 

 

深夜時12時7分 コナーは窓から見える墓地を描いていました 墓地には1本の巨大な

 

イチイの古木がありました その時、低く恐ろしい声で名前を呼ばれて強い風が吹

 

き、その木がミシミシと動いて巨大な人型の怪物となり ミイラ男 彼の部屋の窓辺まで歩

 

いてきます 「さらいに来たぞ コナー・オマリー」 と言い、怪物は窓を壊して彼を掴

 

み上げ「今度来た時は起きるまで壁を揺らして、3つの物語を聞かせる 話し終わった

 

らお前が4つ目を話せ その物語こそが真実 お前が隠してる真実はお前の悪夢だ」 

 

と言われ、怪物に呑み込まれそうになった時、コナーは自分が机でうたた寝していた

 

事に気づきます。ある日、祖母が訪ねて来て母の体調を看ながら3人で暮らす事にな

 

りますが、コナーは不満でした そして怪物が現われ 「遠い昔、町も道路も車も無か

 

った頃、ここは王国だった」 と、一つ目の話を始めます それは王子の策略で無実

 

の罪を着せられた王妃のお話でした。

 

 

 

 

その話に疑問を持ったコナーは、怪物に訪ねますが、怪物は 「善玉も悪玉もない たい

 

ていはその中間だ」 と答えるのでした ​​​​スタッズ  母の病状が悪化し入院する事になり、コ

 

ナーは祖母の家に行く事になりました 別れた父親が訪ねて来て、コナーと時間を過

 

ごしますが、コナーを気遣う事しか出来ない父親でした、、あせる その夜のいつもの時

 

間、怪物が現われ、二つ目の話を始めます 「寛容さを持たなかった身勝手な男が、

 

しっぺ返しを食らう話だ」 と言い薬剤師と牧師の話をします 「信念こそ治癒力 治療

 

を信じ、未来を信じること 信念は大切だ 何を信じ誰をを信じるか、よく見極めろ」 

 

と言って信念無き聖職者の牧師の家を二人で破戒し始めます コナーが我に返ると、

 

そこはメチャメチャになった祖母の部屋でした 滝汗

 

 

 

 

学校でのテストの日、昼休みの食堂で、いじめっ子達は睨み続けるコナーのスケッチ

 

ブックにジュースをぶちまけ「お前の事がやっと分った お前は誰かに殴られたいんだ 

 

でももう相手はしない」と言って無理やり握手をします 「あばよ もう見ない お前は

 

透明人間だ、、ママの回復を祈る」 と言い、取り巻きをと去って行きます コナーが

 

怒りに任せてノートを叩きつけた瞬間、時刻はちょうど12時7分となり、コナーの

 

後ろに怪物が現れます 「三つ目の話の時間だ」と言い”誰からも見えない男の話”を

 

始めます それを聞いたコナーはいじめっ子に飛びかかり 「僕は透明人間じゃない!

 

僕はここにいる!ちゃんと存在してる!」と叫びながら、馬乗りになって殴り続ける

 

のでした  

 

 

 

 

母親の容体が悪くなっていくのを見るコナーは​​​​​自宅に戻り、墓地へと走ります そし

 

てイチイの大木にたどり着くと「起きろ!嘘つき!」と叫んで殴りつけ暴れます す

 

ると木は怪物に変わり 「お前が私を呼んだ!お前を癒すためにな!」と言います ​​​​​​怪物

 

はコナーに「四つ目の物語を話せ」と言います そしてコナーは ​​​​​​「終わらせたかっ

 

た!」と叫びます  彼は泣きながら 「待つのが辛くて終わらせたかった…だから手を

 

放した…僕が死なせた…」 と白状すると、後ろ向きで穴に落ちて行きますが、怪物は

 

彼をすくって地面に戻し「勇敢だったぞ やっと言えたな」 と言います 「人殺しの王

 

子は国民に愛された、調合師はイヤな奴だが正しい、透明人間は注目されてより孤独

 

になった」 怪物の話は矛盾だらけです

 

 

 

 

続けて怪物は 「人間とは複雑な生き物だ 真実のつらさを和らげるため都合のいい嘘を

 

信じる。結局は 何を考えるか じゃない、どう行動するか だ」 と告げて、エリザベス

 

の魂と共に姿を消します  祖母の家に帰ると、そこにはコナーの愛用していた沢山

 

の物と共に、エリザベスの幼かった頃からのスケッチブックが置いてありました 

 

数々の絵の中には、怪物に聞かされた話が描かれ、最後には怪物の肩に乗った少女が

 

描かれているのでした コナーは遠くを見つめ、目を潤ませるのでした、、、

 

 

 

 

本作でコナーを演じるのは ​​​​​ルイス・マクドゥーガル という新人の少年ですが、見事に

 

難しい思春期の少年を演じております 母親のエリザベスに、「博士と彼女のセオリ

 

ー」 「ローグワン」 の フェリシティ・ジョーンズ 祖母に シガニー・ウィーバー 怪

 

物に リーアム・ニーソンと、なかなか豪華な出演陣です   映画は 三つの話 部分を美

 

しいアニメーションで語られたりと凝った作りになっていますし、映像にも深みがあ

 

って、これが現代の作品というのを忘れてしまう程の出来栄えです  そんなルック

 

スとは裏腹に、映画のメッセージはちょっと複雑で難解な所もあります 人生は難解

 

で一筋縄ではいかない事を教えてくれます 善悪の曖昧さ、それを具体的に登場人物

 

でも表していて、祖母は当初 コナーにとっては敵のような嫌な存在でしたが、最後に

 

は彼の事を思い、部屋をコナーが過ごしやすいように装飾してくれていたりします 

 

 

 

 

頼りになるはずの父親は、現在の生活の為、コナーに手を差し伸べる事が出来ずに傍

 

観している存在です 母親のエリザベスは、コナーを愛していますが病に倒れ、彼を

 

残し去ってしまいます 自分ではどうにもならない事が人生には沢山ある という現実

 

を、イチイの古木である 怪物 の存在を通して知っていくことになります 印象深い場

 

面は、母親と一緒に 「キングコング」 を観ている場面です コングの存在自体は善で

 

も悪でもありません しかし都会で暴れるコングは人間から見れば悪になってしまい

 

ます そのコングが力尽き、ビルから落ちて死んでしまう場面、脅威が去って安心す

 

る気持ちと、善悪の意識のないコングを殺してしまったという残酷性と悲しみ こう

 

いった感情を同時に持てる人間の本質とは はてなマーク  

 

 

 

 

そんな曖昧な存在の人間であるから、自我をちゃんと持ち、矛盾の根源である 「死」 

 

というものをちゃんと受け止めなければならない事を、コナーという少年を通じて考

 

えさせられるような映画になっています とはいっても、映画というエンターテイン

 

メントという娯楽作としても成立しています スペイン映画のスパイスが効いた、ち

 

ょっと風変わりな作品に仕上がっていますので、興味が湧きましたら、ご覧になって

 

みて下さいませです 目

 

では、また次回ですよ~! パー