山王会と花菱会の一大抗争が終結し、大友は日韓に強大な影響力を持つフィクサー張会長を頼り、韓国へと渡る ある時、花菱会の幹部・花田が滞在中の韓国でトラブルを起こし、張会長の手下を殺して日本へと逃げ帰ってしまう これが引き金となり、張会長率いる張グループと内紛を抱えた花菱会が一触即発状態に そんな中、いくつもの怒りを抱えた大友は手下の市川を伴い、日本へと舞い戻ってくるのだったが…。
こちらは2017年制作の 日本映画 です(104分)
北野武 監督作品として、18作目にあたる映画で 「アウトレイジ」 (2010年)
「アウトレイジ・ビヨンド」 (2012年) そして 「龍三と七人の子分たち」 を挟
んでの 「アウトレイジ最終章」 となります 普通なら、1、2作を観返して本作を観
るのが良いとは思っていたのですが、まいいか!と、いつもの怠け癖が出て 6年前の
記憶を頼りに 最終章を観たしだいです、で本作をザックリといってしまうと ビートた
けし 扮する 大友 の終活を描いた作品です。
主人公である大友は、前作での犯罪の為、韓国 済州島で韓国裏社会の大物 張
の下で身を潜めていました ある日 張 の店で女と客のトラブルが発生 大友は場を収
める為に訪れますが、相手は日本の 花菱会の花田(ピエール瀧)というヤクザでした
組の名前を出してイキる花田に拳銃を取り出す大友
女たちを傷物にしたこ
とで逆に200万を要求され、しぶしぶ手を打つ花田でしたが、自分はとっとと日本へ
帰り、部下に金を取りに来た大友の部下を無残に殺させます この件で 張 の面目を潰
した事、相手が以前からの怨みのある 花菱会の組員である事、これによって大友は、
ケジメ をつける為に 舎弟の 市川(大森南朋)と日本へ向かう事になります
その頃日本では、関西の花菱会が以前の抗争で関東の山王会をほぼ壊滅状態に追い
込み、実質配下に収めていました が、前会長は亡くなり、現在は婿養子で証券マン
だった、野村 (大杉連) が組長の座に収まっていました ヤクザの世界を知らない娘
婿を良く思っていない西野(西田敏行)は度々野村と対立し、野村は西野を殺すよう
若頭補佐の中田(塩見三省)に命じます、しかし野村の本当の思惑は、西野と中田を
揉めさせ、いずれは二人まとめて捨てようと考えていました
西野は西野で、野村を引きずり下ろして、自らが花菱会の組長になる算段をしていま
した これに韓国の 張 の組とのもめ事が重なり、花菱組と張の組のもめ事、花菱組の
内部の権力争いと関東の組を撒く込み、ゴタゴタする中、何処にも属さず、自分の中
の義理に生きる大友が絡み、権力闘争と保身と仁義の混じりあう抗争へと発展するの
でした、、、
本作は前2作と比べると、バイオレンス場面は少なく感じます 前作までで広げた話
を本作によって結び、けりをつける展開がメインのストーリーの役割を果たしていま
す 本人のインタビューによれば、「漫才師のクセで、フリをした後にどうしても落
ちをつけたくなる」 との事ただ単体作としても楽しめますがね 本作で光っている
のは ピエール瀧の大きな顔と、チンピラ感、西田敏行の、これまた顔とふてぶてしさ
塩見三省 と西田 の二人共撮影時には体調が悪かった為、撮影の方を工夫して対応した
そうですが、塩見の方は、それが逆にリアルなヤバイヤクザに見えて私には一番 らし
く見えました
そして大杉連、嫁婿で組長になった自分にヤクザコンプレックスをもっている事を、
度々 「俺が元証券マンだからなめてんのか!」 と言わせたり、ヒットマンに車が狙わ
れた際、「この車、防弾じゃねぇのか!」 と組員に怒鳴ったり、服装がゴルフ用のポ
ロシャツ 等 いつものクスっとさせる演出は健在です。
総じて言うと、これまでの北野映画のエッセンスが散りばめられた作品で、悪く言う
と、これまでの斬新なショットや演出に、期待する目立ったものはありませんでした
オープニングは 「ソナチネ」のようで、設定も行き場の無い親分という、近いものが
あります ラストの海辺での 白竜との対峙場面は 「その男、凶暴につき」 を連想さ
せますし、大友の行動はまさしく 「Brother」 のヤクザそのものです その分、ドン
パチよりもまるで現在の日本、政治の世界をヤクザに置き換えたようなパワーゲーム
が、よりスリリングに描写されています。
時代に取り残された、義理 という古臭い 慣習 を夢見た男の生き様の映画でございま
したおじさま好きの方は、この機会にご覧になってみて下さいませ、バカヤロー!
では、また次回ですよ~!
北野映画を集めた動画を作ってみましたので、鑑賞の参考にでもして下さいです