親から引き継いだ金物屋を営む葛城清 美しい妻・伸子と2人の息子に恵まれ、東京の郊外に念願のマイホームを建てることもでき、思い描いてきた理想の家庭が完成したかに思われた しかし清の理想への執着が、いつしか家族を抑圧的に支配してしまっていた 従順に育ってきた自慢の長男・保は会社からリストラされたことを誰にも言い出せず、デキの悪い次男・稔はバイトも長続きせず、“一発逆転”を夢みている そして清に一方的に言われるがままで、耐え忍ぶことしかできなかった伸子は、ついに不満が爆発、稔を連れて家出してしまうが…。

 

 

 

 

 

 

こちらは2016年制作の 日本映画 日本 です(120分)

 

いわゆる  「ひとつの家族」 が、身内の起こした 無差別殺人によって崩壊していくさ

 

ま を描いた作品になります  ナイフ

 

 

 

 

ある時期、無差別通り魔殺人事件 が多発していた事を、テレビ等でよく目にしました 

 

そんな事件の要素を取り込み、被害者ではない 加害者の家族側の世界を覗く事になり

 

ます。 しかし、本作は無差別殺人をメインとして捉えておりません 一つの大きな事

 

件ですが、この映画では 三浦友和 演じる 葛城清 という男を 長 とする、葛城家の異

 

常性が作品の根幹になっています 父親の清 は自己中心的で、傲慢な人物です 家族を

 

力で支配し、時には妻であろうと、理不尽な暴力を振るい グー 一家は、清の顔色を伺

 

いながら生活しているような毎日を長い年月過ごして来ていました 南果歩 演じる 清

 

の妻の伸子は、清の被害者でもありますが、葛城家を崩壊させたひとりだとも言えま

 

す 清の支配下で 思考停止 してしまい、子どもをしつけることなく、甘やかし続けた

 

事が招いた結果でもあります 家族に、一切料理を作らない姿は、子育てに完全失敗

 

した母親の姿そのものです​​​​​​ baby_crawl04

 

 

 

 

長男の 保 は、幼い頃から聞き分けのいい、よくできた子どもで、いい学校にいい会

 

社、結婚して子供にも恵まれる順風満帆な人生を送ってきたはずでしたが、会社から

 

突然リストラを言い渡され、クビになったと家族にも話せず、毎日公園で時間をつぶ

 

す日々。そんな 保はある日、コンビニのレシートの裏に 「申し訳ない」 と一言の遺

 

書を残し、自殺してしまいます。次男の 稔 は、成人もとうに過ぎているにも関わらず

 

自分の居場所を見つけられず、結局は親のスネをかじりっぱなしで働こうともしない

 

引きこもり生活を続けていました。 父親の清や、出来のいい兄のプレッシャーで、

 

その行き場のない怒りは社会という外の世界に向けられ、ある日 購入したサバイバル

 

ナイフを持ち出し、地下道で 無差別殺人を起こすに至ってしまいます 血 稔は裁判

 

で死刑を宣告されますが、本人はそれを望んでいるようでした。

 

 

 

 

しかし、そこへ 田中麗奈 演じる 順子 という女性が 清のもとに現われます なんのゆ

 

かりもない稔と「獄中結婚しました」と言い放つのでした  真顔 「死刑廃止の立場から

 

稔さんを救いたい」 というこの女性 観ているこちらも はてなマーク となってしまう順子の存

 

在 一方的な愛の押しつけで、面会にまで向かいますが、稔の心には何一つ響かない

 

のでした もやもや これには流石の清もポカ~ン状態になってしまいます 妻の伸子は、

 

以前から精神が不安定っぽかったのですが、稔の事件後、廃人のようになり施設で暮

 

らす事になります 車イス

 

 

 

 

自ら早期の死刑執行を望んでいた 稔 の死刑が執行され、夢見ていた幸せな家族像も

 

消え去った家に独り残された清  雪。  新居に移った時に記念に植えた、柿の木も大き

 

く育つ小さな庭で、柿の木にコードを巻き付け、首を吊ろうとします しかし、それ

 

すら拒むように木の枝は折れ  夏の木  現実世界の地面に落とされる清  室内に戻り、コ

 

ンビニで購入したと思われる蕎麦をすすり始める清のショットで幕を閉じます ラーメン

 

 

 

 

本作はある種、どこにでも居るような家族が主人公です しかし理想と現実は違い、

 

どこかで掛け違えたボタンのズレによって、もう元に戻れない家族の歪みによって引

 

き起こされた悪夢を見ているような気分になります この映画に出て来る登場人物に

 

一人として幸せそうな人物は登場しません 何かに抑圧された人間や、自らの呪縛に

 

よって、がんじがらめになった人間等  印象深いシーンで、 食事の場面が多数出ま

 

すが、どれも家庭料理ではなく、ピザやコンビニの弁当を食べています べんとう それも

 

無言で、家族という形は保っているものの、愛情などというものとは程遠く、個 の集

 

まりでしかない事がよく分かります。

 

 

 

 

もう一つは、清が親から継いだ、金物店の店から見える外の景色の狭さです それは

 

清の世界をも表しています  それは映画のテーマでもあるような気がします 視野 

 

(世界)の狭さに押しつぶされる、人間の弱さを描いているのではないでしょうか? 

 

三浦友和の怪演によって、最初から最後まで心安らぐ場面はありませんが、家族とい

 

う共同体について考えさせられる映画となっています お勧めするのは気が引けます

 

が、興味があればご覧になってみて下さいませです

 

では、また次回ですよ~! パー

 

 

 

 

 

 

 

初日舞台あいさつの模様です これでちょっとでも興味が湧きましたら、ですです