そう遠くない未来、知性を持った蟻が繁殖し自然界のバランスが崩れる 蟻は種族間の戦闘をやめ、蟻の天敵であるカマキリらが姿を消してしまう アリゾナの僻地に、生物学者E・D・ハブスと助手のジェームズ・レスコーがドーム型の研究ステーションを建てて蟻の調査に乗り出す こうして局面(フェーズ) I が終る 蟻はエルドリッジ一家を襲い、ケンドラのみが助けられドームに運ばれる 蟻は適応能力にすぐれ、黄色い液体で退治されると、次には黄色の蟻が生まれてくるのだった、、、

 

 

 

 

 

 

こちらは1974年制作の アメリカ映画 アメリカ です(83分)

 

正式な日本タイトルは 「フェイズIV ~ 戦慄!昆虫パニック」 となっております。私

 

の大好きな グラフィックデザイナー で、映画のタイトルデザイナーの ソール・バス 

 

が、唯一 長編映画の監督をした作品という事で、これは観るしかない!とお取り寄せ

 

しました。しかし、よくあったものだと TUTAYA さんの在庫基準の 「奥深さ」 を感じる今

 

日この頃であります。

 

 

 

 

Movie 映画は「2001年宇宙の旅」のオープニングのような映像で始まります (フェ

 

ーズ1(第1局面) と表示され、神秘的でグラフィカルに美しい画面に乗せて 

 

「遠い宇宙空間で異常現象が起こった」 とナレーションによって説明されます「 しか

 

し特に地球には影響は見られなかった」 のですが、唯一影響を受けた生物が アリ だ

 

ったのです  生物学者の八ッブスだけは、アリの不思議な行動に気付き調査を開始して

 

いました  アリの種類を越えて連帯し、意思疎通し、考えるようになります ここから

 

5分程、接写したアリの行動だけを見せられます アリ 地下を進む姿や、大量のアリ

 

の大群 そして女王アリが卵を産む瞬間等つい 「エイリアン2」 を思い出しました 

 

女王アリは部下に何かを命令しているようです。

 

 

 

 

ハップスは遂に政府に発表します コロラドで、従来あるべきアリの種族間争いが無く

 

なり、アリを餌とする昆虫が激減している 特に カマキリ クモ ヤスデ 等 この状況が

 

続けばアリの個体数は増加しつづける というものでした (この間にも、クモを襲うア

 

リのハイスピードカメラで捉えた捕食シーン等 見事な撮影です ハエトリグモ 蜘蛛の巣

 

 

 

 

画面はコロラドに移り、ハップスと助手の言語学者のジェームズが、政府が建てた研

 

究施設にやって来て、現地での調査を開始する事になります そこでは既に家畜が殺

 

され、畑にはミステリーサークルのような幾何学模様が現われていました (数学的知

 

能を持つ事を表しています) 同じように、幾何学的なアリ塚まで建造されています 

 

言語学者のジェームズは幾何学によってアリとコンタクトを取ろうと試みます アリか

 

ら送り返された信号を読み取ると施設を描いた図形でした その後もでデータを取る

 

ものの、業を煮やした ハップスはアリ塚を破戒します ドンッ 

 

 

 

 

そこからアリ達の攻撃が始まります 近隣の農場から避難してきた女性のケンドラを

 

施設内に避難させ、殺虫剤を撒き多くを殺します しかし、それも一時の事 驚く事

 

に一匹のアリが、殺虫剤の欠片を咥え巣に持ち帰ろうとします 途中で息絶えますが、

 

次のアリがまた咥え、その次のアリも と、何匹ものアリが自らの命を捨てて、巣穴に

 

棲む女王アリの所へと運んで行くのです 地獄 当然実写で、見事な撮影にも驚きます

 

が、不覚にもアリを応援して感動すらしてしまう場面です その同士が持ち帰った欠片

 

を女王アリが食べると、新種のアリの卵を産み始めるのです。

 

 

 

 

新たに進化した ハイブリッドのアリの誕生です 卵白 出来事が大きく変化するタイミ

 

ングで画面に 「フェーズⅡ」 「フェーズⅢ」 という表示が唐突に映されます。残っ

 

たアリ達は、研究施設の周りを囲むように、反射板のようなアリ塚がいくつも造り、

 

太陽光で施設を熱で攻撃、コンピューターの配線や、エアコン、通信装置までもが使

 

えなくなってしまいます こうなれば実力行使と言わんばかりに、ハップスは女王ア

 

リの住むであろうアリ塚を目指し出て行きますが、大量のアリに襲われ亡くなります 

 

その後、ケンドラの姿が見えない事に気付いたジェームズも、彼女を追うようにアリ

 

塚へと向かいます ランニング

 

 

 

 

そこには丁度、人間が入れる程の穴が開いていて ジェームズはそこへと降りて行きま

 

す。 降り立った場所には光の差し込む空間があり、砂の中からゆっくりとケンドラ

 

が現われます。 そこからは、アリの目 複眼からの視点になり、抽象的な映像表現で

 

はありますが、二人は結ばれたようです そしてアリ側の人間となり生まれ変わりま

 

す アリ塚の穴は人間を捕獲する為であり、子宮の入り口とも捉えられます 子宮内部

 

に落ち、新たな生命としてアリによって整えられた環境で二人は飼育されているよう

 

なものです 虫かご

 

 

 

 

そう考えると、施設の攻撃も逆に、アリによるテストだったのかも知れません 最

 

後 「僕らは体を変えられ、彼らの一員となった 目的は不明だが、いずれ聞かされる

 

だろう」 というセリフに被る形で、その二人が朝日を見ている後ろで、アリ達も二人

 

を見ているという場面で終わります 日の出2  ここでタイトルの 「フェーズⅣ」 とクレジ

 

ットが表示されます。

 

 

 

 

アリの一匹一匹を、まるで大きなモノを構成する 分子や、原子のような存在に例えて

 

いるようでもあり、まるで人間のように、死んだ仲間を並べてやったり、アリ塚で潰

 

れていくアリをまるで戦争映画のようにスローモーションで撮影されたりすると、何

 

故か愛情すら湧いてしまう人間の怖さと矛盾も感じてしまいます 滝汗 しかし見事な

 

撮影で、ほぼ全て本物のアリで撮影されています 身体に生えている毛や、毛穴、複

 

眼までも くっきりとです  目

 

 

 

 
劇中のセリフでもあるのですが、「見事な完全な生命体で、適応能力もある」 と、正
 
にあのエイリアン そのものであります 70年代の 「B級モンスター映画」 と言っ
 
てしまえばそれまでですが、「アンダルシアの犬」 のオマージュのような映像もあ
 
り、なかなかどうして後世の映画にも影響を与えているかも?知れない作品で、ソー
 
ル・バス の映像センスも楽しめる映画でございますので、機会があればご覧になって
 
みて下さいませです  UFO
 
では、また次回ですよ~! パー