英国を代表する世界的音楽家のフレッド・バリンジャー 80歳を過ぎ、現役を引退し、作曲や指揮をすることもなくなった 今は、アルプスの山々を間近に見晴らすスイスの高級リゾートホテルに宿泊し、優雅なバカンスを送っていた 一方、同じホテルに宿泊する長年の親友で映画監督のミックは、現役にこだわり、若いスタッフたちと新作の準備に精を出していた それでも2人で顔を合わせれば、もっぱら互いのままならない肉体についてグチをこぼす日々 そんなフレッドのもとに、英国の女王陛下からある依頼が舞い込む それは、彼が書いた不朽の名曲『シンプル・ソング』を彼の指揮で演奏してほしいというものだった そんな栄誉ある依頼を、なぜか頑なに断るフレッドだったが…。

 

 

 

 

 

 

こちらは2015年制作の イタリア イタリア フランス フランス スイス スイス国旗 イギリス イギリス の合作

 

映画です(119分) パオロ・ソレンティーノ 監督作品  

 

 

原題は 「YOUTH」 若さや元気、血気という意味で、映画のテーマ性を示唆したタ

 

イトルになっています。本当に、たまにですが映画と自分の呼吸というか、テンポと

 

でもいうのか、ピタリと合う作品が時にあります その時の自分の気分等の要因もあ

 

るでしょうが、本作は正に それ でした。

 

 

 

 

Movie アルプスの高級リゾートホテル お金持ちの高齢者が多く、スパやプール 高級レス

 

トラン、ヨガ 医師等、至れり尽くせりの環境の中、様々な人々が滞在しています mountains

 

その中に、引退した老年の世界的指揮者 フレッド がいました​​​​​​ フローレスセイコ  そんな彼に英国

 

の女王陛下の使いの者から、フィリップ殿下の誕生日に指揮をしてほしいと依頼され

 

ます。女王殿下直々の依頼曲は、彼の名曲 「シンプル・ソング」 でした しかし、フ

 

レッドは「引退したから」と、断ってしまいます 理由を聞かれても 私情​​​​​だ としか答

 

えません 彼にはもう過去の事でしかなかったのです そんな彼の親友で映画監督の 

 

ミックも、新しい映画 「人生最後の日」 の脚本作りを兼ね、若い脚本家達と訪れてい

 

ました 彼はフレッドとは違い人生に前向きで、次の創作に燃えていました 筋肉 

 

 

 

 

二人は毎日周りの人間をウォッチングしたり、互いの身体の事や、過去の馬鹿話しを

 

語り合っていました コメント 年寄りの宿泊客の中に浮いた存在の ジミーという俳優もい

 

ました 過去のSF映画で人気者になった過去から脱却しようと模索しているようでし

 

た ある日、フレッドのマネージャーも兼ねている娘が訪ねて来ます 仕事の話に来

 

たのですが、滞在中に夫から離婚を言い渡されます 仕事ばかりで人生を過ごしてき

 

たフレッドは、ここで娘との時間を過ごす事になります 

 

 

 

 

監督のミックも、ようやく脚本の目途がつき撮影の準備にかかろうとしていた所へ、

 

本作の主役予定で、彼の作品で有名女優となった老女優 ブレンダが訪ねて来ます わ

 

ざわざ訪ねて来た彼女はミックに 「主役を降りる」 と告げます 彼女が降りるという

 

事は、資金が出ず、映画は無くなるという事でした ショックを受けるミックに 「あな

 

たの最後の数作はゴミ、愛してるから言うわあなたの名誉を救う為に出ない」と告げ

 

さって行きます 呆然とするミック  チーン 映画が製作出来なくなったミックには、

 

生きている意味はもう無いも同然でした、、、

 

 

 

 

まるでサナトリウムにいるような、様々な宿泊客の姿を眺めながら、フレッドもこれ

 

までの人生を回想します 妻との事、父としての娘との関係の事を 、、、この映画は

 

老いの悲しみを描いた作品ではありません 年老いた人にも明日があります。それを

 

どう生きて行くか はてなマーク を描いています ホテルの建つ場所が山の上という設定にも人生

 

を象徴させているようです 山② そしてとても独特な映像美で語られた作品です。 

 

 

 

 

フレッドとミックの何気ない場面で、心に残る会話がありました フレッドがたわい

 

もない嘘をつきます それを疑わないミックにフレッドが 「60年間ずっと僕の言う

 

事を信じ続けている」それに対しミックは 「俺は物語を創る 創るには信じる必要が

 

ある」 ただ流してしまうような会話ですが、私にはドキッとするものがありました 

 

映画は「虚構」の世界です 嘘と最初から分かっているのに感動したり、心を揺さぶら

 

れたりします それはここで言われているように信じる力がこちらにあるか?そして信

 

じさせる物語が映画にあるか?という私自身が何故映画を観るのかを問いかけられた

 

ような気になった言葉でした 

 

 

 

 

時に何気ないセリフに感動を憶えてしまうものです  そしてもう一つ、ミックが山

 

で若い女性に望遠鏡を覗かせる場面があります 普通に覗かせ 「遠くの山が見え

 

るだろ?」 「ええ、とても近くに」 「若い時はそう見える すべてが近い それが未

 

来」「そして今は、、」 と言って今度は望遠鏡を反対にして覗かせ 「歳をとるとこう

 

なる」 「すべてがとても遠い これが過去だ」 今の私には少しだけ理解できた場面で

 

した。 

 

 

 

 

主演は マイケル・ケイン 他にも ハーベイ・カイテル、レイチェル・ワイズ、ポー

 

ル・ダノ 、そして観ている時は半信半疑だった ジェーン・フォンダが出演されていま

 

す 多分ですが、普段よりも奇をてらったメイクをしてらしたからでしょう 本作の

 

記者会見では、もう少し本人と分かりましたから、、、パック メインである二人は素晴

 

らしかったですし、物語に奥行をもたす幻想的で、抽象的な美しい映像美をご覧にな

 

ってみて頂きたいと思います ビックリマーク 後半の草原に女優達が登場する幻想的なシーンも

 

素敵でした  草原 生きること、それ自体が悲しみであり苦しみであるということを

 

知ってなお、 人が前を向いて生きることができるのを知った  嘆息も骨の軋む音も、

 

いやそれこそが美しい音楽になるということも (映画公式サイトより)

 

では、また次回ですよ~! パー

 

 

 

 

 

 

 

劇中の好きなシーンです 自然の音を聞き、思わず指揮者になってしまうフレッドでした