女子刑務所からの脱走を企てたナミと由紀子だったが、二人のもくろみは失敗に終わる ナミは刑事の杉見と恋人同士だったが、麻薬のおとり捜査に使われた上、杉見に裏切られてしまった ナミは復讐のため杉見を襲うが、逆に逮捕されてしまったのだ ナミは刑務所で他の女囚から嫌われていたが、唯一、由紀子とだけは親しかった ある日、刑務所で暴動が起こり、由紀子が射殺されてしまう。

 

 

 

 

 

 

こちらは1972年制作の 東映映画  波  日本 です(87分)

 

ピグのお友達に紹介されて、今回レンタルしてみました DVD 1970年からビック

 

コミックで連載されていた、篠原とおる の劇画漫画を映画化したもので、映画用に

 

かなりの脚色をされているようであります 漫画を当然読んでいませんので マンガ いつも

 

のように映画を観ただけの感想になってしまいますが、、、  目

 

 

 

 

まずオープニングに驚かされました、日の丸が掲げられ 日本 BGMに流れる曲は「君

 

が代」 権威、権力、法 の象徴から始まるここは、女囚刑務所  壁 警官 刑務所長の表

 

彰式の最中にも関わらず、女囚2人の脱走事件が起こります その一人がこの映画の主

 

役である 松島ナミ (さそり)です  草の生い茂る湿地帯を逃げる二人、追う刑務官

 

達 この絵面、嫌いじゃありません  草カー走る人草カー 当然捕まってしまい 後ろ手に縛られ、

 

独房に入れられてしまいます 牢屋 食事はろくに与えられず、男ばかりの看守にリンチ

 

される仕打ちにあいますが、彼女は一切 口を開きません。

 

 

 

 

ナミには脱獄する理由がありました それは初めて自分を捧げた男 ハートブレイク 警視庁の刑事 

 

杉見に利用され、杉見の手柄の為に、自分が 「愛」 だと信じていた純粋な物を、いと

 

もたやすく汚され 裏切られた上に、ナミは杉見にハメられ、刑務所に入る事になった

 

のでした 傷ついた心に芽生えた 唯一の生きる意味、それが 杉見への 復讐 でした  

 

(残念ながら 復讐心ほど、人間の強い原動力は無いのかも知れません 怒 ) 彼女

 

は耐え抜き独房から出される事になりますが 非常口 看守だけでなく、他の囚人からも 嫌

 

がらせを受けます ただただ、敷地に穴を掘り 掘っては埋める 労働を繰り替えさせら

 

れます 小山 スコップ  (もっと有効に労働力を活用すれば良いのにと、思う私でした)

 

 

 

 

たった一人になっても ナミはやり続けます そしてついに 女囚達 にも我慢の限界が

 

訪れ、看守との対立によって、女囚 vs 看守 に分かれた争いが起こり、発砲 をもい

 

とわない看守側に対抗して ナミは建物に火を放ち メラメラ パニックのどさくさに紛れ 独り

 

復讐の為に脱獄します  ランニングスカート DASH! そして自分を陥れた男達を仕留めて行きます そして

 

遂に 杉見 の前に姿を現す ナミ 魔法使い 黒装束の服から ドスを引き抜く ナミ キラキラ 刃紅桜紅桜 

 

拳銃ではなく、ドス というところが本作の ナミ には重要に思えます 「怨み」 の重

 

さと、深さの象徴が反映されています。杉見は拳銃を抜きます 銃 いよいよ、これ

 

までの怨みと、過去との決別 を晴らす時が訪れるのでありました、、、 ビックリマーク 

 

 

 

 

制作の時代を考えると、本作はいわゆる 「プログラムピクチャー」 といわれる作品に

 

なります それを逆手に取って生まれたのが本作のような、破天荒で自由な発想 を生

 

める環境。製作費は無いけれど、或る程度自由な創作が監督に出来る現場は活気に満

 

ちていた事でしょうね  そして原作が劇画漫画だった事も、ある種この映画をオリ

 

ジナリティ溢れた作品にした要因でもあるかも知れません 看守達は女囚に対し極悪

 

非道で、ライフル銃等を持っていますし リンチや、所長ですら、怒りに任せ女囚の

 

首を絞めて殺したりしてしまう始末。

 

 

 

 

オープニングクレジットで 梶芽衣子が歌う 「怨み節」 が流れる中、裸の女囚達が階

 

段を上り下りしている意味不明の場面が出て来たリ、女性同士であっても とにかく囚

 

人服を破ってつるし上げるは、レイプやレズビアンのシーン等、とにかく女性の裸が

 

多数登場して おっぱい 男性客を楽しませる努力 はてなマーク が見えます (子供時代だったら喜ん

 

でいたでしょうね) これが東映映画 !? と思ってしまう場面のオンパレードです。

 

設定やディテールについては、これが劇画漫画の映画化だ!という強みで、つべこべ

 

言う方が野暮というものです ロボット

 

 

 

 

そしてこの 「さそり」 シリーズが、この後 3本も続いたのは ひとえに 梶芽衣子 の

 

魅力でしょう 本作ではセリフが極端に少ない事も、松島ナミ というキャラクターに

 

カリスマ性を持たせる効果を生み、自分の信念の為にのみ行動するという、強い意志

 

を持った女性のイコンのような存在になっている事が、男性よりも女性に支持され、

 

訴えかけるものが多いのかも知れません そして、あの目です キラキラ目キラキラ そこに、もう説

 

明は要らないのであります。ただ、一言多い私としては 中盤までの刑務所場面をもう

 

少しタイトにして、最大の目的である 杉見との対決場面を、もう少し劇的に見たかっ

 

た気もします 屋上という狭い範囲を最大限に利用していましたが、あの迷路のよう

 

な構図を生かすには、もったいない気がしました。

 

 

 

 

地上の迷路 迷路 のような建物での駆け引きが見たかった気もしますが、今作が初監督と

 

いう伊藤俊也 監督にすれば、会社の期待以上の仕事をこなしたのではないでしょう

 

か?そして映像的にも、実験的な事に挑戦されている事に好感が持てました 回り舞

 

台や、演劇で多用されるデフォルメされた照明の多様、前衛的なシーン等 (予算が少

 

ない事によって考え出された良い結果だったのかもですが) 演劇 日の丸で始まり、

 

日の丸で終わる本作に、社会的メッセージが込められているのかは定かではありませ

 

んが、何故か私はこの作品を観ながら 「仮面ライダー」 を連想してしまいました 構

 

図、照明の使い方、採石場のようなロケ現場、暗い独房や看守達がショッカーに見え

 

たりして、、同じ東映で、年代も近かったのにも、何らかの関連の理由があったりし

 

て 仮面ライダー ショッカーさん。

 

 

 

 

もしかしたら、未だに続く 漫画の実写映画化 の数少ない成功作かも知れませんね 8mm

 

最近の日本映画はなかなか活気づいているようであります、シネコン等でも半分は日

 

本映画が上映されておりますが、テレビで見るような若手俳優?さん主演の 原作あり

 

き 恋愛映画が量産されているだけで (それでもお客さんが入る!) 10年後、20

 

年後にも鑑賞に堪えうる作品ってあるのでしょうかね (偏見の塊) それは私が若者

 

ではないからでもあるのですが ニヤニヤ  せめて無難ではない、さそり のような 「何

 

か」 が残る作品があって欲しいと切に願う お願いします。  いち 映画ファンの私でありました 

 

 

 

 

本作にも意外な方が出演されていました 杉見役に 夏八木勲 所長に 渡辺文雄 部下

 

の看守長に 室田日出夫 (この頃声が高くて別人かと思いました) チョイ役の看守に 

 

たこ八郎、小林稔侍 トランクス 女囚の  扇ひろ子 という女優さんがやたら格好良くて印象深

 

かったです サイコロ 女刑務所の バイオレンス と エロス を堪能出来る作品となっており

 

ます そして 梶芽衣子をご存知ない方こそ ご覧になっていただければ、と思いますの

 

でご覧下さいませですよ。 目

 

では、また次回ですよ~! パー

 

 

 

 

 

 

 

「さそりシリーズ」 を恨み節に乗せてみました 宜しければお聴きください  音譜