旅行案内所に勤める浜島幸雄は、ある日偶然に幼なじみの小磯泰子と再会する 浜島は既婚者で、一方の泰子は数年前に夫を亡くし、6歳の息子 健一と二人暮らしだった やがて浜島は泰子と結ばれるが、自分になつかない健一の存在が気になり始める、、

 

 

 

 

 

 

こちらは1970年の 松竹映画  松  日本  です(98分)

 

松本清張 が1961年に発表した短編小説集 「影の車」 の中の 「潜在光景」 を映画

 

化したのが本作でありまして、松本清張 原作の映画化と言えば 野村芳太郎 監督さん

 

であります

 

 

 

 

野村芳太郎監督が、松本清張の原作を基に映画化した作品は なんと!8作品 もあり

 

ます。 本作を含め「張り込み」「砂の器」「鬼畜」「わるいやつら」「疑惑」

 

等々 名作が並びます。以前ご紹介した 「霧の旗」 は 山田洋次監督作でございました

 

が、よほど相性が良いのか作風が合うのか、中々珍しい関係です 横溝正史と市川崑

 

ですら7作 (リメイク含む)です金田一耕助

 

 

 

 

相も変わらず 松本清張の原作は読んだ事が無く、映画のみの感想になってしまいます 

 

大ざっぱに言ってしまうと 不倫 とその代償 についてのお話になるのでしょうか、バ

 

スの中で 東陽バス 偶然 旧友の美しい女性 泰子に再会する 幸雄 彼女は未亡人で、6歳

 

の息子と2人で暮らしていた 

 

 

 

 

幸雄は妻と団地に二人暮らしだったが、子供はなく 家は妻の仕事 フラワー教室も兼ね

 

ており、昼間等は生徒の奥様連中が、頻繁に訪れていて騒がしかった泰子と度々再会

 

するうち、彼女の家にも訪れるようになり 自然と2人は愛し合うようになるのだが、

 

6歳の息子 健一 はなかなか幸雄に懐こうとしなかった、、、 

 

 

 

 

前半はよくある 不倫メロドラマのような展開が続き、主役であるはずの 幸雄役の 加

 

藤剛の影は薄く 影、泰子役の 岩下志麻 の可憐な美しさばかりが目を引くのでありま

 

す そりゃ~いくら妻役が 小川真由美 でも、泰子に惹かれてしまうのは無理はありま

 

せん。その上、話しを始めれば掃除機かけ始めてしまうし、休みには 仕事とはいえ、

 

おばさま生徒さんが (かの、野村昭子さんも居るし) 狭い部屋を占領して、居場所

 

の無い幸雄が泰子に安らぎを求めるのも納得してしまうのです 家  

 

 

 

 

灰皿の無かった泰子の家に、灰皿が常備されるようになる ちょこっとした小物使いの

 

演出等は流石であります タバコ しかし中盤からメロドラマだった映画に不穏な空気が

 

漂い始めます それは泰子の一人息子 健一の存在なのですが、ある種それは当人達の

 

せいでもありまして、日本家屋の障子を一枚隔てて2人は愛し合うのです、それも二

 

人が愛し合うシーンが度々登場します 日本的なエロティシズム炸裂で、岩下志麻の

 

表情が素敵でありますが ラブラブ、残念ながら胸のショットはボディダブルさんが演じてお

 

られるようでありました、残念、、、チーン と話がずれてしまいましたが、、。

 

 

 

 

健一の目線から見る幸雄は、自分だけの母親を奪う、部外者の邪魔者でしかなく、敵

 

でもあり 子供とはいえ、同じ男同士の存在でもあるのです メラメラ それを敏感に感じ取

 

る幸雄は健一に過去の自分を見る事になります 幸雄も 6歳の時に同じ体験をしてい

 

ましたが、それ以上の 忌まわしい思い出 が甦り、健一と過去の自分が交錯し始める事

 

になります  叫び

 

 

 

 

薪割りの斧、包丁、木に吊るしたロープ、ガスコンロ、ネズミ用の毒団子、なつかな

 

い健一の無邪気な行動なのか、悪意によってなのか、幸雄の判断が定まらなくなって

 

行く過程に恐怖を感じます 滝汗 印象深い場面が、幸雄の夢のシーンです 海岸のデ

 

ッキチェアーに座る幸雄 その横では健一が ネズミ捕りに入ったネズミを引きずり、水

 

に沈め ネズミ ねずみ2 を殺して笑っています ここでのネズミは、 2人の家に入り込んで

 

来た幸雄そのものの象徴です 

 

 

 

 

そして遂に 幸雄の 妄想と現実 が一致してしまう瞬間が訪れてしまいます 爆弾 ラス

 

トの取調室での刑事 (芦田伸介) とのやりとりの場面の編集が急にかっこよかった

 

のが妙に印象に残ってしまいました それとカラスの名演  カラス 

 

 

 

 

ひつこい程に 「6歳の子供がそんな事するはずない!」という頑なな態度にイラつき

 

ながら、対照的な 加藤剛 の訴える演技と割れた眼鏡から見た視線「あるんだ、、、」

 

と過去の自分に対する恐怖と贖罪感お話の規模は小さいのですが、自分の子供時代も

 

思い出したりして、深い余韻が後を引く作品でありました 

 

 

 

 

本作では大変に凝った映像のチャレンジがなされています 「多層分解」 と命名され、

 

幸雄の少年時代や、オープニングに使われています 意外に映像にチャレンジしてい

 

る野村監督でありました 演劇 

 

 

 

 

それと 海、海岸、岸壁、子供、親子 のモチーフが好きな監督なのにも気づきました 

 

崖にたたずむ人「砂の器」「鬼畜」「ゼロの焦点」 等に登場しますね そういう意味

 

では テレビのサスペンス劇場 のラストのフォーマットを作った監督とも言えるかも知

 

れません   波 崖っぷち

 

 

 

 

昭和世代の方が観ると、懐かしい小物や、風景が沢山見れますのでそれだけでも楽し

 

めます そして 美しく、はかなく、悲しい 2人の心情風景のような紅葉  もみじ  が鮮や

 

かです。サングラスした 加藤剛 がちょっと マルチェロマストロヤン二 に見えたり見

 

えなかったりったり、脚本 橋本忍 撮影 川又昴 音楽 芥川也寸志 (今作ではフラ

 

ンス映画のような甘美で、美しい旋律を奏でておられます) という鉄板のコンビによ

 

る今作、時間があったらご覧になってみて下さいませ、です そして、健ちゃん怖

 

い、、、斧 あせる

 

では、また次回ですよ~! バイバイ