「そよ風、せせらぎ、梅の香り、、」 人を斬るのに嫌気がさした座頭市が心のよりどころを求めてかつて訪れた里を訪ねる。 しかしその里は飢饉のあと荒廃し商人の父とやくざの親分の息子が隠された金を巡って対立する殺気立った地と化していた。 座頭市はやくざに雇われた用心棒・佐々と一戦交えるが何故か気に入られ、両陣営から金のありかを探そうと一時的に組む。 しかし間にいる居酒屋の女房・梅乃の存在により両者に微妙な三角関係が生まれ さらに商人には次男が送り込んだ殺し屋・九頭竜が付き 金を巡って様々に人が交錯する中、遂に座頭市と用心棒は対峙することとなる。
こちらは1970年制作の 大映映画 になります
勝プロダクション製作で、座頭市シリーズの20作品目という事もあってか、豪華な
俳優陣がゲスト出演されております
勝新太郎、三船敏郎、若尾文子、岸田森、米倉斉加年、寺田農、滝沢修、常田富士
男、等、監督は 岡本喜八 監督、撮影は 宮川一夫 という 日本映画史に残る位の布陣
であります
時代劇好きになると、座頭市と用心棒 なんてもう、「ゴジラ対キングコング」「エイ
リアンVSプレデター」「フレディVSジェイソン」「マジンガーZ対デビルマン」並み
に 心躍るタイトルなのでして、逆に期待値が上がり過ぎて、、、という残念な結果の
心配も同時にあるのです
とりあえず主役は 座頭市 でありまして、ドラマは別として 勝新 の座頭市映画をちゃ
んと観たのは今回が初めになります どうやらシリーズの中では特種な作品のよう
で、キャラも通常とは違うアレンジがされているようです それは 三船敏郎 の用心棒
も同じで、黒澤明 の三十郎ではなく、佐々という名前になっております ほぼ、見た
目も三十郎ですがね
お話は、黒澤の 「用心棒」 に似た設定でヤクザに仕切られた町を舞台に、権力を持
つ 商人の父と、ヤクザの息子に二分された町にやってきた 市 が、ヤクザ側に付いて
いる用心棒と戦う事になるのですが、用心棒には本当の目的があったのであります
反目しながも、お互いの腕を認め、いつしか用心棒の裏の目的を見抜き、理由は別に
しても 協力して村の 諸悪の根源 の根絶の為に、刀を抜く 市 と 用心棒 でありました
それに絡むのが 若尾文子 でありまして、ヤクザの為に 遊女 になってしまった女を妖
艶に演じております そして、刺客となるもう一人の殺し屋で隠密の男を 岸田森 が演
じていますが、このキャラは 映画「用心棒」 で仲代達矢が演じたキャラに被ってお
り、拳銃使いだったりします 監督の趣味もあるでしょうが、様々な映画をオマ
ージュしたシーンも見られます ラストなどは、ハンフリーボガートの「黄金」その
ものを思い出します
三船 びいきの私ですが、今作の用心棒は黒澤作品とは違い、やや軽い設定で、市 に
美味しい所を持って行かれてしまっています 知らなかったのですが、市って 高所恐
怖症 なのですね それを知って 佐々 が、からかうという お茶目なシーンがあり
ます ラストは、チャンバラ大会になり 座頭市と用心棒 の対決と相成りますが、結果
オーライというエンディングでしょうか
何故か観終わって、滝沢修 の悪商人と、ヤクザの親分役の 米倉斉加年 のキャラクタ
ーの強さが、脳裏に焼き付くという不思議な余韻が残る作品でありました 時にはこ
のような 1本で2度美味しい チャンバラ時代劇をご覧になってみるのも良いかもしれ
ませんので機会がありましたら鑑賞してみて下さいませです
では、また次回ですよ~!