ネオンあふれるTOKYOの歓楽街。あてもなく日本にやって来たオスカーは、この街でドラッグのディーラーをしながら、自らもドラッグに溺れる日々。最愛の妹リンダも日本に呼び寄せ、小さな部屋に2人で暮らしていた。そんなある日、警察の手入れに遭い、混乱の中で胸を撃たれ、あっけなく死んでしまう。『チベット死者の書』に興味を持っていたオスカーは、肉体を離れ、魂となって浮遊し始めたオスカーだったが、自らの死をなかなか受入れられず、様々な過去の記憶に晒されながら、欲望と犯罪が渦巻くTOKYOの街を彷徨い出すのだったが…。

 

 

 

 

 

 

こちらは2009年制作の フランス 映画になります フランス

 

「カノン」 「アレックス」 の監督 ギャスパー・ノエ の作品でありまして、問題作 

 

「アレックス」 以来7年ぶりの作品になります 

 

 

 

 

かなり好みの別れる作風が特徴で、前作においては、モニカ・ベルッチ がレイプされ

 

るという 暴力的なシーンを、延々と10分近くも見せられるという、ここぞ!という

 

場面ではかなり しつこい 演出をされる監督さんで御座います チーン しかし、今作は

 

前作と比べると 暴力的なバイオレンスシーンはほとんどありません むしろその逆と

 

も言える、愛情の固執や、セックス の描写が大きな比重を占める事になっています

 

 

 

 

TOKYO で暮らす オスカー と リンダ の兄妹 幼い頃、両親を交通事故で亡くし、

 

愛情を互いに依存しながら生きているのですが、ある日 兄の オスカー は ドラッグの

 

取引の最中に警察の手入れに遭い、トイレの中で拳銃で撃たれ亡くなります が、彼

 

の魂は、彼の身体を離れ浮遊 し始めるのでした この時の オスカー の体勢は、意図

 

的でしょうが、まるでお腹の中にいる胎児     のような形をしています 羽根パープル上反 天使の輪 羽根パープル上反

 

 

 

 

映画前半で 「チベット死者の書」 について触れられるのですが、この映画は 「輪廻

 

転生」「リーインカーネイション」がテーマになっていますので、基本的に仏教徒思

 

考の日本人には理解しやすいかも知れません そして、この作品は ギャスパー・ノエ 

 

監督作ですから、それを哲学的、宗教的に描こうという ヴィジョン は持ち合わせてい

 

ません (失礼な言い方)

 

 

 

 

映画は最初から最後まで オスカー の視線がカメラとなって撮られています 前半に 

 

オスカー自身が、鏡越しに自分を見る場面と、魂となって身体を離れる場面以外、彼

 

の顔はほぼ見えません この作品の個性的な所は、オスカー が魂となってからは、カ

 

メラが人物を上から見下ろすという構図で撮影されています その上、壁も通り抜け

 

街やビルも 鳥や雲になったような視点の カメラワーク で、縦横無尽に動き続けます 

 

そんな効果もあって、自分がまるでオスカー になったような錯覚に陥ります 薬  

 

 

 

 

その浮遊した間に、幼い頃の妹との思い出や、両親の寝室を見てしまった事、交通事

 

故の体験、現在の妹の生活 等のショットが、走馬燈のように現われては紡がれていく

 

のです ここで面白いのが、それがあたかも ワンショット撮影 されたかのような編集

 

になっています。そして場面が転換する時に多いのが、丸い物にカメラが寄って行き

 

その中にカメラが入って行く事により、次の場面に繋がるという 編集的な演出が施さ

 

れています 

 

 

 

 

これは 輪廻 を表していると同時に、女性器を象徴しているとも思われます 転生 で

 

す 映画後半、魂は ラブホテル へと入って行きます そしてここでもやや長いかな?

 

と思う位のそれぞれの部屋でのセックスを見る事となります 通常ならモザイクとい

 

う処理がされるのでしょうが、ノエ 監督は面白い処理の仕方をやってのけております 

 

光での処理ですが、それが面白い効果を生み出し、アートっぽいというか、神々しい

 

というか、なかなかの見物です

 

 

 

 

ラストでは CG による、男性器 が 膣 からの カメラアングル で映され、射精の液の

 

中に私達も混じり、体内の卵子 へと向かうという体験までさせてくれます   18禁    

 

そして新たな 「命」 として再び オスカー の魂だった物は、母親の穴から誕生する事

 

となります そう、彼が選んだ子宮は、、、という作品であります 赤ちゃん このシーン

 

終りに エンドクレジット が出るのですが、それが 「VOID」(無) と大きく表示

 

されます 終りに 「無」って、、あせる

 

 

 

 

ただ、ここに エロス を感じる余地はありません 輪廻転生 と 生命誕生のプロセス で

 

あります  冒頭に出て来る ドラッグ によるトリップシーンや、後半の体内のシーン 

 

そして浮遊の旅をして、新たに生まれ変わるシーン等 ちょっと 「2001年宇宙の

 

旅」 を彷彿させます あちらは幾何学的な美しさですが、こちらは サイケデリック 

 

なトリップ感で新たな体験をさせてくれます オープニングと、部分的には強烈な場

 

面もあるのですが、ほぼ多くのシーンは オスカー視点の浮遊したようなシーンが続き

 

ますので、体調によっては眠気を誘うかも知れません

 

 

 

 

ですが、今までに無いような映像体験と、刺激を欲しておられる方は一度ご覧になっ

 

てみるのも良いかと思いますので、この機会にお手に取ってみてはいかがでしょうか 

 

では、また次回ですよ~! バイバイ

 

 

 

 

 

 

 

オープニングクレジットですが、いきなりノイジーで、いら立たせてくれる出来です