中庭のある家を失敗しないための計画とポイント
「憧れ」を「心地よい暮らし」に
雑誌やSNSで目にするたびに、
「素敵だな」
「こんな暮らしがしたいな」と、
心が動く方も多いのではないでしょうか。
一方で、
設計相談の現場では、
こんな声もよく耳にします。
- 思っていたほど使わなくなってしまった
- 明るさはあるけれど、落ち着かない
- 手入れや維持が想像以上に大変だった
中庭のある家は、
正しく計画すれば
暮らしを豊かにしてくれる存在ですが、
設計の順序や考え方を誤ると、
「憧れ」が「後悔」に
変わってしまうこともあります。
中庭のある家でまず考えるべきこと
「形」より先に、「役割」を考える
中庭というと、つい
- どんな形がいいか
- どれくらいの広さが必要か
- 植栽はどうするか
といった「形」から考えがちです。
ですが、
設計の立場から見ると、
最初に考えるべきなのは
その中庭が、
暮らしの中でどんな役割を担うのか?
という点です。
- 光を家の奥まで届けるための中庭なのか
- 外からの視線を遮りつつ、開放感を得るための中庭なのか
- 家族が集い、時間を過ごすための居場所なのか
目的が定まらないまま計画すると、
見た目は良いけれど、
暮らしには馴染まない中庭に
なりやすいという結果につなります。
中庭のレイアウトと配置が、
暮らしを左右するということ。
中庭は、家全体の雰囲気や
住み心地に大きな影響を与えます。
たとえば、
建物の中心に中庭を配置すると、
- どの部屋にも自然光が届きやすくなる
- 家のどこにいても季節の変化を感じられる
といった効果が生まれます。
一方で、
敷地条件や周辺環境によっては、
- あえて一部の空間とだけつなげる
- 視線の抜ける方向を限定する
といった設計の方が、
落ち着きや使いやすさに
つながる場合もあります。
中庭は「大きければ良い」
「真ん中にあれば良い」
というものではありません。
敷地・暮らし方・家族構成に合わせて、
最適な位置と形を探ることが重要です。
自然光と風通しは「計算して取り入れる」
中庭の大きな魅力は、
自然光と風を室内に取り込めることです。
ただし、
中庭をつくれば
自然に明るく、風通しも良くなる
というわけではありません。
- 窓の位置や高さ
- 建物のボリュームバランス
- 周囲の建物や地形
これらを考慮せずに設計すると、
- 夏は暑く、冬は寒い
- 光は入るけれど、眩しすぎる
- 風が抜けず、湿気がこもる
といったことも起こり得ます。
自然の力は、
感覚ではなく設計で
コントロールするもの。
中庭は、
その調整装置としてとても
優秀な存在です。
家全体と「一体で考える」中庭設計
中庭は、
単体で美しくても意味がありません。
大切なのは、
家全体とどうつながっているかです。
- リビングやダイニングから自然につながる動線
- 室内と中庭で素材や色味を揃える工夫
- 内と外の境界をやわらかく曖昧にする設計
こうした積み重ねによって、
中庭は「外にある別空間」ではなく、
暮らしの一部として
溶け込む存在になります。
中庭がもたらす「住み心地」という価値
中庭のある家は、
数字では測れない心地よさを
もたらします。
- 朝、やわらかな光で自然に目覚める
- 季節ごとの植物の変化を感じる
- 風や雨、空の気配を身近に感じる
こうした体験は、
暮らしの中で少しずつ、
確実に積み重なっていきます。
中庭は「贅沢な装置」ではなく、
日常を整え、
心を落ち着かせてくれる
存在なのだと思います。
プライバシーは「閉じる」ではなく「守る」
中庭のある家で
よく心配されるのが、
プライバシーの問題です。
大切なのは、
すべてを遮断することではなく、
安心して過ごせる距離感をつくること。
- 高さや透け感を考えた塀やフェンス
- 視線をずらす植栽計画
- 窓の位置や開き方の工夫
これらを組み合わせることで、
外に開きながらも、
内に守られた中庭が生まれます。
失敗しないための予算の考え方
中庭のある家では、
- 初期費用
- 維持管理のしやすさ
の両方を考えることが欠かせません。
設計の工夫次第で、
美しく、長く愛せる中庭は実現できます。
むしろ、
- 手入れが難しい植栽
- 過剰な設備
は、後々の負担になることも
少なくありません。
「無理なく続くこと」も、
設計の大切な要素です。
住む人の暮らしに合わせて、
少しずつ育っていく存在。
だからこそ、
最初から完璧を目指す必要はありません。
中庭のある家は
「設計の思想」が問われる・・・・・。
中庭のある家は、
とても魅力的です。
そして同時に、
設計者の考え方が
最も表れやすい住まいでもあります。
- どんな暮らしを大切にしたいのか
- どんな時間を積み重ねていきたいのか
その答えを、空間として形にする。
それが、中庭のある家づくりだと、
やまぐち建築設計室では考えています。
今回のblogが、
その不安を整理し、
前に進むための
小さなきっかけになれば嬉しく思います。
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