法的整理のデメリット | 資金繰り 事業再生 M&Aアーク司法書士法人@代表社員 李 永鍋(リ ヨンファ)のブログ

法的整理のデメリット


法的整理には、このようなメリットがある反面、大きな問題を抱えています。


再建型において、事業価値の毀損があり、それが会社や事業の再生にマイナスの影響を 与えてしまうことです。 次の2つの理由によります。


① 「倒産」「経営破綻」というマイナスイメージ 民事再生、会社更生は、事業再生を目的として申立てを行なったにもかかわらず、世間一般に 「倒産」や「経営破綻」というレッテルが貼られ、そのマイナス メージにより顧客離れや、取引先からの取引停止などの事態を 招いてしまいます。


②一般商取引債権までもが支払いストップに

 法律は、債権者間の平等を担保するため、むしろ、そのような手続き・制度を定めています。


民事再生において、東京地裁の運用では、申立て後「弁済禁止の保全処分」というものが発令されます (民事再生法30条6項)。


申立て後、 裁判所により民事再生の開始決定すると

民事再生法85条1項で 「再生債権については、再生手続開始後は、この法律に特別の定めがある場合を除き、再生計画 の定めるところによらなければ、弁済をし、弁済を受け、その他これを消滅させる行為 (免除を除く) をすることができな 」と規定してます。


 再生債務者に 対再生手続き開始前の原因にもとづいて生じた財産上の請求 権に対する弁済が一律に禁止されます (民事再生法85条1項)。


民事再生のような法的整理をとった場合、原則としてその申立て時点から、金融債権のみならず一般商取引債権の弁済も一時的に禁止されます。


「支払禁止なら、それでいい」と思う社長もいます。支払禁止を法律上、強制させられた取引先は納得しません。


法的整理に入ると、 商品等を供給する取引先が離 れ、商品が店頭からなくなり、 顧客も離れてしまう可能性があります。


取引が継続されても、現金取引を余儀なくされます。 また、会社内の人材が辞めてしまう可能性もあ ります。


通常、取引先との契約書には、民事再生などの法的整理をとった場合には、契約を解除できるという解除条項(倒産解除特約)が規定 されているのが一般的です。


重要な取引先については、打合せをしておく必要があります。


法的整理をとると、 金融機関からの借入金の返済も禁止され、融資など資金調達は難しくなります。

収益から運転資金を準備したり、そうでなければスポンサーを見つける必要もあります。