第二会社方式の4つの問題点
第二会社方式の問題点。
1. 許認可の承継の問題
第二会社方式は新会社が事業を開始することとなるため、営業上の許認可を再取得する必要がある場合、その許認可の取得時期が不明確となるほか、許認可を取得するための手続きにコストや時間を要するため、事業の継続性に問題が生じます。
2. 移転コストの問題
新会社での事業を進める中で、不動産などの資産を移転する必要がある場合に、不動産取得税や登録免許税などの移転コストが新に発生するという問題点があります。
3. 資金調達の問題
新会社では運転資金や新規設備投資の資金需要が生じるますが、旧会社の既存の取引金融機関からの資金調達はほぼできません。
4. 債権者に対する不当な損害発生の問題
第二会社方式を採用すると、会社に貸付などを行っていた金融機関などの債権者は不当な損害が発生してしまいます。債権者が貸付を行っていたのは、会社が優良事業だったからで、その優良事業がまったく関係のない新会社に移転してしまい、会社には不採算事業しか残らないことになります。その後、旧会社が破産等の手続きを行うと、実質的な債権回収ができなくなります。
実務においても、一部のコンサルタントなどが不意打ち的な会社分割による第二会社方式を採用することで、金融機関などに不当な損害を与えた事例が散見されました。このような行為を防止する観点から、会社分割の悪用により、債権者を害するような財産移転を取り消す最高裁判決が下されています
(最高裁2012年10月12日)