(2)私的再生
裁判所の関与することなく行われる私的整理(任意整理)手続きを利用して再生する手法のことで、債権者と債務者が話合いをし、和解することで事業再生を目指す手続です。
私的再生は、法的再生に比べ短期間で整理することができる一方、手続の不透明であるというデメリットがあることから、債権者が再建計画に同意する条件として、再建の見通しがあることの他、破産等の法的再生による再建よりも私的整理において債権放棄を実施し事業を継続させたほうが多くの回収を見込めることが求められます。
また、私的再生の手続は、各債権者との合意によって再生を果たす手続であり、合意するための特別決まった方法はありません。
方法 | 意味 | 特徴 |
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私的整理ガイドラインによる手続 | 平成13年に政府が発表した緊急経済対策を受けて採択されたもので、法的手続を使わず債権者と債務者との合意に基づき、債権放棄などを行うための手続を定めたもの | ①債権者が債権の無税償却が可能 ②経営者と株主は責任を負うこと ③法的再生と同水準かそれ以上の再生を図ることが可能 ④法的再生手続きを申立てる可能性があること |
事業再生ADRによる手続 | 事業再生に関する紛争を裁判所による強制力を持った紛争解決の手続を利用することなく、当事者間の話し合いをベースとして解決しようとする手続のこと ※ADR法(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律)の施行に基づき法務大臣の認証を受けた事業再生ADR事業者が、経済産業省令で定める基準に適合する方法で実施する事業再生の手法 | ①債権者が債権の無税償却が可能 ②商取引を円滑に続けることが可能 ③事業に必要な資金を調達可能 ④法的再生と同水準かそれ以上の再生を図ることが可能 ⑤法的再生手続を申立てる可能性があること |
中小企業支援協議会スキームによる手続 | 地域の中小企業の再生支援を目的として産業活力再生特別措置法に基づき、経済産業省からの委託を受けて商工会議所・産業支援センター・産業振興センター等の機関内に設置されている公正中立な支援機関 | ①債権者が債権の無税償却が可能 ②協議会が関与した企業に対し制度融資で優遇措置を受けることが可能 |
特定調停手続 | 民事調停の一類型で、経済的に破綻するおそれがある借主について、裁判所が借主と貸主その他の利害関係人との債務の調整を仲介し、借主が経済的再生を図ることを支援する手続き ※①金銭債務を負っている者であって、支払不能に陥るおそれのあるもの、または事業の継続に支障をきたすことなく弁済期にある債務を弁済することが困難であるもの、若しくは②債務超過に陥るおそれのある法人が、特定調停手続により調停を行うことを求める旨の申述をすることができる。 | ①完全合意型の手続き ②手続の透明性や債権者間の公平性は一定程度確保 ③調書は確定判決と同一の効力を有すること |
任意の話合い | 一般的な方法。債務者が主要債権者に対して私的整理を申し出て、債務の支払いを一時停止したのち、債務者企業あるいは大口債権者を中心とした債権者委員会が再建計画を策定し、交渉により債権者の同意を得る流れとなる。 |