就職難 増える社員弁護士 | 資金繰り 事業再生 M&Aアーク司法書士法人@代表社員 李 永鍋(リ ヨンファ)のブログ

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企業や自治体に雇われて働く弁護士が増えている。企業の場合、10年前の10倍近くになり、訴訟だけではなく、日常の契約や顧客・住民とのトラブルを未然に防ぐ役割を担う。司法制度改革で弁護士が急増し、新しい分野での活動が広がり始めているようだ。

●自治体も採用

 企業や自治体で働く弁護士でつくる「日本組織内弁護士協会」の調査によると、2012年6月時点で企業で働く弁護士は771人。02年は80人だった。自治体で働く弁護士も全国で59人と、統計を取り始めた11年7月の23人から大きく増えた。

 今年4月、愛知県内で初めて、弁護士を職員採用した豊田市。第三者が住民票などを請求した際に本人に通知する制度について、市民課の職員が、法務課の入江孝幸さん(32)と滝薫子さん(40)に相談を持ちこんだ。

 「通知するとして、どの範囲の情報まで明らかにするか。プライバシー保護について定めた個人情報保護条例との関係もあり、請求者の氏名まで明かすべきかは悩ましい」。2人とも弁護士として法律事務所で働いた経験がある。豊田市での採用は3年の任期付きだ。

 給食費の不払いへの対応、市営住宅の明け渡し――。各部署から、毎日のように法律相談を受ける。長期化が予想される訴訟は顧問弁護士に持ち込むが、日々の業務にかかわる相談は2人が受け持つ。

 人事担当者は採用の狙いを「国から地方に権限が移り、市の職員だけでは対応できない法的問題も増えた」と説明する。東海地方では、三重県が9月下旬から新たに弁護士の採用を予定している。

●1人枠に80人募集

 弁護士の採用は、大手企業が先駆けて進めた。

 トヨタ自動車グループの豊田通商は07年から弁護士の採用を始め、現在6人が在籍する。新しい事業や海外市場への進出が活発になり、「契約書の審査など法律のプロが即戦力として必要になったため」という。

 こうした動きの背景にあるのが、政府の司法制度改革による司法試験合格者の大幅増だ。合格者増の計画は02年に閣議決定し、約1万9千人だった弁護士数は約3万2千人に達した。

 ただ、増えると見込んでいた民事訴訟件数も、企業・自治体が採用する弁護士数も、司法試験合格者数の増加ペースには追いついていないため、弁護士の就職難が問題になっている。

 豊田通商は昨秋、就職を希望する弁護士と企業が一堂に会する合同説明会に参加。1人の採用枠に80人の応募があった。法務部の大久保昭浩部長は「法曹人口が増え、一般社員並みの給与水準でも人材が集まるようになった。10年前では考えられない状況だ」と話した。(久保田一道)

《法曹人口と就職難》

 政府の司法制度改革審議会は2001年6月、年間1千人ほどだった司法試験の合格者数を、10年ごろに3千人程度にするなどの改革案をまとめた。しかしその後、司法試験に合格しても就職先が見つからない人が増えた。日本弁護士連合会によると、昨年末に司法修習を終えた弁護士志望者のうち、3割近くが修習直後の弁護士登録日には登録しなかった。政府の法曹養成制度関係閣僚会議は7月16日、年間3千人の合格者数を目指す政府計画を撤廃する方針を決めた。