20XX年、人類は一度滅びる選択に迫られた。
理由はひとにぎりの権力者により、生態系のバランスが崩れたことが理由だった。
時は21XX年、滅びたはずの人類が再び地上に姿を表すのに1世紀近くかかったのだ。
地上に出られた理由は、かつての人工知能が自我を持ち始め、そのことによる自己のメンテナンスを必要とする事がきっかけである。
この古いコンピューターは膨大なデータより自我を形成し、ありとあらゆるものを蓄積してきた。
人が滅亡することも予測していたのだろう。
人類が完全に滅亡することを防ぐために、この人工知能は、ある遺伝子をプログラムしていた。
そのプログラムとは、生態系が崩れたとしても、其の種が完全に消滅することのないような強靭な個が生まれてくる可能性を残した遺伝子だ。
このプログラムは人類が地上を治めていた時に発動すればお互いを消滅させてしまうようなものだった。
しかし絶滅寸前となった人類には救世主でもあったのだ。
おかげで完全な滅亡からは逃れられたのだから。
時が経てば、この遺伝子も効き目が現れることはなくなるはずである。
子孫を残す度に、この遺伝子は影を潜めるからだ。
そして、誰かがそのスイッチを動作させなければ、再び働き始めることはないのだ。
人工知能は、ある考えに至っていた。
それは以前も同じことがあったということを。
人類は一度ならず滅亡していることを。
滅亡前には今にも増して科学技術が発達していたことを。
人類はいつの時代も歴史を繰り返すものだということを。