110.「僕の僕(しもべのしもべ)」とは言うけれど | 和敬清寂 ~書かぬが仏~

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パートのおばさんたちの不満で店の雰囲気が悪くなって、業績が悪化した時の話です。


私はその会社の役員、とは言っても、小さな会社で社外の取締役を抱えるのは大変なので、社員の中から取締役を選ぶっていう”使用人兼務役員”だったのですが、その店舗の主任を一旦別の店にやり、私がその店を見る事になりました。


前の主任がパートのおばさんに嫌われたそうです。

というのも主任がおばさんの息子の気分をかなり害する事を言ってしまったらしいんですね。


それまではパートのおばさんたちの家族もよく顔を出し家庭的な雰囲気で店もうまくいっていたのに、目に見えて業績が下がってきたんで、おばさんたちの機嫌を直してもらう事と、そのついでに、それまで店の売上げが伸びそうで伸びなかった部分を改める事に着手しました。


おばさんたちからすれば、急に前の主任よりも偉い人が自分たちの上司になるわけなので、緊張感もあるし、自分たちが店を運営してきたというプライドもあるしで、私が気づいた事を指摘すると、素直に受け入れるよりは、妙な反発があるなと感じました。


これは別におばさんたちの問題ではなくて、当然起こる問題で、いくら自分たちの上司だからといって、信頼関係も無い人から、上からズバズバ言われたことを素直に受け入れるほうが難しいんですね。


ましてや自分たちが店を切り盛りしてきたっていう誇りを持ってる人たちですからなおさらです。だから今までと全く違ったことをやらせる事はなかなか難しい。


そういうことはわかっていますから、私は最初はパートさんよりも下の位置まで降りて、店に入ると真っ先にトイレ掃除から始めました。

当分は、僕(しもべ)の僕(しもべ)です。

パートさんたちからこき使われるように仕事をやり続けまして、上司として命令する事は一切しないで、命令したいことがあったら、パートさん自身に気づかせるように、直接話をせずに、食事の時に、別の業種の業績向上の話をチラッとして、おばさんたちが「それだったら、うちでもできる」と言わせたりしながら、上司の命令という形だけは取らないようにしました。


パートさんたちともようやく打ち解けて、僕段階は卒業し、そろそろ上司としてやるかと改めて店を見回しても、もうこれと言って改善点は無くなっていました。


あとはその都度、気づいた事を指摘しても、まともな日本人ですから、反発無く受け入れてくれて、業績は以前よりも格段に良くなっていました。


日本が長期デフレに陥る前の話なので、社会の空気が今とはだいぶ違いますが、「僕の僕」からというのはやはり重要だと認識しています。

原理、原理と言葉で言うのはたやすいですが、それ以上にそれを実際にやることの重要性はもっと大切だと思っています。


家庭出発の時も、私がずっと「僕の僕」を貫き通しまして、段階を経てから対等な関係へ、それから夫としての立場に立つという路程を、妻の心理的距離などを見ながら過ごしてきました。


どの家庭でもあるように、離婚の危機とかいろいろありましたが、何十年、家庭が壊れる事無く、未だに新婚気分が抜けない妻に癒される毎日を送っています。


『105.戦艦大和と駆逐艦乗りの負けじ魂 【軍艦行進曲】リメイクカラー映像あり』 でも取り上げた「叩き上げの強さ」も、やはり原理原則、僕の僕から苦労して積み上げる事こそ「王道」だという事を教えてくれる良いエピソードでした。


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