「臣女」 吉村萬一 21冊目読了
第22回島清恋愛文学賞受賞作のこの作品、夫の浮気を知った妻が、
原因不明でだんだん巨大化していくというもの。
最初の方はこんな妻と同居している主人公がまた別の女と浮気をしていくのではないかと勘ぐりながら読み進めていたのだが、世間に知られてはいけないと葛藤しながらも淡々と妻に食べ物を与え、排泄される汚物を処理していく描写に、長く生活を共に
してきた家族を介護していかなければならなくなった時の過去の経験から、
心情が同調して、だんだんと主人公に感情移入していくと共に、
巨大化していく妻の病への苦しさと、時折見せる人間的な反応に愛しさを覚えていく
不思議な感じがした。
ラストシーンはまさに悲しい結末となるのだが、主人公は本当に妻を愛していた
のだ、と感じた。
まさに、今年読んだ中で一番の愛の物語だった。







