前回の「ダンチヒ(ダンジグ)」に続き、今回も大物種牡馬の登場です。

 

 

 

1977年アメリカ・フロリダ州「タータンズファーム」

 

この牧場は、ブリーダーズカップ創設者でもあるアメリカの名トレーナー「ジョン・A・ネルド氏」の所有である。

 

その「ネルド氏」により、ミスタープロスペクター(以後ミスプロ)の2年目産駒として生産された1頭の仔馬。

 

 

彼の名は「ファピアノ

 

アメリカ・ニューヨークタイムズ紙のベテラン競馬記者の出身地に実在する「ファピアノ教会」が馬名の由来。

 

 

 

父は、第63話に登場した「ミスタープロスペクター

 

母の父は、第46話に登場したヒムヤー系最強モンスター「ドクターファーガー

 

実は、母の父「ドクターファーガー」の調教師を担当していたのが「ジョン・A・ネルド氏」

 

この「ドクターファーガー」の生産牧場は「タータンファーム」でしたが、ネルド氏はタータンファームのマネージャー兼調教師を担っており、自身が調教師を引退する直前に、フロリダ州で「タータンズファーム」を所有したという経緯。

 

牧場の名前が「タータン」「タータンズ」と似ているため、ややこしいですけどね(笑)

 

 

 

その「ネルド氏」の息子「ジャン・H・ネルド」も調教師をしており、「ファピアノ」は息子のネルド師に預けられました。

 

 

 

2歳の夏、ベルモントパーク競馬場の「ダート1200m」からデビューし、2着に3馬身半差をつけて快勝。

 

3ヶ月の休養後、11月のアケダクト競馬場で行われた「ダート1200m・ダート1400m」を連勝し、無傷の三連勝。

 

12月、メドウランズ競馬場で行われたモーヴェンH(ダート1200m)をコースレコードで勝利し、2歳時は「4戦全勝」

 

 

この成績ならば、普通は翌年の米国三冠路線に行きたいところですが、陣営は「ミスプロ」と「ドクターファーガー」の配合を考慮し、三冠路線は距離が長いと判断され、短距離路線へ。

 

 

 

3歳初戦の「ダート1200m」を勝利し、5連勝を達成した「ファピアノ」

 

しかし、6戦目の「ダート1400m」は2着となり、初めての黒星。

 

7戦目の「ダート1200m」は勝利。

 

 

ここまでは、全て「ダート1400m以下」に出走していましたが、遂に8戦目のジェロームH(G2)で初めて「ダート1600m」に出走。

 

果敢に先行するも、最後はクビ差の2着に惜敗。

 

続くパターソンH(G2)では、さらに距離が延びた「ダート1800m」に出走。

 

しかし、ここでも2着に惜敗。

 

やはり、距離の壁はあるのか・・・

 

 

 

陣営は、相手が強いとわかっていても、次走は「ダート1400m」で行われるG1競走「ヴォスバーグS」を選んだ。

 

しかし、勝ち馬から2馬身半差をつけられ、5着に敗れる。

 

 

3歳時の最終戦は、G3の「ダート1800m」戦。

 

ここでは、2着に3馬身差をつけて勝利し、ファピアノにとっても、マイル以上の距離では初勝利。

 

 

3歳時の成績は「7戦3勝・2着3回」

 

4歳も現役続行へ。

 

 

 

 

4歳時の初戦、ボールドルーラーS(ダート1200m)は3着に敗れたものの、次走「ダート1400m」では快勝。

 

 

次走、メトロポリタンH(G1・ダート1600m)では、初めてG1勝利を果たす。

 

 

続くフォアゴーH(ダート1600m)は、レースレコードの勝利を収める。

 

 

その後は、2戦走るも勝てず引退へ。

 

4歳時の成績は「6戦3勝」

 

競走成績は「17戦10勝・2着3回・3着1回

 

 

 

 

 

引退後は、シンジケート(種牡馬株)が組まれ、故郷の「タータンズファーム」を拠点に種牡馬生活。

 

 

アメリカの馬産の中心は「ケンタッキー州」であり、フロリダ州の「タータンズファーム」で種牡馬生活を送っていた「ファピアノ」にとっては、決して良質の繁殖牝馬に恵まれたわけではない。

 

 

それでもコンスタントに活躍馬を輩出し、後継種牡馬の活躍もあり、現在でも「父(ミスプロ)の直系」として繁栄し続けています。

 

 

 

 

ここからは、「ファピアノ」の血をもつ日本の活躍馬を紹介。

 

そのまえに、現在の日本でファピアノ系として活躍が期待されている2頭の種牡馬を紹介。

 

 

まずは「エンパイアメーカー」

2010年に「日本軽種馬協会」へ売却され、2011年から日本で種牡馬生活。

 

中山記念を勝った「フェデラリスト」を輩出。

 

主に「ダート」を主戦とする馬が多く、中には愛知杯を勝った「エテルナミノル」など、芝でも走る馬は存在します。

 

2016年アメリカに買い戻され、アメリカで種牡馬生活をしているため、現2歳世代が日本では最後の産駒たち。

 

 

 

もう1頭は「ダンカーク」

ダンカークの3代前は「ファピアノ」

 

この「ダンカーク」という馬は、良血で構成されており、活躍が期待される。

 

どちらかといえば、主戦は「ダート」だと思うが、芝がダメという感じはしない。

 

仮に、芝で通用しなくても、ダート替わりの「ダンカーク産駒」は要注意。ビックリマーク

 

 

 

 

 

ここからは、いつものように日本の名馬たち。

 

まずは、「母父」の系統が「ファピアノ」の馬たち。

 

今年の大阪杯勝ち馬「スワーヴリチャード」

彼の母父は「ファピアノ」の孫「アンブライドルズソング」

 

 

 

2012年NHKマイルカップ勝ち馬「カレンブラックヒル」

 

この他にも、「エーシンモアオバー」「ダノンバラード」「リトルゲルダ」「ダノンプラチナ」「アルビアーノ」など重賞勝ち馬を多数輩出。

 

馬名のラインナップを見て頂いても、「母父ファピアノ系」は基本的に「マイル前後」を得意とした馬が多い。

 

 

 

次に、「母母父」が「ファピアノ系」の馬たちを紹介。

 

交流G1含む、G1・10勝馬「ホッコータルマエ」

彼の母母父は、ファピアノの息子「アンブライドルド」

 

この「アンブライドルド」により、ファピアノの系統は繁栄していきました。

 

「アンブライドルド」に関しては、先の血のお話で登場しますから、その時に。

 

 

 

 

2017年安田記念勝ち馬「サトノアラジン」

サトノアラジンの場合は、母母父自体が「ファピアノ」という良血。

 

当然、全姉のエリザベス女王杯勝ち馬「ラキシス」も同じ。

 

 

 

 

「ファピアノ」の系統の特徴としては、「持久力」には優れているが、ジリ脚。

 

そのため、速い上がりを使えないタイプも多い。

 

「サトノアラジン」みたいなタイプはレアなケースで、ほとんどの産駒は「逃げ・先行」の時に覚醒しますね。

 

「ファピアノ」自身は、短距離を主戦として使われてきましたが、血統表の字面は決して「短距離」の血から構成されていません。

 

「ブランドフォード系」や「セントサイモン系」が入っているように、配合次第ではマイル以上でも大丈夫。

 

 

ミスプロの子系統の中では、「ファピアノ系」は距離の融通性もありますね。

 

あとは、前走からの「距離短縮」は得意。

 

 

 

 

芝・ダートの適性は、「父」「母父」「母母父」によって異なります。

 

こちらのデータをご覧ください。

 

これは、「父ファピアノ系」「母父ファピアノ系」「母母父ファピアノ系」に分類した「馬場状態別」成績です。

 

【父ファピアノ系】

父が「ファピアノ系」の場合は、芝より「ダート」向き。

 

 

 

【母父ファピアノ系】

母父「ファピアノ系」になると、芝・ダートの成績はそれほど変わらず。

 

 

 

【母母父ファピアノ系】

母母父「ファピアノ系」も芝・ダートの成績は変わらず。

 

 

 

上記3つのデータに共通する項目は「芝・ダート問わず道悪が得意

 

要するに、芝なら「力の要る馬場」、ダートは馬場状態問わず走りますね。

 

 

ちなみに、今週の重賞出走予定馬の中では、新潟2歳Sの「オーパキャラマード」が唯一「ファピアノ」の血を持っています。

 

前走1200mからの「距離延長」ですから、走ってみないとわかりませんが、持久力勝負の流れになれば、好走してもおかしくないですね。

 

当日、新潟の芝が「道悪」ならチャンスあるかも。

 

 

 

 

 

今回はここまで。

 

 

 

次回をおたのしみに。