【再アップ】最終話〜忘れられないひと | あなたの日々を感動で彩るヤスコロリのブログ

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福岡市在住 ヤスコロリ 人生は誰かからの借り物じゃない。自由で自分らしい「真実の自分」を取り戻して、最高の人生を送りたいあなたにお金や人間関係や心の怖れを超えて前に進む生き方、あり方を、毎日感動的に発信しています

性格が悪いことにも
 
 
 
 
メリットがある
 
 
 
 
 
虐められることにも
 
 
 
 
 
メリットがある!!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
以前、エキサイトブログに
アップしていた記事の転載です
 
 
 
人名は変えてありますが
実際のヤスコロリの体験を
書いています
 
 
 
 
 
 
 前回のお話はコチラ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ミツル君が
私がいつも遊びに行っていた職場兼住居で
首を吊って死んだと聞いたのは
 
 
 
社会活動家のヒカル君の家で知り合った
友達からの電話によってでした
 
 
 
葬儀は身内だけでひっそりと
行われたらしいよ
 
 
 
何人かでミツル君の実家に
手を合わせに行こうと思うんだけど
アラキ君も行く?
 
 
 
もちろんいくよ。と答えて
その場にいた店長に
休みのお願いをしました
 
 
 
あの日
 
 
 
結局ミツル君たちに発見されて
私とユキちゃんのゲームは
あっけなく終わりました
 
 
 
「なにしとるんや」
そう言いながらミツル君は半笑いでした
目も怒っていませんでした
 
 
 
私は
いやー。ばれちゃったな。そんな感じで
子供みたいに誤魔化しました
 
 
 
ユキちゃんがスーッと私から離れて
ミツル君と一緒にいた
他のみんなの輪の中に入っていったのが
ちょっと寂しい気がしました
 
 
 
 
あの夜私は
お酒を飲んでいないミツル君に
車で家まで送ってもらいました
 
 
 
 
車中
「アラキ君いいかげんにしときぃよ」

みつる君から念押しで怒られながら

私はずっとへらへら笑っていました
 
 
 
そんな私をみても
 
 
 
 
ミツル君は本気で怒るどころか
笑っていました
 
 
 
 
まるで、楽しんでいるみたいに
私には見えました
 
 
 
 
あのあと私は
ミツル君ともユキちゃんとも
気まずくなることなく
 
 
 
 
変わらずたまに会っては
お酒を飲んでいました
 
 
 
 
私が郊外の町から
市内に引っ越した時も
二人で手伝いに来てくれました
 
 
 
 
私の梱包が雑すぎて
ずり落ちたぼろのパジャマを
ユキちゃんが手に持って運んでくれて
恥ずかしかったのを憶えています
 
 
 
 
 
 



 
 
 
 
市内に引っ越してからは
私は美容師の仕事が忙しくって
急に余裕がなくなり
二人とはすっかり会わなくなりました
 
 
 
街中に住んでいるのに
逆に夜遊びに行く機会も減り
「まじめに」働くようになりました
 
 
 
 
「責任感をもって」
仕事に打ち込むようになって
付き合う人も変わりました
 
 
 
 
私を「サムライ」と呼ぶ店長の店からも
足が遠のくようになりました
 
 
 
 
そして気がつくとあっという間に
4年の歳月が流れ私は28歳になって
 
 
 
 
「あのころ」よりも人目を気にして
「あのころ」よりも先のことを
 考えるようになりました
 
 
 
 
私はよくも悪くも
あのころよりも
「つまらなく」なっていました
 
 
 
 



 
 
 
 
ミツル君の実家までは
市内から電車を乗り継いで
3時間かかりました
 
 
 
 
ミツル君のお母さんは
私たちを笑顔で迎えてくれて
お墓までの道すがら
色々話をしてくれました
 
 
 
 
 
ミツル君が自殺の少し前に
気持ちがふさいでいたこと
 
 
 
 
少し元気になったかな。と思った矢先に
自ら命を絶ってしまったこと
 
 
 
いつもニコニコしていて
物事に動じないミツル君の
意外な話でした
 
 
 
 
私は思い切ってお母さんに聞きました
 
 
 
 
「ああ。ユキちゃんやろ」
お母さんは親しげにその名前を呼んだあと
 
 
 
 
 
「ちょっと前に別れてしまっとったみたいよ
 いい子やったんやけどね。」
 
 
 
 
ほんとに残念そうにそう言って
そのあとは別の話題に変わりました
 
 
 
 
 



 
 
 
 
それからさらに歳月は過ぎ
ずいぶん大人になった頃
 
 
 
 
私は
ミツル君のことも
ユキちゃんのことも
すっかり忘れて
日々を過ごしていました
 
 
 
そのころ私は
大好きで一生の宝だと想う彼女がいて
でもその人から自由になりたい自分もいて
 
 
 
何だか解らない自分の気持ちに
私自身が戸惑っていました
 
 
 
ある日私は
その彼女の紹介である有名な
お寺の住職に会いました
 
 
 
住職はいわゆる「みえる」人で
 
 
 
「その人ごとに必要なアドバイスをくれるんだって」
 
 
 
そういわれて素直に
彼女にについていきました
 
 
 
彼女の運転でドライブする時間は
楽しくて
 
 
 
正直住職はどうでもいいんだけどなぁ
そんな気持ちで
目的地のお寺に向かいました
 
 
 
住職は
身体を鍛えているのか、締まった身体と
こちらに向けるまっすぐな
眼差しが印象的でした
 
 
 
私の健康面などのアドバイスのあと
「綺麗な顔の少年と、あと
 首を吊られた方がついてますね」
と言われました
 
 
 
ふたりともすぐ思い当たりました
 
 
 
 
親しくしていた知り合いの
息子さんのカズ君
 
 
 
そして、もちろんミツル君でした
 
 
 
毎朝二人にお茶を出してあげてくださいね
 
 
 
 
「毎朝ですか.....」
 
 
 
瞬間ちょっと面倒くさいと思った自分に
「それくらいやれよ」
誰かから言われた気がしました
 
 
 
次の日から
 
 
 
ものすごい飽き性で
何も続かない私ですが
 
 
 
カズくんとミツル君のお茶だけは
毎朝.....じゃないけど
ちゃんと替えています
 
 
 
お茶を出して
なんとなく手を合わせます
 
 
 
手を合わせながら
素朴な疑問がわきます
二人ともなんで私についてるわけ?
 
 
 
カズくんは障害があって喋れませんでした
そしてすごくきれいな目をしていました
 
 
 
物事のありのままを
そのまま見たいと願う私に
 
 
 
カズ君は生まれながらの障害と
その美しい目を通して
大切なことを教えてくれたと思っています
 
 
 
で、ミツル君はどうなのよ?
 
 
 
ミツル君はあの時の笑顔で答えるんです
 
 
 
 
 
「で、アラキ君は楽しんでるの?」
 
 



イタズラっぽく
みつる君がそう言った気がしたのは
たぶん私の妄想です
 
 
 
 
 
おわり
 
 
 

 

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