南相馬はじめ、黒字倒産という悪夢が生まれないために! | 荒井広幸 草の根 ブログ

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荒井広幸(あらいひろゆき)参議院議員 オフィシャルブログ

現地で多くの方の苦痛を教えられる。そこは私の生活の場でもある。
原発周辺地域の中小零細企業が死んでしまう。
政府の対応のまずさと金融機関の何と冷たいことか。今日は、改善策を訴える。
例えば、下請製造業である。
避難指示圏で生産している部品等の工場では、設備・機械は無事であるケースが多い。
しかし、放射能による社員の立ち入りができず、しかもバラバラに避難所暮らし。発注を受け付けられず、工場は稼働できない。このままでは仕事は海外に持っていかれると経営者は苦悩するばかり。
仕事をしたくてもできない状況をつくられてしまった。原発事故は、経営者にも働く人にも生殺しの苦痛を与えている。
製造業以外でも、こうした「放射能閉鎖」に追い込まれた中小零細企業(商店から農家まで)にとっては、(1)原発事故の収束の見通しがたたない上、(2)立地地域の放射能物質による環境汚染の結果、いつ帰ることができて事業を再始動できるか、年単位でさえ見当がつかない。(3)風評被害等で受注や売り上げがないから、会社経営の維持はすでに困難となっているケースが続出している。
商店にはじまり、すべての職種で起きている。仕事ができない、仕事がない、まさに「人災」である。
従業員も、帰宅したい気持ちを抑えつつ、避難所で今後の生活のための仕事を探し続けている。
食べていかなければならない。子どもや孫のいつもと違う入学式にあたり、憤りと不安と疲労の中で、親は今日も懸命に生きる道を模索している。
東電であれ、国であれ、何でもよい。早く働けるようにして欲しい!これがみんなの希望なのだ。
私は自分の非力さをお詫びする他はない。国会議員などと言っても、何も出来ない。自責の念にかられる。
しかし、原発という人災に負けてはならない。同じ被災地に生きてゆく者として一緒に歩んでいくのだ。見通しが立てば、希望が生まれ、元気になる。そのために、自分に与えられた仕事で何とか貢献したい。
人災なら人に解決策が創れないわけがない。渾身の力を振り絞って、働いてゆく。

中小零細企業を特に原発事故から守り、再始動させる案

政府が用意した、この大震災用の中小企業庁の融資制度は使えない。なぜなら、受注できなければ借りても返せないからだ。返済できる見通しがないのに、いくら利息が安い等の利点があっても資金を借りる経営者は少ないだろう。当然だ。
そこで提案するのが「5原則」である。

<5つの原則>
1)原発立地圏において、土地、建物、設備等を国が固有化する。
2)そこで生活していたものについて、国が補償する。
3)そこで生産されていた物について、国が買い上げる。
4)そして、圏外での新しい生活、生産、就労、教育等に国が投資する。
5)立地圏周辺等において、物理的風評被害や心理的被害を考慮した支援補償を行う。
である。

国とは、お金の出し先をあとで東電等と調整すれば済むことで、調整してから出すなどといった“角をためて牛を殺す”方法はやめることなのだ。スピードが命だ!!まず国がもつのだ。腹を決めよ。
世界との競争で激しく動くモノづくりの分野は、発注企業からの仕事を継続して処理できるか否かで、倒産か生き残れるかが決まってくる。
この5原則で前述の製造業を例にとる。(持ち家や農林水産業は後日)

1)原発立地20キロ圏までの工場について、土地、建物、設備・機械(資産)等を買い取り、国有化する。
2)買い取り額は、企業、市町村、メイン銀行等と相談の上、決める。
3)買い取り額という資産を担保に、まず50%を民間・政府系を問わず金融機関から、一刻も早く緊急融資させる。
4)そして企業は、圏外への新工場を建設し、設備・機械の導入し稼働させ、発注者との関係を維持する。
5)そうして、企業は売上げの中から、当たり前に税金を払い、全国民に還元してゆくことになる。
6)条件の一つに、被災者を緊急雇用すること。
7)仮設住宅や避難所の集会所等を活用し、被災者のスキルアップの講習会も行う。
というものである。

この福島の地で細々かもしれないが、健全に活躍してきた中小零細企業の人とモノづくりの心と技を、国民をあげて救済し守り抜き、発展させなければ、この企業も雇用も、そして日本全体の成長も成り立たないのである。全国の中小零細企業も同じである。
本来なら、発注企業、元請、下請の関係で、このラインで、資金調達から機械のリースまで面倒をみてきた良き時代は終わり、グローバル競争下、価格破壊が進み、もはや発注企業にはその力を期待できない。しかし、この力こそ源泉ではないのか。
もう一度日本の魅力であるモノづくりの隆盛のため、社会全体としての面倒見合える企業関係や、支え合い助け合いの心、そして伝承していく力を再構築する必要がある。
国の責任であり、出番だ。
そのチャンスにもなれば二重の喜びだ。

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