治療の日 | 1/100000の戦い

1/100000の戦い

10万人に一人と言われる進行性のガン「悪性黒色腫」 ある日突然「残念な結果ですが、あなたはガンです」と告知を受けました。 なぜ自分が? さまざまな葛藤がありましたがなってしまったものは仕方ない… さぁこれからどう戦っていくか… ガンのこと 水泳のこと

本日は 治療の日です。





家を出て 病院に向かおうとすると 上空から!? 声が聞こえる・・・




「どこ 行くのぉ~?」



こ この声は・・・



声がする方を チラッと 見上げると マンションの2階のベランダから ご婦人が 手を振っている。



近所でも評判の!? お話の長いご婦人である・・・ 



このご婦人と 話をすると 長くなるので ここは 聞こえないフリをして 通り過ぎよう・・・



「今日は 病院の日じゃないのぉ~?  聞こえてるんでしょ~?」



そういえば 先週 「来週の金曜日に病院に行く」と うっかり話してしまったんだった・・・




マンションの下を 通り過ぎようとすると さらに 大きな声が・・・





「どーこー いーくーのー?」




「あーっ! おはようございます。 気づかなかったです・・・」





「こんなに 大きな声出してるんだから 気づかない訳ないでしょ~! 今日は 病院なのよね~?」





「はい。 では 行ってきます。」




「今日は 何科なのぉ~?  ガン?  あし?  とーにょー?」




「大きな声だなあ・・・  今日は 検査と治療で 一日がかりです。 じゃあまた。」



このご婦人 妹のお子さんが30歳だと言っていたので たぶん年齢は 50代か 60代くらい・・・!?





とっても若く見えるし とっても美人なのに 独身らしい・・・



 



近所でも なぜ 独身なのか・・・? と いろいろと 噂があるようですが ただでさえ 話が長いので つこんだ話をしたら きっと長くなると思い 誰も聞かないでいるようで・・・




「相変わらず 杖が 似合わないわねぇ~!」




「そうですか?  だいぶ使い方も上手になったし 似合ってきたと思いますけど!?   そういえば 最近 痩せましたよね?」





「そうなのよ~! わかる?」




「ええ。 いっそう美人になられたなあ…と思って。」




「ちょっと なに言ってんのよ!  下に降りちゃおうかしら。  待っててね。」



「い いや 降りてこなくていいですよ! ボク もう行きますから!」



「あら そう。 そう そうなのよ! ダイエットも なにもしてないのに 急に 6キロも痩せちゃったのよ! 私もガンかしら~ な~んてね!」





「なにもしないで 6キロも痩せるなんて ちょっと心配ですね。 特に なにもなくても 検査とか してみたらいいんじゃないですか?」




「そうね。 これから病院に行くのよね。 一緒に行こうかしら? な~んてね!」





「いやいや ボクは 大急ぎで行くので! じゃあ~!」 





思わぬ時間が かかってしまった・・・



早く受付をしないと 採血の番号が・・・



「そんなに急いで歩いたら~ 足に悪いんじゃないのぉ~!」



まだ 遠くから声が聞こえる・・・



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午前8:30。



病院に到着。



受付をすませる。



今日の採血は 153番。



腫瘍外来は 2番。



こんなに早いのに またしても 2番・・・















今日は 一日中病院だなあ。



長い一日に なりそうだ・・・