日本一周3日目続き 大間編
大間まで2時間弱、下船の用意のアナウンス。 いよいよだ、と期待に胸は高なる。
近い。
本州最北端に降り立ち、海の先を見てそう思った。
目と鼻の先だ…あまりにも近かったので拍子抜けしてしまった。
バイクを走らせ最北端の大間崎へ。マグロをいただいてからむつ市へ向かう。
大間到着の時点で既に正午を回っていた。
下北半島はまずその独特な形が目をひく。
氷期と間氷期の繰り返しによる海水面の高さの変化と大地の緩やかな隆起。
風間浦で見られる海成段丘などに今も名残を残している。
まさかり型と呼ばれるこの下北半島。見えている部分は氷山の一角レベルに過ぎず、
もっともっと海水面が低い時代があった。
海面のはるか下には1万年前ごろの、まだ陸奥湾が存在しなかった頃の地形が残っているのだろう。
目に見えるものもある。
中野沢では、数多の地理的イベントを繰り返してできた何層もの地層は地球の陸上に立っている実感をもたらしてくれる。
時間も規模も、我々の住む世界とはまるで違うスケールで地球は動いてきた、なんて私達はちっぽけなんだと….
この地には自然を信仰する文化がある。
恐山や釜臥山など。
圧倒されるような景観
畏怖と敬意の念を人々は抱き下北に根付く人々の心に強く結びついていた。
——それからは太平洋沿岸を南下する394号線をひたすら走らせた。
海沿いには電力関係の施設が林立し、海とは施設と林に隔てられていて、山道を走らされる形となった。
途中関連施設の敷地が見えるところではおびただしい数の監視カメラと鉄条網が目を奪う。
あぁこの辺はそういうとこだよな…
そうして訪れたのは六ヶ所村の原子燃料施設のPRセンター。
ミニチュアサイズで使用済み燃料の再処理の様子が表現されている。
危険一辺倒で敬遠しがちな原子力だが、原子爆弾との違いやプロセスの詳しい説明からは正しく運用すれば有益である、というテーマが伝わった。
のんびりした気持ちとこれからの旅の始まりに胸を高まらせていた私だったが、少し違う旅の始まりに違和感を感じずにはいられない。
もう日の沈みは早く、16時も過ぎれば薄暗くなり、気温もどんどん下がっていく。
三沢に着いたのも17時を回っており、航空博物館も閉まっていたのでこの日は終了。
寒いので飯でも食うか、このへんのグルメを調べてみると、どうもB級グルメ「バラ焼」が有名らしい。
待っていると、鉄板に玉ねぎの山、その上に豚バラが乗っかっている。
——玉ねぎの水分とタレが鉄板の上で激しく踊る。甘く香ばしい香りが鼻を満たす。
私は急かされるような思いがして、たまらず箸で目の前の山を崩してしまった。
何だ?空気が変わった…
顔を上げると正面のジジイがふっと顔を背けたような気がした。
少し嘲笑めいた横顔。
“あーあ分かってねえんだなあ”
玉ねぎはしばらくは山のままで。蒸気で全体に火を入れ、その後狐色になるまで炒める。
その間、肉には火を入れてはならない。
私は少し固くなってしまった肉とご飯を頬張りながらとっとと平らげてしまった。
次こそは…
店を出て風呂に入って道の駅のベンチで寝た。疲れた。
銭湯に行き道の駅のベンチにシュラフを広げて、就寝した。


