とけいのじかん5
10年
腕時計に興味を持つようになって10年くらい経つ。
いつの間にか高価高級な時計に興味がなくなって、
そのかわりに安い時計の良さを見つけることが楽しくなった。
どんなに安価なクォーツとか人気のないマイナーな機械式時計だって、探せば必ずどこか良い点を見つけられるものだ。
そのほうが面白い。
誰だって、どうせならフラッグシップ級の華やかな時計を造りたいだろう。
やっつけ仕事みたいな安価な時計のプロデュースなんか喜んでやる人は少ないはずだ。
全くいないということもないと思う。
世の中には自分のような変人もたくさんいるだろう。
でも、たいていは仕事だから仕方なくやっているのではないか。
限られた予算と時間で、とりあえず何がしかの形にしなくてはならない。
仕事なんてそんなものだ。
時計の向こうにそういう物語を想像してみるのも一興ではないだろうか。
それに、あんがい製作者サイドが全く意図しなかった良さというものが偶然に生み出されて、ヒット商品になるということだってあるだろう。
やっつけ仕事だって侮ってばかりもいられない。
だから世の中面白い。
そんなわけで
「なんだクォーツか」 「どうせモノマネだろ」 「ただの安物さ」
なんて言葉を見たり聞いたりするとカチンとくる。
「分かってねぇヤツだな。このトンチンカンめ!」と腹がたつ。
何故かって?
「だってねぇ、機械式時計が精度を競った時代なんて半世紀も前に終わっているでしょう。
クォーツが登場して市場を席巻した時点で、機械式は実用品の座から転げ落ちて趣味のアイテムになったんじゃないの?
機械式はクォーツに比べると遅れたり進んだりして精度が低くいし、放っておくと止まるというのが魅力なんでしょうよ。
だったら何で今さら無駄に高精度を求めるの?
せいぜい日差±30秒くらいの精度でも充分じゃない。
2~3日に一度くらいは時刻合わせをするほうが愛着も湧くってもんさ。
自分なら日差±1分くらい平気ですぜ。
だいたい今時の工業水準ならバカみたいに高価にしなくても、
日差±5秒くらい余裕でクリアできないのかい。
ナントカメイドの名が泣くぜ。
パワーリザーブも40時間もあれば全然困らない。
それ以上いらなくね?
だって止まるのが面白いんでしょうが?
止まらないのが欲しかったらクォーツがあるんだからさ。
そんなものに何十万も何百万も場合によったら数千万とか何億とか狂ってるよ」と、思うからだ。
しかし、
「“ははは、たしかにそうだ、おっしゃるとおりです。”
もちろん有名ブランドだから惹かれたというのも事実だし、
高い値段が価値の保証になるとも思いましたよ。
何といっても世間で通りがいい。
誰もが知ってる有名ブランドだもの。
でもね、それは、さておき、
自分は、この時計のデザインや性能や、ブランドの歴史なんかも大好きなんですよ。
ちょっと重たくて使いづらいけれど、これが不思議と腕馴染みがよくて。
それに何といっても、ふと時計を見たときの満足感が違うんですね。
つまり一目惚れした上に今では愛用の時計なんです。
値段はあまり関係ありませんね。
聞いてくれるなら自慢話をたくさんしてあげますよ。
ところで時計を愛好する上で、それ以上の理由なんて必要ですか?」
と、切り返されたらそれまでだ。
「ごもっともです。
つむじ曲がりが屁理屈を並べているだけですよ。
およびでないですね。失礼しました」と
侘びの一つも言って立ち去るだろう。
それこそ趣味の真髄(しんずい)ってもんだ。
それ以上でもそれ以下でもない。
しかし、たとえどんなジャンルでも、この域まで達した趣味人なら、
少しくらい批判されたりからかわれても、
やっぱり「ははは」と笑って受け流すことができるだろうし、
それがどんな品物でも、そこに何がしかの面白さや魅力を見いだすことができるのではないだろうか。
生噛りの尻の青いのにかぎって「あんなのは」と言いたがるものだ(苦笑)
「へぇ~、そういうお前さんも
よくあんなものは飾りだなんて言ってるじゃないの?」ですと!?
「だんなぁ そりゃぁ言いっこなしですぜ
つまるところ、あっしは駆け出しの素人で野暮天だって
はなっから言ってるじゃぁねぇですか
自分が目利きの粋な趣味人だなんて、
あっしは一度も言ったことがありませんぜ
へっへっへっへ」
と、まあ実は、こんなオチですた(笑笑)
ということで今日も今日とてセイコーのネイビーボーイ。
安いほうのSEIKOだ。
だって好きなんですも~ン♡ なにか?
:*:・( ̄∀ ̄)・:*:
