「もはや戦後ではない」と政府が宣言した年に発表されたのが、
このマーベルという腕時計である。
それまで欧米のメーカーから精度や耐久性といった性能面で
大きく遅れていた国産腕時計を国際水準まで引き上げた
名機と評価されている。
昔は良かったと郷愁に浸るつもりはないが、
当時の日本人の多くが世界を見ていたのは確かだ。
しかし1990年頃を境に急速にその意識は内向きになってしまった。
今や技術も経済も文化レベルも国際水準から
大きく引き離されてしまっているそうだ。
繰り返しになるが、ただ過去を懐かしむだけではないけない。
しかしあの時代の戦後復興や成熟した民主主義国家への情熱、
とりわけいかなる分野でも世界最高峰を目指した気概というものを
日本人は取り戻さなければならない。
そんな往時の人々の面影を一つの古い時計が伝えてくれている。


