とけいのじかん5
ロードマチック NO.1
私のささやかなコレクションの中でセイコー5に次いで多いのがロードマチックである。それには、ちょっとした事情がある。
これも有名な話だけれど、ロードマチックの日付曜日早送り用の揺動レバーという部品に取り付けられているプラスチックの歯車が、とても破損しやすいらしいのだ。
いわゆる午後9時頃から午前5時ごろまでのカレンダー送り禁止時間帯にリューズ操作をすると簡単に壊れてしまうらしい。
でもこれは一等先に揺動レバーの歯車が壊れることで他の部品を守る設計だという説もあるが、地元の時計店の店主さんは「あれは、欠陥品だ」と言ってはばからない。
事の真相は分からないけれど、とにかくロードマチックといえば日付曜日を送れない個体が多いのは事実だ。
実は数年前、オールド国産腕時計にハマりはじめたころに私も自分と同じ生年月のモデルが欲しくなり色々探してみたことがある。
ところがなかなかうまくいかない。生年月は同じでもあまり好みのデザインではなかったり、逆にデザインは好みなのだけど生年月が合わなかったりした。
そんな折にロードマチックの出物を見つける。私の好きな青文字盤でなかなか美品である。「もうこれしかない!」と思い腹を決めてオークションにのぞんだ。
しかし、私の他にも欲しい人たちが2~3人いたようで壮絶な叩き合いになる。
予定していた金額を超えても次々ひっくり返される。
しかし、こうなるともう後には引けない。意地になって「これでもか~!」「このやろー!!」と、すっかり盛り上がってしまい、ボクシングでいうとノーガードの殴り合いみたいになった。
とうとう延長戦になり、正直、負けたと思ったのだけれど、なんと逆転に次ぐ逆転で最後の最後に逃げ切ったようだ。
今だにあの時の興奮は忘れられない。だからオークションは依存性が強いのではないだろうか。用心する必要がある…。
それはさておき、念願のバースデイウォッチなるものを手に入れて万々歳となるはずだったが、これがまた見事なババで、案の定、カレンダー送り不能な代物だった。
やむなくドナー用の個体を探して入手することにする。しかし、これがまた案外難しい。
何せ風防、ケース、ブレスレットがヤレているものは同時にカレンダー送り不能な個体が多いのである。
そうかといって美品は値が張るからドナーには向かない…というよりも予算オーバーだ。修理とオーバーホール料金のことを考えるとあまり高い買い物はできない。
ただでさえバカみたいに叩き合いをして手に入れたから無駄に高値で手に入れたロードマチックなのである。
それでも執念でなんとか2個ほど某オクで探し出しドナーの入手に成功した。
かくして私のバースデイウォッチ、ロードマチックは完成したのである。
あれから何年くらい経ったのだろう。
だいたい自分という人間は、どんぶり勘定で生きているから、もう当時の落札価格なんかもすっかり忘れてしまったくらいだ。
でも、幸いなことに私のロードマチックは相変わらず健在で、今のところカレンダー送りも問題なくできる。
経年劣化で自然に壊れるという噂もあるが、さていかがなものなのだろう?
しかし、それでも何だかやっぱり不安だ。しかも、どんどんオールド国産腕時計も値上がりを続けている。
今のうちにもう一つくらいドナーを確保しておこうと、保険の保険をかけるつもりで、実はその後もう一つ別のロードマチックを入手することにした。つまり現在、都合4個のロードマチックを所有している計算になる。
しかも幸か不幸か、ドナーのつもりで手に入れた個体が思ったよりも状態が良かったので、このドナーを維持するためのドナーのドナーを入手したくなるという、いわゆる時計病無限ループ症状に陥りかけているという始末である。
たぶん時計病ウィルスに縁のない人達には全く理解できないことではないだろうか。![]()

