厚労省から「新型コロナウイルス感染防止のため歯科医院で緊急性の少ない治療は延期を考慮すること」という要請がありました。
「不要不急の治療」「緊急性の少ない治療」と言われて、思いつくのが定期的な検診やホワイトニングですが、虫歯の治療においても痛みがある治療以外は緊急性が少ない治療とも言えます。
「緊急性のある治療」として思い出されるのが、歯科医師会が行っている日曜診療や休日診療でやっているのは、どこの医院も閉まっているため、順番で歯科医師が滞在して、緊急で痛くてどうしようもない人だけが患者さんとしてご来院される仕組みです。
休日明けまで我慢できない人が、「治療するDrは誰でもいいから、とにかく痛みを取ってほしい」と思う人が来院されます。
厚労省が本気で歯科医院に「新型コロナウイルス感染防止のため歯科医院で緊急性の少ない治療は延期すること」を望んでいるのであれば、日曜診療のような仕組みにしていかなければ、歯科医院の方で「不要不急の治療」「緊急性の少ない治療」を決めていくことは難しいと思います。
歯科治療において、どの医院も「治療よりも予防」の大切さを啓もうしてきました。
それが、「痛みが出るまでは歯科医院へのご来院は控えて下さい」と歯科医院側から伝えることは難しいです。
痛みが出る前の治療なら1,2回で済んだものが、痛みが出てからの治療では5~10回ご来院されなくてはならない可能性が高くなります。
矯正治療も「不要不急の治療」「緊急性の少ない治療」のように思う方もいらっしゃいますが、「結婚式があったり、就活や留学までに歯並びをきれいにしたい」というのは期間を逆算して考えられていることであり、歯科医院の方が「矯正治療は不要不急の治療」と決めつけるのはいかがなものかと思います。
私の中では、不要不急の判断は患者さまがするものだと思っています。
国としては、国民の命を守る義務があります。
経営者としても会社や雇用を維持していく義務があります。
国民としても、ただ生きていればいいというわけではなく、QOL(生活の質)に対していろんな思いがあります。
国民の義務として、法律は守るべきですし、国の指示には従うべきです。
しかし、「新型コロナウイルス感染防止のため歯科医院で緊急性の少ない治療は延期を考慮すること」という表現では、多くの医院が周りの歯科医院に合わせた対応をしていくしかないような気がします。
歯科医院側が、治療を断ったり、休診にすることが患者さまの為、社会の為、社員のためになるのであれば、歯科医院はそうしていくべきでしょう。
その結果、経済的に体力のない医院は、「閉院していくことも仕方のない事」と覚悟することになります。
コロナウイルスに殺されるリスクをとるのか、経済的に持ちこたえられなくて歯科医院を閉院するリスクをとるのか、そのバランスをとってかじを取っていくのか、国が断定しない限りは、経営者の考え方によって違いが出てくるのは仕方のないことのような気がします。
どの選択が正しいかったは結果論になってきます。
年齢的な点、独身か家族がいるか、資金的に余裕があるかないか、等々、それぞれのおかれた立場で考え、選択する方法は違ってきます。
こんな状況だからこそ、いろんな視点で物事を見ていかなくては「自分が正しい!!」という人同士の衝突で、ぎすぎすしてしまうような気がします。
どの選択にも正解はないけど、1人1人が責任をもって自分の頭で考えていく必要があると思います。