試合で大事にいたる前に早期発見
↑前半の実演会にはフロンティアさんのレンタル銃をお借りしました。
前日にパーツ取りされた個体でして、しっかりバラして点検を行い、組み直しました
当初は予定になかったのですが、10月29日にフロンティアさん3階射場が空くということで急遽開催しました第3回バラ☆クミの様子をご報告します。当日は2名のかたにお越しいただきました。おふたりとも実演会と実践会の両方にご参加くださることになりました。ありがとうございます♪
ではさっそく実演会の様子から。バラ☆クミでは私、トビー澤田がAPS-3の分解と組立を先に行います。その後、参加者ご自身の手で分解&組立をしていただく実践会を設けています。実演会で分解&組立の方法を知っていると、実践がよりスムーズに進むことを意図してこのようなプログラムにしました。
今回題材となったAPS-3ORは触った感じだと特に不具合はありません。ですから淡々と作業をして、1時間程度で全バラに近い状態にしました。そして組立もこれまで通りの手順で進んだので詳細は割愛します。
↑グリップを取り外したAPS-3は大まかに分けるとまず上下に分解できます。
上部はバレルやチャンバーまわりで構成されています。
下部はコンプレストとトリガーとシアまわりです
↑上下に分割するとそれぞれ左右にも分割できます。
通常はこのような分解の仕方はしません。
一種のパフォーマンス的なものです。
目的の部分だけを分解&組立するだけですので
続いて後半の実践会に移りましょう。参加されたおふたりは共にAPS-3の限定モデルをお持ちになりました。フロンティアモデル2021(リンク先はマック堺さんの動画)とLE2020(こちらはマルゼンさんのHP)です。両方とも人気で素晴らしいモデルです。おふたりは普段はあまり分解&組立に慣れていないようでしたので工具の扱い方や基礎的なノウハウをお伝えしながら作業を進めていきました。
ところで限定モデルは専用部品が採用されています。でもその替え部品はメーカーにも在庫はありません。ですからなんらかの理由で専用部品をキズ付けてしまったり、破損してしまったりするとORの部品でしか交換で直すことはできなくなります。だから限定モデルは慎重に扱う必要がありますね。
↑銃口がカメラ側を向いていますが事前にBB弾が入っていないことを参加者全員で確認しています。
射座で空撃ちしました。
必ず安全な状態にしてから分解&組立作業に移っています。
ご安心ください
まず実演会のようにAPS-3を上下に分割し、それからコンプレストを取り外して中のピストンを点検する予定でした。ですがLE2020を上下に分解したところで問題が発覚しました。ストライカーの摩耗です。LE2020はAシアとBシアはステンレス製になっています。そしてストライカーは亜鉛製です。一般的にステンレスは亜鉛よりも硬いことが知られています。おそらく硬いAシアとそこに接する柔らかいストライカーが擦れることでストライカー側が徐々に削れていって摩耗したのだと思われます。約0.2mmくらいは削れていたでしょうか。削り粉も多く発生していることからもその状態がうかがえます。
どのような使用期間、または発射回数でこのようになるのか、自分は経験がないのでわかりません。ただ少なくともシアとストライカーが共に亜鉛製のAPS-3ORは2万発程度撃っても削り粉はほとんど発生しないことを経験しています。シアのかかりも故障はありませんでした。
持ち主さんにお話しを聞くと「最近トリガーが重くなった感じがする」とのことでした。事前の私のチェックではトリガープル自体は適正の範囲でした。また使用期間については「一年前にヤフオクの中古品の購入してから、一度も分解したことがない」ということでした。ご自身ではそんなに発射回数は多くないとも申告がありましたから、以前の持ち主が相当数撃ち込んだものと思われます。
↑赤い矢印がAシアです。
写真ではAシアの天面に付着物が付いているのがわかります。
亜鉛製ストライカーとステンレス製Aシアが擦れるところですので、数多く撃つとこのような削り粉が体積したと思われます。
当然、ストライカーは約0.2mmほど摩耗が進んでいました
ひとまずLE2020のほうはトリガーベースとAとB、Cシアを取り外して清掃を行ってもらいました。一方のフロンティアモデルのほうは同じ亜鉛製シアとステンレス製の組み合わせでしたが特に目立った摩耗はありません。念のためこちらも一通り清掃をしてもらいました。
次に移ろうとしたのがコンプレストとフレームの分割です。コンプレストは2本のネジでとまっています。それを抜けばコンプレストは多少の手ごたえはあるもののスッとフレームから抜けるはずです。しかしここでもLE2020は問題がありました。固着です。どんなに引っ張ってもコンプレストが抜けません。どうにかこうにか手を尽くしてコンプレストを抜いてみるとフレームとの接合部分であるバルブまわりに白いサビを広範囲に発見しました(写真、撮り忘れました)。これが固着の原因ですね。
続いてバルブベースを専用レンチで回そうとすると、ここも固着しているようで容易に回りません。これ以上無理に分解しようとすると破損するおそれがありましたのでバルブベースは外さないようにお伝えしました。メーカーに送って正式な修理を依頼することを勧めました。そのほうが安全ですからね。
コンプレスト接合部分のサビやバルブベースの固着から予想すると、たぶん内部に水滴が残ったまま長期間置いていたものだと思われます。APS-3は空気をコンプレスト部分で圧縮して放出する構造です。その圧縮の際、取り込んだ空気に含まれていた湿気がある程度集まって溜まると水滴となって内部に残ります。そして放出時、空気の通路に水滴が噴射されます。高湿度の環境のなかで短い期間、相当数撃たないと水滴は残りませんが、そうやって溜まった水滴がサビ→固着につながったのでしょう。
気を取り直し、その後はコンプレスト内部のピストンを前部から抜いて分解と清掃をしていただきました。そしてすべてを組み上げます。すると予想し通り、LE2020はシアがかからない状態となりました。今まではストライカーとAシアの接する部分に削り粉が残っていたため、かろうじてシアがかかっていたようですがそれを清掃で取り除いたためにコッキングできなくなったのでしょう。
LE2020の持ち主さんは相当に気落ちしておられました。お気持ちわかります。ですが、シアのかかりについてはストライカーの寿命が尽きていただけで、それを今回の分解&組立で故障を早期発見したともいえるわけです。もともと亜鉛製ストライカーは消耗品ですからね。定期的にグリスを塗って摩耗のあかつきには亜鉛製ストライカーに交換するか、同程度の硬度のステンレス製ストライカーに交換するのがいいのではないでしょうか。
さて、次回のバラ☆クミは未定となっています。ひとまず2024年1月頃を想定してスケジュールを調整しているところです。日程が決まりましたらあらためてお知らせいたします。ご参加をご検討のみなさん、よろしくお願いいたします。








