繰り返して経験値を増やす射撃の模擬練習
 
 APSを始めると、先輩たちが「人が集まったら点取りしよう」「点取り出る?」という会話を耳にしたことがあるかもしれません。初めて聞く人にとっては、「競技会みたいなものかな」「まだ自分には早い?」と感じるかもしれません。

 点取りとはAPSの界隈では、本番に向けた模擬練習とか練習試合みたいな意味合いがあります。その目的は、高得点を出すことではありません。APSのハンドガンクラスなら点取りでは本番さながらにブルズアイ、プレート、シルエットの3種目を参加者同士で回りながら撃っていきます。そして審判役(ジャッジ)も参加者が交代で担当します。一見すると本番のように点数を競い合っているようですが、本当の価値は別のところにあります。
 
 まず、試合形式を何度も経験できることです。普段の練習では、一発ごとの当たり外れに意識が向くかもしれません。でも点取りになると射順を待ち、自分の番になり、決められた時間の中で撃ち終えるという流れを繰り返します。この流れを何度も経験することで、本番でも落ち着いて動けるようになります。

 もう一つは、自分なりのルーティンを作りやすいことです。「深呼吸をする」「グリップを握り直す」「サイトを確認する」。なにをどんな順番で準備すれば撃ちやすいのかは人それぞれです。点取りでは毎回同じ流れで射撃するため、その手順が自然と固まっていきます。

 さらに、ジャッジを経験することにも意味があります。最初は「ちゃんと進行できるかな」「呼びかけが合っているかな」と不安になるものですが、実際にやってみると試合がどんな流れで進むのか、どんなルールで運営されているのかがよく分かります。進行が分かれば、本番でも「次は何をするんだろう」と慌てることが減ります。ルールを覚える近道にもなるでしょう。

 そして、もう一つ見逃せないのが人とのつながりです。点取りではジャッジをしたり、得点を確認したり、次のレーンへ移動したりと、自然に参加者同士で言葉を交わします。無理に話題を探さなくても、「お願いします」「ありがとうございました」の一言から少しずつ顔見知りが増えていきます。
 APSは個人競技ですが、ひとりだけで続けるよりも、顔見知りができたほうが長く楽しめる競技でもあります。だから点数を気にする必要はありません。

 点取りは高得点を証明する場ではなく、試合を覚え、ルーティンを育て、ルールを知り、仲間と出会うための場です。点数よりも経験値を積むつもりで参加すれば、きっと1回ごとに得られるものは想像以上に大きなものになるでしょう。
 
↑赤羽のフロンティア本店3階射場で行われていた点取りの様子。最近は金曜日の仕事帰りに集まる人もいるようです。ハンドガンクラスではブルズアイ→プレート→シルエットの流れで進行します。点取りもその流れに合わせて行われます。スタート種目だけが入れ替わり、シルエットから始まればシルエット→ブルズアイ→プレート、プレートから始まればプレート→シルエット→ブルズアイという順になります。なおこの進行はレンジや地域によって異なるかもしれません
 
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