エキシビションの域を出るかどうか


    前々回「APSマスターズカップ2023の参加者としての疑問」と題して、新設されて間もない競技の疑問点(主に金額)を当ブログに掲載しました。ご覧になっていないかたは上記リンクからどうぞ。当該の大会概要はこちらから。では前々回の続きです。

 感想としては「思い切った方向に舵取りした」という印象です。それに賛同する参加者はどのくらいいるのだろうかと思いました。前に少し触れましたがAPSマスターズカップというものはグランドチャンピオン決定戦(以降、グラチャン戦)が前身になっています。このグラチャン戦はAPSカップ本大会の競技がすべて終わり、最後を盛り上げるためのエキシビジョンマッチであった、というのが個人的な認識です。つまり、模範演技の披露とか親善試合とか、エンターテイメント性を含んだパフォーマンスショーみたいな意味合いであったと思っています。

    グラチャン戦に参加できるのは各クラスのシーズン最高得点者と本大会優勝者の4名だけで、ハンドガンならプレート競技で勝負を付けます。誰が一番最強か、わかりやすい競技進行です。当然、参加費は無料でした。このようなコンパクトなシステムですから、続けることも容易だったでしょうし、参加者が辞退するようなことも少なかったのではないでしょうか。

 ちなみにAPSカップ本大会へ申し込んだ参加者に送られていた32ページもの冊子(レギュレーションブック)には1/2ページを割いてグラチャン戦の説明がなされています。ここからわかる通り、グラチャン戦はAPSカップ本大会より格下の競技だというのが見て取れます。わかりやすく配列するならこうです。

 

APSカップ本大会 > 公式記録会/公式練習会 > グランドチャンピオン決定戦(枠外)

 

 競技得点が記録される正式競技とは異なり、非正式競技ゆえに名誉称号<第00代グランドチャンピオン>だけが継承されるというのもうなずけます。

 しかしそれを昇格させてAPSカップ本大会と同格、もしかしたら格上の新設競技としてAPSマスターズカップを扱おうというのがJASGさんの狙い、なのかもしれません。偏った見方であるのは承知のうえですが、参加費を比べるだけでもJASGさんの考えがわかるのではないでしょうか。

 

●参加費の比較

グラチャン戦=無料

公式記録会/公式練習会=4000

APSカップ本大会=5000

APSマスターズカップ2023=8000円(2022は6000円)

 

 そのエキシビジョンマッチであるグラチャン戦を合意形成もなくAPSマスターズカップという新設競技に仕立て、あまつさえ参加費をどの公式競技よりも一番高い金額に設定したところから、冒頭の「思い切った方向へ舵取りした」という感想につながります。

 もちろん、JASGさんはどこにもおもねることなく毅然と運営していっていただければいいのですが、事前告知はこれこれだけで〝今度から競技、新設する。開催は都度都度決める。参加人数少ないから高めの料金ね〟というのではどれだけの賛同が得られるのでしょうか。もしかしたらどこかの媒体でJASGさんの方向性を記事化しているのかもしれませんが、一般的には告知されていないも同然です。

    また、たとえ新設して最初のころは多くの参加者がいたとしても、後年でどれだけ続けられるのでしょうか。参加者が限られるだけにかなり不透明です。なにせAPSマスターズカップのシステムなら、参加資格はあるけど参加しないという選択肢があるのですから。見回したら5~6人しかいないなんてことも考えられます。それに出る身になったら、もうね。

 それゆえに今回JASGさんに問い合わせました。回答は一見しただけだと「ふーん、そう」程度。でもなにか釈然としません。ちょっと試しに回答の要約を以下にまとめました。

  • APSマスターズカップ2024を開催するかどうかは様子を見て決めるぜ。その参加料はあとで考えたる
  • グランドチャンピオンになりたいヤツがどれだけいるか、その価値は参加者次第よ。人少ないから今回は8000円。でも、まだまだ価値観あげられるっしょ(イミフ)
  • 会期なんてものに縛らねーよ。一発逆転要素取り入れて公式競技に喝入れたるわ。もっと精進せえよ、おまいら

 アレンジしてみました。しっくりくるでしょ?え、そうでもない?滝汗

   

 こうしてまとめてみて気づいたことがあります。Tobby_Sawadaは今までAPSマスターズカップは毎年恒例のつもりでいました。でもJASGさんの回答を眺めていると、そのつもりがないのでは?  と。

 要は参加者が集まる規模になったら開催するけど、少人数しか集まらなかったり、APSシューターの風向きが悪かったりするなど、ことの成り行き次第では催行しない年もある、ということです。そうであればいろいろ合点がいきます。もしですよ?  本当にそうだとしたら、新型コロナのどさくさに紛れて始めた競技は、その程度の気概しかなかったのか、ということになります。結局エキシビションマッチの域を出ていませんよね。そういうものに参加側が8000円出す気になるのか、うちら足元見られてるね、なんですよ。

 

 ところで「最近のJASGは金もうけか」という声が聞こえてきます。今のところはその線は薄いでしょう。2月18日の試算をすればおおよそわかります。

 

予想支出合計=39万7200円~50万1400円

会場費=23万7200円

(前日夜間設営だと+10万4200円)

人工費=16万円

(内訳:1種目4射座の場合のジャッジ12人、ブルズアイ判定2人、受付1人、銃検1人、@1万円)

予想収入合計=最大64 96万円

すみだ公式参加者=最大32万円

(内訳:80人、@4000円)

APSマスターズカップ2023参加者=最大32 64万円

(内訳:40 80人、@8000円、招待者含まず)

※2024.2.15 赤字に修正。APSマスターズカップ2023参加者の総数にマスター/グランドマスターバッジ所持者推定40名を加えるのを失念していました。お詫びして訂正いたします。

 

 実際のところ、APSマスターズカップ2023の参加者は20人もいればいい方でしょう。みなさんはどう考えますか?

  だいぶ長くなりましたので感想はここまで。Tobby_Sawadaの意見はつぎの更新に持ち越します。

 

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