

発想を少し変えて1000番の耐水ペーパーで慎重に劣化した塗幕を剥ぎ取る事にした。ペーパーがけと極細コンパウンドを使い分けながらゆっくりとヒビ割れが見えなくなる処まで研磨する。まるで打ちあがった日本刀の刃紋を研ぎ出す研ぎ師の心境である。ひたすら地道な根気を要求される作業だ。研いでは磨き、研いでは磨き、研いでは磨き・・・以下繰り返しにつき省略。
この作業の肝は何処で止めるかである。自己満足の世界であるが故、明確な作業完了と言うものが素人なだけに不明瞭である。しかも度が過ぎれば昔の傷が顔を出して来る事は確実だ。マルテンサイトの層を研磨して刃紋を研ぎだす研ぎ師の業に脱帽の思いであった。自分の中でここが限界と思えるところで研ぎを終わらせた。これ以上の作業は春を待たねばならない。作業を終え、腰を上げようと顔を上げると、くすんでしまった本来透明である筈のウインドスクリーンが目に入った。表面の細かい傷の為に模様が出来てしまっている。専用の研磨剤で再び研ぎ出す・・。
地道な研磨作業のお陰かバイクの顔の部分は見違えるように綺麗になった。たかかが機械、されど命を預ける相棒である。春になればもっと綺麗にしてやれるだろう。
来年の春には居合道の昇段試験が控えている。次は三段を受験予定だ。バイクの塗装面を研ぎ出しながら思った。昇段試験に向けての稽古も自分自身の”研ぎ出し”如何で結果が変わる。地道にコツコツ業の研ぎ出しに励もう。