ペロの一周忌 | 夢で会えたら

夢で会えたら

愛犬たちの想い出とルカの記録

ペロが旅立って1年が過ぎた。



夢で会えたら

【ルカ(左)と、小さな箱に入って1年になるペロ(中央)をつれて、想い出の鴨川にて】



長年連れ添った愛犬を失った飼い主たちと同じように、私もこの一年間ペロのことを

思わなかった日は一日たりともなかった。


哀しい飼い主の性(さが)である。

いいかげんに放念しないと天国のペロは迷惑がっているかも知れない。


「ペロは今頃どこで何をしているのだろう?」、 「むこうの世界で皆と仲良くしているの

だろうか?」、 「時々は寂しくなって私のそばに戻ってきてくれているのだろうか?」、 

「どうして夢で会ったらペロは逃げてばかりするのだろう?」・・・

思いは尽きない。



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【当時小学生だったお姉ちゃんたちとペロ。ペロ3ヶ月ごろ】



夢で会えたら

【食事中の私にお裾分けをねだるペロ。2歳ごろ】



私は子供の頃から犬がいる家に育った。

ペロ以前の愛犬もそれぞれに精一杯可愛がり、愛犬と心通わせて暮らしてきた。

しかし、ペロだけは私にとって他の愛犬たちと違う特別な存在となった。


それはペロと過ごした日々の中で芽生えはぐくんだ連帯感によるものだと思う。

ペロと私だけの秘密を共有し、約束を交わし、ペロと日々の活力と希望を分かち合った。


犬と一心同体、二人三脚とは奇妙な表現だが、ペロと私の間の共存意識を的確に表現する

言葉は他に思い当たらない。




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【下のお姉ちゃんと鴨川ほとりにて。ペロ8歳ごろ】



私にとってペロはペットを越えた存在、ペットの姿をした家族、いや家族以上の存在で

あったように思う。


時には、ペロが私の中に住むもう一人の自分であるかのように感じたり、ペロが

自分自身を映す鏡のように思えることもあった。

そして、あるときは自分の子であり、友であり、またパートナーであり、よき相談相手であり、

唯一無二の最愛の存在であった。


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【上のお姉ちゃんと近くのカフェ(エフィッシュさん)にて。ペロ9歳ごろ】



私がペロと奇妙な連帯感をいだくようになったのには、いくつか理由があった。

それはペロと暮らした11年の間に、私はそれまでかって経験したことがない大きな

人生の壁にぶつかり、それをペロとともに乗り越えることができたからだと思う。


一度目は仕事上の問題だった。

時代の流れと社会制度改革の結果とは言え、小さい私の職場の閉鎖、清算と再出発に

失ったものは計り知れない。


二度目は自らの健康上の障害だった。

根治手術を受けたのちも原因不明の慢性痛に長く苦しみ、不眠と鬱(うつ)で落ち込む中、

兄のような先輩と親友の二人と、さらには父までもが相次いで病により他界した。



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【お気に入りのゼッケン95番のシャツ。ペロ10歳ごろ】



生来、私は家族や友人に弱音を吐いたり、本心を開くことが上手ではない。


それには昭和一桁生まれの厳格で強かった父の影響が多分にある。

「男たるもの人前でめそめそするな、男は一人孤独に耐えて戦うものだ。」、

「安らぎと云う字は屋根の下に女、男はじっと風雪に耐えて家族を守る屋根だ。」と、

子供の頃の私はそう父に教わった。

素顔の自分をさらけ出すことの苦手な私は、心の奥底の語りたくない部分や

知られたくない弱い所を抱え込むようになった。

唯一、私が何も隠すことなく、すべて心を開くことのできる存在がペロであった。


私の話し相手になったペロはいつも少し困惑顔だった。

ペロの眉間のしわが深くなったのは、パパの話し相手になっているからだと

ママや娘たちに言われ続けてきた。


私は辛いとき悲しいとき、こっそりペロを抱いて涙した。

ペロは止めどない私の涙を舐めてくれた。

いつまでも飽くことなくペロは涙を拭って、慰めてくれた。



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【毎朝パパの出勤を見送り続けた】



ペロは共に悲しみ、みじめな飼い主を哀れんでくれた。

その一方、ペロは嬉しそうであった。


飼い主の流す涙は、甘美な味がする愛犬の大好物である。

飼い主の不幸と悲しみの涙を舐め尽くし、飼い主の心を癒すことは

愛犬にとって無上の幸せである。


飼い主の涙、それは飼い主が愛犬に心を開いた証であり、

その涙は愛犬が飼い主からもらう最高に幸せなご褒美である。




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【忘れな草(forget-me-not)のような小菊とペロ】




犬は幸せを入れる壷を持ってこの世に生まれてくるという。

飼い主からもらった幸せが少しずつ溜まり、その壷がいっぱいになったら、

神様から戻ってくるように言われているそうだ。


愛犬の健康や環境にも十分気を配り、深い愛情を注いでいたにもかかわらず、

病気や事故で愛犬に先立たれた飼い主には、心にしみ入る話だ。


愛犬を失った多くの飼い主には辛い疑問や後悔が残る。

「何故、うちの子に限って、、?」、「何か飼い主の選択や判断が間違っていたのでは、、?」、

「もっと何かしてあげられる事があったのでは、、?」


残された哀れな飼い主の疑問に解答はなく、永遠の迷宮に入り込んでしまう。

答えがあるとしたら、神様が呼び戻したということしかない。



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【甲状腺癌で闘病中も、いつも私を見つめていた】



ペロは幸せの壷がいっぱいになり、神様に「戻っておいで」と言われた。

愚かな飼い主の私はそう思いたい。

弱虫だった私の涙を舐めすぎて、ペロの持って生まれた壺は満ちてしまったに違いない。




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【ペロの遺影を見上げるルカ 】



「パパの涙は少ししょっぱくて、とても美味しかったよ。


いっぱい、いっぱい、舐めさせてくれてありがとう。


わたしの前では強がらず、ありのままのパパでいてくれて、うれしかった。


わたしが涙を拭いてあげて、いつもパパが元気になってくれるだけで、とっても幸せだったよ。」


と、今も天国のペロが私を慰めてくれている気がする。



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【ペロのお供え物を失敬しようとするルカ 】



ペロのおかげで、今このお転婆娘ルカがそばにいてくれる。


パパはまだしばらく、この可愛いじゃじゃ馬と暮すけど、


いつか必ずペロに会いにいくからね。 また一緒に暮らそうね。



夢で会えたら
【虹の橋の広場で、私を待つペロ 】



ありがとう、ペロ。 ほんとうに、ありがとう。






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【ひなのちゃん、れおママさんより頂いたお花】



今日はペロのために、お友達が素敵なお花を送ってくださったよ。

おうち中がいい香りに包まれて、みんな夢心地だよ。


昔ペロと一緒に作った庭に薔薇とスイートピーを植えたよね。

毎年少ししか咲かなかったけど、ペロが大好きだったお花だね。



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【mickeyママさんより】



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【ワンコのパパさんママさんより】



夢で会えたら
【甘い香りに包まれて眠るペロ(ゼッケン95番)と、ルカ(右)】



よかったら、ちょっと匂いを嗅ぎに戻って来ないかい、ペロ。


今夜、夢で会えたらいいね。





( ペロにお心遣いを頂きました皆様に心よりお礼申し上げます。 )