古典に遊ぶ如月(きさらぎ)のルカ | 夢で会えたら

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愛犬たちの想い出とルカの記録


夢で会えたら 【二月限定品の紅梅あめ(祇園小石)とルカ】


先月無事に1歳になったルカにとって、2度目の節分だ。


去年の節分は生後3週のパピーだったから、おそらく生まれた犬舎で母犬や兄弟たちと

一緒に楽しく過ごしたことだろう。


気候の変わり目に風邪をひいたり体調を壊したりしやすいので、昔から季節の

節目(節分)には邪気が入りやすいとされた。

そこで節分には邪気を運ぶ鬼を厄払いし、福豆をまいて

新年の福を招きいれる慣わしとなったそうだ。


ことに年男(女)がまいた豆を年の数だけ食べると一年間無病息災になれると云う。



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【節分の豆を怪しみ、鬼の面を舐めるルカ】



1歳のルカは豆をたった1個しかもらえなかった。

それも初めての食感にたいへん怪訝そうで、うす皮だけ食べて中身を出してしまった。

豆が美味しくなかったらしく、2個目は欲しがらなかった。


節分の翌日には立春となり、暦の上では春となったが、まだまだ底冷えがきびしい。

むしろ寒さはこれからが本番だ。


今から千年前の平安時代、清少納言は春は夜明けがもっとも趣きがあると言った。

凍てつく寒気の中、やわらかな朝日に照らされる空は今も千年前も同じだ。


春光の下、川辺の生き物たちは静かに息づき、草花の芽吹きをじっと待っている。

世の中も、景気や暮らしも、季節もこれから明るくなっていく時期が、

一番心うきたって楽しい時なのかも知れない。



春はあけぼの。やうやう白くなり行く、山ぎは少しあかりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。                      

                                       ( 清少納言 「枕草子」第1段)



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【寒い早朝の鴨川と薄紫の雲】



しかし平安時代のその頃には、早朝の川岸を走るピンクの犬はいなかっただろう。

もし清少納言が見たら、何と言ったものか。



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【ムササビのごとき犬かけて、いとおかし】



残念ながら清少納言は犬好きではなかったようだ。

枕草子の第23段で「すさまじきもの」(興ざめなもの)の一位に、「昼ほゆる犬」(昼間に

吠える犬)を挙げている。


これは清少納言がいつも犬に吠えられる怪しい格好、奇抜なファッションを

していたからではないだろうか、と私は勝手に想像している。




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【朝の川端をランニングするルカ。少し立ち止まると寒そうだ。】



平安時代の歌論書「奥儀抄」(藤原清輔)によると、陰暦二月のこの時期には

寒さのため衣の上にさらに着物を重ねる衣更着(きぬさらぎ)をしたことから、

二月を如月(きさらぎ)と呼ぶようになったそうだ。


天然のダブルコートの毛皮をまとっているルカも、最近は寒いので、

お洋服を喜んで着てくれる。まさに如月(衣更着)である。



先週末、立春の後2,3日はルカ地方も寒い荒天で、ひさしぶりに雪がふった。




二月(きさらぎ)つごもりごろに、風いたう吹きて空いみじう黒きに、雲少しうち散りたるほど、・・・

                                       (「枕草子」 第106段)

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【荒天にかすむ比叡山(中央)と如意ケ岳(=大文字山)(右)】


枕草子の一節に、二月の天気の悪い日、清少納言のもとに宮中の大納言公任殿から

使者が来て、上の句を問うくだりがある。


大納言が詠んだ下の句「少し春あるここちこそすれ」に、清少納言がすぐに

「空寒み花にまがへて散る雪に」と上の句を付けて返し、殿上人にたいそう

気に入ってもらい、清少納言を内侍にしたいとまで誉められたという話である。


いささか清少納言の自慢話のような一節ではあるが、デジカメや写真のない平安時代では

和歌はイメージを伝える大切な手段であった。

清少納言の上の句を聞いて、殿上の和歌の達人たちも、舞い散る雪に春の桜吹雪を

思い浮かべたのであろう。



当時の歌人たちは言葉とイメージの英才でもあった。

今の時代なら、清少納言はブログの女王だったかも知れない。




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【 「空寒み花にまがへて散る雪に 少し春あるここちこそすれ」(枕草子) 】



1歳になって少しお利口になったルカは、初めてイタリアンレストラン (バール)に

連れて行ってもらった。


ここはワンコ同伴でしっかりと食事ができる数少ないレストランだ。

もと銀行だった建物を改装しているので、西洋の建物のように天井が高い。

鴨川に面した見晴らしの良い席はすべてワンコ同伴OKだ。


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【ルカ姉ちゃんたちとレストランの前で】



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【美味しいピザ、パニーニ、パスタ、プロシュート】


このお店は一時期、パスタの味が落ちたと酷評されていたが、この日は

とても美味しかった。


私的にはパンと生ハムに香ばしいいオリーブオイルをたっぷり着けて

食べたかったが、テーブルにオリーブオイルがなかったのは残念だった。





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【下からピョンピョン、お裾わけをねだるルカ】



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【食後のカプチーノになっても、まだあきらめない】


食事中、飛び跳ねてずっと落ち着きのないルカだったが、周りのテーブルが

空いていたのと、他のお客さんたちも犬連れだったので事無きを得た。


お店のスタッフは犬好きの方が多く、ルカがもう少し行儀よくなったら

ぜひまた行きたいと思う。


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【「今度はワンコ用のメニューがあるお店に行こうよ」】


まだルカにはきちんとしたレストランは早かったね。


ワンコ用のメニューがあるお店って・・・

少ないよね。