考えるからこそ、人は人に | あっぷ指導会船堀教室のブログ

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うっかり、勉強なんて嫌い──と言い放つ子供がいますが、この発言はたいへん残念です。

 それはきっと、本物の勉強を知らないからです。終生、何かを知り、あれこれ考えることの魅力に気づかないとしたら、これをしのぐ不幸は他にありません

 今さら、ブレーズ・パスカル(17世紀のフランスの数学者・哲学者)の「人間は考える葦である」を引用するまでもなく、やはり、人間は考えるからこそ、人なのだ──と思います。知的好奇心に促されるまま、底なしに学んで、どこまでも成長してこそ、人間はいっそう人間になります

 うろ覚えで恐縮ですが、ふと、子供の頃に読んだお話を思い出しました。確かイスラエルの児童書だったと思いますが、何はともあれ、お話をご紹介します。


 とても重い病気にかかり、少年は入院します。全く体は動かない状態で、ずっとベッドに寝たままです。快方に向かっているどころか、病状は悪化しているようにも思えます。何しろ、その個室の病室には窓がありませんので、ここは自由を奪われる刑務所同然、気持ちはふさぐばかりです。

 そんなある日、薄い個室の壁越しに、声が聞こえます。隣にも、同じ年の男の子が入院しており、元気に話しかけてきます。こっちはこっちで、落ち込んでいる気持ちを隠すことができず、ついつい不満をぶつけてしまいます。

「ここはまるで刑務所だよ。窓もない病室にずっと寝かされたままだと気が狂ってしまいそうだ。どの道、もうすぐ死んでしまうのだろうし、このまま眠ったまま目が覚めなかったらどんなによいだろう」

「君はただ退屈を持てあましているだけだろう。わかったよ。ぼくが何か話しをしよう。何の話がよいだろう。そうだ。実はね、こっちには窓があるんだ。今日はとてもお日様がまぶしくて、空が真っ青だ。あ、今、鳥が通り過ぎていった。随分と小さな鳥だけど、何ていう鳥だろう」

 その日以来、主人公の少年の気持ちに変化が現れます。とにかく、隣の少年の話がたのしみです。とても流暢な表現力で、鮮やかに描写してくれるので、実際にその窓から見える景色を、こちらも見ている気分になります。吹きつける風の心地や、風が運ぶ花の香りまで細やかに伝えてくれるので、本当に自分が窓のある部屋にいる感覚です。

 いつしか生きる希望を持つようになり、病状も回復します。そしてようやく、退院の日となります。まず真っ先にお礼を言いたいと、隣の病室へ行くこととしました。

 ところが、隣の少年は、急に病状が悪化し、今朝亡くなったのだと言います。しかも、隣の部屋を覗いてみて、愕然とします。


 あるはずの窓が──なかったのです


 実は、隣の少年は、主人公の気持ちを案じて、ウソをついていたのです。それは善良、善意のウソです。どうにかして生きる希望を与えてあげたいという一心で、あたかもそこに窓があるかのように、イマジネーション豊かに語り続けていたのです。

 本当は、自分も重い病気にかかっており、とても人をいたわる余裕がなかったにもかかわらず、必死に主人公の少年を支え続けていたのでした。


 何とも衝撃的なラストシーンで終わるお話ですが、ここで伝えたかったのは、やはり人は、考える生き物だということです。刑務所のように閉ざされた空間では、考えることが困難ですから、こんなにつらいことはありません

 一方で、主人公の少年が生きる希望を持てたのも、隣の少年が考える喜びを与えてくれたからではないでしょうか

 まさに、人は考えることを至上の喜びとしており、考えるから人であることを、つぶさに物語っているとも言えます。

 そういうことなら、当塾あっぷ指導会の船堀校は、手前みそになりますが──ふつふつと考えるエネルギーに満ちた学び舎ですから、至上の喜びの場とも解釈できます。

 とても幸せなことに、人であるからには、学びは一生続きます。学べば学ぶほどに、自分の無知や愚かさを知り、そしてもっともっと学びへの欲求は高まっていきます

 この学びは、自分の見える世界を際限なく広げてくれるので、それこそ、窓から射し込む力強い光のように、人へ希望の光を与え続けます。存分に知り、あれこれ考え、なるほど納得にとことん夢中になることで、子供は大人になり、大人はもっと大人になります