睡眠について
睡眠についてシリーズでお話ししていこうと思っています。興味のある方はお読みください。
1. 正常な人の睡眠パターン
2. 睡眠と脳波の関係
3. レム睡眠とノンレム睡眠の詳しい情報
4. 睡眠薬について
➀ 種類 ② 眠薬の副作用 ③ 上手な睡眠薬の使い方
5. 睡眠に関係する病気

1. 正常な人の睡眠パターン
下図の説明を致します。
睡眠の深さ度合い
ノンレム睡眠は、ステージ1~4度の深さに分かれます(4度は爆睡状態)
1.5時間の深い睡眠に入ります・・・ノンレム睡眠・深い睡眠(4)
1.5時間くらいで最初のレム睡眠が現れます。
次いでレム睡眠が現れるのは1.5時間です。
だんだん深い睡眠に入らなくなります。(1~3)
6時間になると深い睡眠に入れなくなります。

上図をご参考にしてください。
2 睡眠と脳波の関係
睡眠と脳波には密接な関係があります。脳波(EEG)は脳の電気的活動を記録したもので、睡眠の深さや種類を判定するために使われます。

■ 睡眠中の脳波の変化
睡眠は大きく ノンレム睡眠(NREM睡眠)
レム睡眠(REM睡眠) に分けられます。
〇覚醒時
目を閉じて安静にしているときは、主にα波(8~13Hz)が見られます。

活動中はβ波(13Hz以上)が優勢になります。

〇ノンレム睡眠・・・眠りが深くなるにつれて脳波はゆっくり大きくなります。
★ステージ 1(入眠期)・・・覚醒から睡眠への移行段階
α波が減少し、θ波(4~8Hz)が増える ・・・うとうとしている状態

★ステージ 2(浅い睡眠)・・・睡眠時間の大部分を占める
「睡眠紡錘波(sleep spindle)」や「K複合波」と呼ばれる特徴的な脳波が現れる
外部刺激に対する反応が低下

★ステージ 3(深い睡眠、徐波睡眠)・・・δ波(0.5~4Hz)が優勢
最も深い睡眠 ステージ4・・・身体の回復や成長ホルモン分泌と関連

〇レム睡眠・・・脳波は覚醒時に近い速い波になる

眼球が素早く動く(Rapid Eye Movement)
夢を見ることが多い
筋肉の活動は強く抑制される
■ 睡眠サイクルと脳波
一般的に1回約90分のサイクルで ステージ1 →ステージ2 → ステージ3(4) →ステージ2 → REMを繰り返します。
前半の睡眠ではノンレム睡眠のステージ3~4(深い睡眠)が多く、後半になるほどレム睡眠の割合が増えます。
■ なぜ脳波が重要なのか
脳波を調べることで、不眠症 、睡眠時無呼吸症候群 、ナルコレプシー、周期性四肢運動障害などの睡眠障害の診断に役立ちます。
また、睡眠中の睡眠紡錘波や徐波活動は、記憶の定着や学習能力との関連があることがわかっています。
簡単にいうと、
脳波が速い → 覚醒に近い状態
脳波が遅く大きい → 深い睡眠
レム睡眠では脳は活発だが体は休んでいる
深い睡眠(ステージ3)とレム睡眠の両方が、心身の回復や記憶の整理に重要
睡眠研究では、脳波は「今どの睡眠段階にいるか」を知るための最も重要な指標の一つです。
3. レム睡眠とノンレム睡眠の詳しい情報
睡眠は脳波により次の4段階に分けられます
睡眠STAGE1 ・・・うとうと
睡眠STAGE2 ・・・すやすや
睡眠STAGE3 ・・・ぐっすり
睡眠STAGE4 ・・・ぐったり
ノンレム睡眠とレム睡眠の詳しい情報について
睡眠は、大きく分けると次の2つの種類があります。
☆ ノンレム睡眠(Non-REM sleep)
睡眠して直ぐに出現 4度の深い睡眠に入ります
眼球はほとんど動かない
脳の活動はゆっくり
深い眠り(特に後半のステージ)
夢はあまり見ない
役割
体の回復(筋肉・細胞の修復)
成長ホルモンの分泌
免疫機能の強化
☆ レム睡眠 (Rapid Eye Movement)
眼球が素早く動く(Rapid Eye Movement)
自律神経が活発に動き、その反面、体の力がすっかり抜けた状態となります。
脳は起きているときに近い活動状態
夢を見やすい
体はほぼ動かない(筋肉が弛緩)、顔や手足がぴくぴくと動いたりする
役割
記憶の整理や定着(特に感情や体験)
創造性や学習能力の向上
4. 睡眠薬について
➀種類
A 睡眠薬(不眠症の治療に使われる薬)は、作用の仕方によっていくつかの種類に分けられます。
1. ベンゾジアゼピン系睡眠薬
脳の活動を抑えることで眠気を起こします。
代表例
ハルシオン 、レンドルミン
特徴
効果が強い
長期使用で依存や耐性が生じることがある
ふらつきや転倒のリスクに注意
2. オレキシン受容体拮抗薬
脳を覚醒させる「オレキシン」という物質の働きを抑え、自然な眠りを促します。
代表例
ベルソムラ 、デエビゴ 、グービック
特徴
依存性が比較的少ない
高齢者にも使われることが多い
入眠困難と中途覚醒の両方に効果が期待できる
3. 非ベンゾジアゼピン系(Z薬)
ベンゾジアゼピン系に似ていますが、比較的睡眠作用に特化しています。
代表例
マイスリー、ルネスタ、アモバン
特徴
入眠障害によく使われる
依存性はベンゾジアゼピン系より低いとされるが、ゼロではない
健忘(服用後の記憶があいまいになること)に注意
4. メラトニン受容体作動薬
体内時計を調整するホルモン「メラトニン」と似た働きをします。
代表例
ロゼレム
特徴
依存性がほとんどない
体内リズムの乱れが原因の不眠に向いている
効果が出るまで少し時間がかかることがある
5. その他(睡眠補助として使われる薬)
本来は別の病気の薬ですが、不眠改善のために処方されることがあります。
例
トラゾドン、ミルタザピン、抗ヒスタミン作用のある薬剤
特徴
不眠の背景にうつ病や不安障害がある場合に使われることがある
B 睡眠薬の効果の長さによる分類があります。
作用時間による分類・・・睡眠薬は作用時間でも分類されます。
超短時間型:寝つきを改善
短時間型:寝つきの改善+朝まで効果
中間型:夜中に目が覚める人向け
長時間型:早朝覚醒が多い人向け
エーザイが出している「不眠症の治療に用いられる薬剤一覧」です。

※ 現在よく使われるものとして近年は、依存性や転倒リスクの観点から、デエビゴ、ベルソムラ、ロゼレム などが処方される機会が増えています。
② 眠薬の副作用
睡眠薬の副作用でよく見られるものには次のようなものがあります。
翌朝の眠気やだるさ
集中力や注意力の低下
めまい、ふらつき 転倒リスクの増加(特に高齢者)
頭痛
倦怠感
〇 睡眠薬の種類によってみられる副作用
1. ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系(Z薬)
例 ハルシオン、レンドルミン、マイスリー、ルネスタ
特徴的な副作用
依存(薬がないと眠れない感覚)
耐性(同じ量では効きにくくなる)
健忘(服用後の記憶が抜ける)
異常行動(睡眠中の歩行や飲食など)
急な中止による離脱症状(不眠の悪化、不安など)
2. オレキシン受容体拮抗薬
例 デエビゴ、ベルソムラ、クービビック
特徴的な副作用(依存性は比較的少ないとされています。)
日中の眠気
悪夢や鮮明な夢
金縛り(睡眠麻痺)
入眠時や覚醒時の幻覚
3. メラトニン受容体作動薬(依存や耐性はほとんど報告されていません)
例 ロゼレム
特徴的な副作用
眠気 、めまい、頭痛、倦怠感
〇 次のような睡眠薬の副作用への対処方法について
(※ 医師にご相談ください)
持ち越し効果・・・薬が残って翌朝ふらふらする
・睡眠薬の減量
・作用時間の短い薬剤への変更
反挑性不眠・・・一定期間薬を飲んでやめると逆に以前より眠られなくなる
・睡眠薬の漸減
・漸減無効の場合、作用時間の長いものに置換後漸減
筋弛緩作用・・・筋肉がゆるんで転びやすくなる
・筋弛緩作用の少ない薬剤を選択
記憶障害・・・睡眠薬で一度寝て途中で起きたときのことを覚えていない
・睡眠薬の減量
・アルコールと併用しない
・必要最低限の服用量
・服用後はできるだけ早く就床
③ 上手な睡眠薬の使い方
〇症状に適した睡眠薬の種類
寝付きを好くする・・・超短時間型
頻回に目が覚める・・・短時間型、中間型
朝の予定よりも早く目が覚める・・・中間型、長時間型
〇睡眠薬を安全に服用するために
❶ 絶対にお酒と一緒に服用しないでください。
❷ 寝床につく20分以内に服用してください。
❸ 自分の判断で薬の量を加減したり、服用を中断しないでください。
❹ 自分の薬を人にあげたり、もらったりしないでください。
❺ 睡眠薬以外にお薬を飲んでいるときや、副作用など気になることがあれば、すぐに医師に相談してください。
〇 注意が必要な組み合わせ
睡眠薬と以下を併用すると、眠気や呼吸抑制が強まることがあります。
アルコール 、一部の抗不安薬 、一部の鎮痛薬(特にオピオイド系)、一部の抗ヒスタミン薬
〇すぐに医師へ相談したほうがよい症状
呼吸が苦しい
強い意識障害
転倒や事故を繰り返す
睡眠中の異常行動がある
強い抑うつ気分や自殺念慮が出現した
〇 睡眠薬のやめ方
漸減法・・・服用を徐々に減らす
超短時間型・短時間型睡眠薬を服用している場合
隔日法・・・服用の間隔を徐々に伸ばす
中時間型・長時間型睡眠薬を服用している場合
※ 医師の指示を守って服用してください

5.睡眠に関係する病気
睡眠障害 は、「眠れない」「途中で起きる」「昼間に強い眠気がある」「寝ても疲れが取れない」など、睡眠の質・量・タイミングに問題が起きる状態の総称です。
不眠症は、寝つけない、夜中に何度も起きる、朝早く目覚めるなどの症状が1か月以上続き、日中の不調を伴います。
その他睡眠に関係した疾患には次のようなものがあります。
◎ 睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に鼾を伴い数秒間の何度も無呼吸になってしまう病気です。
睡眠中に呼吸停止が繰り返されると身体の中の酸素が減っていきます。すると寝ている間に脳や心臓には大きな負担がかかり、本人が気づかなくても、脳や身体が十分に休息を取ることができない状態になります。その結果、日中に眠気や倦怠感、集中力低下などが起こり、日中の様々な活動に影響が生じてきます。また脳や心臓、自律神経系などに負担がかかり続ける結果、高血圧や糖尿病、脳卒中や心臓病といった病気の原因になることがわかっています。
◎ ナルコレプシー
毎日起こる日中の耐えがたい眠気と,異常に発現するレム睡眠を特徴とする病態です。
レム睡眠に関連する症状としては,次のようなものがあります。
・情動脱力発作(強い情緒の動きと関連して,突然力が抜けてしまう)
・入出眠時幻覚(睡眠と覚醒の移行期に体験する,鮮明な現実感のある幻覚)
・睡眠麻痺(いわゆる金縛り)など
わが国では一般人口の0.16~0.18%に起こるといわれています。毎日の強い眠気のために日常生活,学校や職場での社会生活で支障をきたします。
◎ むずむず脚症候群
下肢に起こる異常感覚により不眠が生じます。
安静にしている時に,脚を中心に不快な感覚(むずむず感,ちくちく感,もぞもぞ感,痛みなど)が生じてきて,睡眠が障害されてしまう病気です。脚を動かすと不快感はやや治まりますが,動かすのをやめると再びその感覚が出てきてしまいます。成人の5%から10%にみられ,女性は男性の1.5倍から2倍程度,起こりやすいといわれております。
◎ レム睡眠行動障害
正常なレム睡眠中には,筋肉の緊張が低下する機構が働きます。 しかし,何らかの原因によりその機構が障害を受け,はげしい夢の内容に支配された異常行動を起こしてしまうことがあります。それがレム睡眠行動障害と呼ばれ,女性より男性に多い疾患です。
◎ 概日リズム睡眠障害
その人にとって望ましい睡眠・覚醒スケジュールと,実際の睡眠・覚醒リズムが合っていないために,過剰な眠気や不眠が生じる病気です。交代勤務や時差による場合や,望ましいとされる時間よりも入眠時刻が遅れてしまう睡眠相後退型などがあります。
※ 1か月以上続く不眠、日中の強い眠気、激しいいびきや無呼吸、睡眠中の異常行動があれば専門医に相談してください。

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