「アイツが出所したらしいでー」
そんな話が聞こえてきた。
そいつは窃盗の常習犯で、何度も逮捕されてはまた同じことを繰り返す。
今回も1年半ほどで出所したらしく近所の団地に住み始めた。
すでにあたりの物色なのか、その家の車が出ていくと
あたりをうろついていると噂が広がる。
数年前にうちの従業員が胸ぐらをつかまれそいつに恫喝された。
警察に相談に行ったが、
「また何かあったら言ってください」と言うだけで
結局は何かよほどの大きな被害が出ない限りは対処はしないらしい。
なんぼほど頼り無いんじゃ・・・。
スピード違反や一旦停止は楽しそうに捕まえるくせに・・・。
立派な学者や専門家と呼ばれる人たちは
犯罪を犯した人たちの更生や社会復帰が大切だと言うが
それも相手によりけりだ。
被害が現実におよびかねない人間にはそれは切実な問題だ。
生きるために、あるいは欲望を満たすために自分のことだけを中心におこす行動が
社会にとっては災難で、時には必要なものまでも壊していく。
法は善人のために作られるものではないとソクラテスが言ったそうだが
悪を裁くだけでなく、ふつうに生きようとする人間を守るために
機能しているかは疑問を感じる。
それは人が感じる善悪が微妙に異なるために
排除と隔離も解決方法にできない。







