「うわー、キモ~!」
「嫌いゃー」
その天使たちは面白半分に毒を吐く。
悪気なんてまったくないのに
ノリや感情で平気でトゲを出す。
悪意のない毒やトゲでも、それは心を傷つける。
無邪気や幼稚で済まされない深い傷を残すことなんて想像もせず。
天使たちがバレンタインのチョコレートを配っていた。
「ありがとう」と素直に言えばいいのに、不器用な天使は
大きな声で照れ隠しに思っていることとは正反対のことを言う。
それがわかって言い返すことができれば会話として成立するのだが
黙って受け止めてしまう天使もいる。
どんな励ましの言葉もいたわりの声も聞こえなくなった天使は
相手を思う気持ちが大きいほど落胆も大きい。
残酷な天使たちは、そんな経験から翼を捨て人間に身を落とす。
残酷な天使たち・・・。