中学受験の話を久しぶりにしようと思います。
中学受験の試験科目は基本、算数理科社会国語の四教科です。一部英語が入る学校もありますが大体は四教科です。
得点率にも差がない学校も多いということは、それは苦手教科を他教科でさらに言えば理科社会で補えるという事でもあります。ただ、点数差があまりつかない教科もあります。逆に上位校でも差がつく教科もあります。それが、国語です。
よく、『国語が苦手だ』という方が多いですよね。苦手をゼロにしていくのが入学試験勉強です。しかし、国語に関しては、どう対策していけばいいのか分かりにくい教科です。勉強をすればわかるのですが、『なぜこの選択肢でなければいけないのか』『なぜここを抜き出さなければいけないのか』絞りきれない、自信を持ってこれと言えない。何となく選んでいる。娘も同様で、本を深く読む子特有の失点が多くありました。
結論から言いますが、学校の国語と入学試験の国語は全く違います。そもそも目的が違います。国語の授業を必死に受けても、そう簡単に点数が上がっていきません。ただし、中学校以降の古文漢文は別です。現代文において、受験特有の読み方解き方はあります。よく勘違いをされるのですが、教材を挙げるとそれをやればなんとかなると思われているのですが、そうではないです。国語においては、点が取れるための段階が細かくあり、さらに必要とする技術も複数あります。他教科に比べその組み合わせでどの地点で伸び悩んでいるのかは個人によります。どこに解釈の仕方の問題があるのかは個人差があり、そこの修正は個別に必要なのです。なので、国語の点が伸び悩んでいて塾で先生に『どうしたらいいですか』と聞いても、個々の段階まで把握できているわけではないので『音読しましょう』『問題文をよく読みましょう』といったありきたりな言い方しかなくなります。模試の結果があれば『指示語の理解を』『段落構成を』となる。しかし、それだけで到達したい地点までたどり着ける子はどれくらいでしょうか。
出題された文章を読んで、段落構成を把握できる子できない子で解き方が変わります。指示語を見て見る箇所を把握できる子と素通りしてしまう子では読み方が変わります。国語の入試では、問われた問題の線が引かれていない箇所の把握や指示語を追わないとと文章の理解が進まないものは多くあります。選択肢を絞るにも、明らかに文章に書いていないものに印をつけてしまったり、正論で書いてあるからと選んでしまったりする。そして、そこを入試の問題はついてきます。
以前、娘の国語を付きっきりで完成させた話をしましたが、何をしたかというと、下記の教材で、読みと解きを修正したという事です。
以前紹介していた
『文章理解の鉄則』
『出口の小学国語』
はそこが把握しやすいという事です。正直、どの教材を使っても上に書いたことが修正できさえすればいいと思うのですが、こういった文章読解や段落構成把握や問題選択肢の切り方についての個々の抜けの確認は、網羅的に段階的に書かれた教材をやったほうが早いです。また、早い段階で準備をしておかないと、いくら授業を受けても、いくら大量に問題をこなしてもなかなか点が上がりませんし、安定しません。
ちなみにわたしは出口の実況中継や田代の現代文をやった記憶があります。
当時と今が内容に差があるのかは分かりませんが、本当に隅から隅までやり切ったら現代文においてはまあ困らなくなりました。今も昔も変わらないということです。
ですので、何を問われているのか理解すらできないなら、早急にやるべきです。
娘は上記に挙げた『文章理解の鉄則』をやりました。
短期間で集中して鉄則を叩き込むのですが、重点的に叩き込むのは自分が抜けているところです。得点の伸び悩みはそこです。
そもそも、学校で国語をやっていて受験を考えるということは、模擬試験の点や過去問も0点ではないと思います。仮に過去問で0点なら受験校選択について一度教員や塾の先生とよく話をするべきです。子供の負担が大きすぎます。
娘に教材を渡したのは、
①試験勉強をはじめたのが遅すぎ、他教科の勉強時間確保が必須で、とにかく入試まで数ヶ月と時間が限られていたこと
②『文章理解の鉄則』の利点は、何ができていないのかがわかりやすい。『鉄則何番目で選択肢ミスをした。鉄則何番目で読解ミスがおきた』など、とにかく何ができていないのかが把握しやすい
③問題集や過去問の後のミスの確認時に鉄則を『何番目のミス』と子ども自身で把握しやすかった
からです。
鉄則の難しさは重々承知です。これを小学生だけでやり切るのは正直至難の業です。もし、子供のみなら、『出口シリーズ』かなと思います。とにかく解説が懇切丁寧ですごく細かいので。ただ、我々のように時間がないのなら鉄則一択ではないかなと思います。ずっと国語だけをやり、2週間で一冊終える感じです。ただ短期集中でやると、時間が経つと知識が抜けてしまいますので、問題集や過去問で知識の維持をします。ちなみに娘は受験時の国語の問題集は一番少なく、2冊を終えてないです。鉄則と市販問題集一冊と過去問と予想問題集のみでした。
模試は9月に名進研のものを受けた思いますが、まあボロボロでした。偏差値で55前後ですかね。9月末に鉄則をやり切って過去問開始、10月の模試も同じくらいで凹んでましたが、過去問は解けるようになっていたので鉄則を信じてやり続けました。11月以降の学校別プレあたりから急にパンと跳ね上がり、他校の模試も大体10番以内には常に入ってました。理科社会はまだ終わってませんでしたのでボロボロでしたが、国語の点で総合で上位に食い込むそんな感じでした。
娘もテストはあくまで鉄則確認として受けていたので、間違えた問題を鉄則で修正する方に重点をおいてました。時間がなさすぎで、点をとってうれしいというより、修正に必死でしたね、、、。まぁ、一瞬のうれしさはあったみたいですが、理科と社会がやばかったですからね。
国語の問題は、誰が解いても『この問題の答えはこれ』と決まっていなければいけません。文章の理解力にもよりますが、内容の把握は個人差が本来あります。それを前提として問題が作成されてます。国語の入試問題作成者は、国語の問題をその個人の理解度をうまく利用して『酷語』として作り上げるのです。
入試は時間との戦いであり、試験は子供が受けます。
問題を解くためには、解くための武器が必要です。読み解くための手順が必須で、日本語で書いてあるのに、それがうまく読めないと何が書いてあるのかわからず『パニックになる』ということがおきます。国語が難しいのは、読むため、解くためのキーが見えにくいからです。なぜならそこに試験勉強の個人差が出ているからです。
よく『学校のテストでは点が獲れるんだけどな。』と聞きます。業者テストと入学試験の差はここにあります。仮に業者テストが入試レベルまで引き上がるなら、学校国語が一気に変わるでしょうし、教育課程も変わってしまうでしょうね。個人的には読みの到達点に行き着くには入試レベルの内容はやるに越したことはないかなと思うのです。
読書は娯楽です。国語は試験です。しかし、『本を読む子だから国語は大丈夫』という方がいるのですが、そう簡単にはいかないのが国語かなと思います。ただ、よく本を読む子なら、すでに深い読解力は持っているので、試験特有のやり方さえ終えてしまえば、短期集中で点が安定する可能性は高いです。国語が得点教科になる可能性は高いのかなと思います。
夏休み前なら出口シリーズはギリ間に合うかなという感じでしょうか。残りの教科もありますし。9月すぎていれば量的に『出口シリーズ』は終えれないと思います。ちなみに誤解ないように言いますが、鉄則『は』、遅くても間に合うということを言っているのではありません。鉄則は鉄則数で把握しやすいので、短期間でやり終えることはできますよ程度です。短期間ですが前提として『完全理解で終えれるなら』がつきます。鉄則をするならば、大人と一緒にやった方が抜けはないかなと思います。鉄則だったとしても、点数が安定するには最低二ヶ月程度の演習は必須です。親も一緒に問題を解いて鉄則解釈やって、鉄則解釈を子供と確認して、修正を行うということを繰り返せるなら、早めにやったほうがいいかなと思います。受験勉強は戦略的に進める必要がありますが、国語に関しては、他で様々な対策を打っても点の安定は難しいけど、家庭でやり方さえ間違わなければ、確実に伸びる不思議な教科なのかなと思います。